幸福度が低い人に共通する「5つのNG思考」とは？【精神科医監修】
「なんだか満たされない」気持ちを抱えているなら、その原因は“考え方のクセ”が影響している可能性も。思考パターンが日々の幸せを見えにくくしていることもあるそうです。今回は、精神科専門医の清水 聖童先生に「幸福度を下げてしまう人の5つのNG思考」を教えていただきました。
教えてくれたのは……清水 聖童先生
精神科専門医・医療法人社団燈心会ライトメンタルクリニック理事長。心理療法、生活習慣、栄養学など幅広い知識を背景とした精神予防医学を専門とし、病前から介入する精神医療を模索したクリニック「ライトメンタルクリニック」を立ち上げる。メンタルヘルスに関する記事監修や講演、取材対応も積極的に行い、専門的な知見を広く発信している。
幸福度を下げてしまう人のNG思考「5つの特徴」
幸福度を下げてしまう人には、どのような特徴が見られるのでしょうか。無意識に持っている思考パターンが日々の幸福感に影響を与えることがあるのだと清水先生は言います。
清水先生：精神科医として診察をしていると、「なぜかいつも気分が落ち込んでいる」「人と比べて自分が幸せだと思えない」と感じている方の中には、ある共通する考え方のクセを持っていることが少なくありません。このような思考パターンは、無意識のうちに幸福感を下げてしまっていることがあります。
清水先生によると、幸福度を下げやすい代表的なNG思考は5つあるとのこと。それぞれ詳しく教えていただきました。
1．白黒思考（極端な考え方）
清水先生：「成功か失敗か」「できるかできないか」と、物事を白か黒かでしか判断できない思考です。このような思考は、少しのミスや予定外の出来事を「失敗」と決めつけ、自分を責める原因になります。現実はグレーの部分が多いもの。柔軟な考え方を持つことが大切です。
2．他人と自分との比較グセ
清水先生：SNSなどで他人の生活が見えやすくなった今、「あの人はすごい」「自分はダメ」といった比較によって落ち込む人が増えています。人それぞれ背景や事情が異なることを忘れてしまい、自分を正しく評価できなくなってしまうのです。
3．過剰な「〜すべき」思考
清水先生：「ちゃんと家事をこなすべき」「もっと前向きでいなければならない」など、自分に厳しすぎるルールを課してしまう人は、その通りにできなかった時に強い自己否定を感じます。「完璧でなければならない」という考えよりも、「できる範囲で頑張る」「完璧であったほうがいいけど、できないときもあるよね」などという、柔らかな考えが心には必要です。
4．被害者意識が強い
清水先生：「自分ばかり損をしている」「どうせわかってもらえない」といった思考は、自己肯定感を下げるだけでなく、人間関係にも影を落とします。こうした思い込みは視野を狭め、他人の善意やサポートにも気づけなくなってしまうだけでなく、他者を遠ざけてしまい、その機会すら失うことになりかねません。
5．ネガティブな未来予測
清水先生：「どうせうまくいかない」「頑張っても意味がない」といった未来に対する悲観的な考え方は、やる気や行動力を奪ってしまいます。経験や過去の失敗が根拠になっていることも多いですが、今の自分は過去とは違うという視点を持つことが回復への第一歩です。
思考パターンを見直すことが幸福度を高めるカギ
自分の思考のクセに気づいて改善していくことが、幸福度を高めるために必要なのですね。
清水先生：これらの思考のクセは、誰にでもあるものです。ただ、それに気づき、少しずつ見直していくことで、気分の落ち込みや不安がやわらぎ、幸福感も高まりやすくなります。もしひとりで難しいと感じたら、専門家に相談して一緒に整えていくこともひとつの選択肢です。
shukana／webライター