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【世田谷区の熱中症対策】猛暑日の小中学校体育館内で熱中症リスクから子どもたちを守る〝遮熱シート〟の効果が話題に

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【世田谷区の熱中症対策】猛暑日の小中学校体育館内で熱中症リスクから子どもたちを守る〝遮熱シート〟の効果が話題に

 暑い季節がやってきた。毎年5月に入ってからの猛暑日も珍しくはなくなった。熱中症の発症で倒れる高齢者や子どもたちのニュースが流れるたびに、地球温暖化に伴って近年の気候変動による異常な暑さとともに様々な施設の熱中症対策が急務であると騒がれている。昨今、小中学校の教室も空調設備機器の完備が進み体育館にもエアコンの導入が始まっている。しかし、体育館などの広い空間は、エアコンをフル稼働しても耐えられないほどの蒸し暑さになり、冷気を遮るために閉めきった館内の高温と湿度は、かえって子どもたちに熱中症を引き起こしかねないといわれている。

 さらにエアコン作動時の消費電力量やCO2排出量など環境負荷を避けるためには、もう一つ工夫された熱中症対策が求められているのだ。

 そこで、東京都世田谷区立の小中学校の体育館では、屋内の天井に遮熱シートを設置することで、猛暑日でも運動可能な室温を維持できるとして、区内の小中学校の体育館に設置を進めている。遮熱シートとは文化シヤッター株式会社が開発製品化した「はるクール」のこと。

▲体育館の天井に屋内用遮熱シート「はるクール」を設置したところ、エアコンが効くようになったとの声があった。

 
 
 最高気温が35℃以上となる猛暑日が増加傾向(気象庁公表数字)にある中、熱中症の危険度を判断する指標に、人体が感じる暑さを数値化した「暑さ指数(以下、WBGT)」がある。この指標は2006年より環境省が「熱中症予防情報」サイトで情報を提供しており、厚生労働省の「職場における熱中症予防対策マニュアル」にも採用されていて、軽作業や組み立て作業など対応できる作業強度区分の判断基準になっている。

 WBGTは人間の熱バランスに影響の大きい「気温」、「湿度」、「輻射熱」の3つの指標で構成されており、その割合は「1割が気温」、「7割が湿度」、「2割が輻射熱」となっていて、この2割の輻射熱を大幅にカットすることができるのが、遮熱シート「はるクール」の最大の特長といわれている。

▲「はるクール」を施工中の様子(写真左)と、同じ箇所をサーモグラフィカメラで撮影した様子(写真右)。サーモグラフィカメラで撮影した画像(写真右)では、左斜め上の施工前の天井の表面温度は38.4℃、右斜め下の施工済みの天井の表面温度は25.7℃と、輻射熱が大幅にカットされている。

 
  

 栃木県小山市にある同社の試験・検証施設である「ライフイン環境防災研究所」において、2棟の試験棟を設置し、「はるクールA」の設置有り無しによる室内の温度上昇の抑制効果と、エアコン作動時の消費電力量を確認する測定を実施した。その結果、室内温度は「はるクールA(有り)」が「はるクールA(無し)」に比べて最大でマイナス9.2℃、体感温度も同様にマイナス10.8℃となったと報告されている。また、1日当たりのエアコン作動時の使用電力量は同様にマイナス1.8kWh、電気料金が同様にマイナス38.6円、CO2排出量が同様にマイナス0.7㎏-CO2という検証結果も確認されている。

〈取材・資料〉協力・文化シヤッター

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