カフェ需要は拡大も4割が赤字 喫茶店の倒産過去最多ペース 逆風の理由と打開策は
■コーヒー豆の仕入れ価格 新型コロナ前の2.5倍
民間の調査会社・帝国データバンクが喫茶店の倒産動向を発表した。今年度は過去最多を更新するペースとなっている。喫茶店の4割が赤字経営で苦戦が続いているという。
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帝国データバンクによると、今年度は2月までに全国で66件の喫茶店が倒産している。年度の累計で過去最多となっている2018年度の73件を上回る可能性がある。昨年度も前年の1.6倍にあたる年間64件が倒産しており、増加傾向となっている。
カフェ需要自体は回復している。家計調査などをもとにしたコーヒーの1世帯(2人以上)あたりの購入杯数は1か月平均1.8杯で、新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻った。
一方で喫茶店の倒産が相次ぐ背景には、様々な要因がある。まずは、原材料費の高騰だ。円安の影響も重なり、国内に多く流通しているコーヒー豆の二大品種の1つ、アラビカ種の仕入れ価格は1キロ平均900円を超えて前年度から1.4倍となった。新型コロナ前からは2.5倍に膨らんでいる。
■光熱費や人件費も上昇 コンビニの存在も…
さらに、電気やガスといった光熱費、人件費、テナント料も上昇し、経営を圧迫している。本来であれば、商品の価格に転嫁したいところだが、それが難しい事情がある。コンビニの存在だ。
1杯100円台と安価なコーヒーを素早く提供しているコンビニは、節約志向やタイムパフォーマンスを重視する近年のニーズとマッチ。喫茶店が商品値上げに踏み切れない要因となっている。喫茶店の倒産が増加している状況について、帝国データバンクは次のように分析する。
「コンビニコーヒーやハイペースで出店攻勢をかける大型チェーン、周辺のカフェとの競合が激化している。大幅な値上げがより難しくなっていることも、物価高に耐え切れなくなった中小零細店の倒産が増加した要因となっている」
そして、高級コーヒーやスペシャルティコーヒーの需要を取り込んで成長する喫茶店や、ブランド力のある店舗やオンライン販売で一定の売り上げを維持した例を挙げ「コーヒー1杯へのこだわりといった、他店やチェーン店との違いをどこまで訴求できるかが重要になる」としている。
(SHIZUOKA Life編集部)