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川面の群舞復活に期待! 小川川支流水路にホタルの幼虫の餌「カワニナ」放流 中小川地区住民ら一丸

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 釜石市内有数のゲンジボタル生息地である小川川流域。東日本大震災後、周辺環境の変化などでその数は激減したが、地域住民らが再び光を取り戻そうと奮闘している。今年もホタルの幼虫の餌となる巻き貝「カワニナ」の放流が行われた。流域の中小川町内会(佐々木正雪会長)が行う4年目の取り組み。個体数増へ少しずつ成果が表れ始めていることに手応えを感じつつ、間もなく見られる成虫の発光に期待を寄せる。

 カワニナの放流はこれまで、小川川本流の通称「ワッカラ淵」と呼ばれる中流域で行われてきたが、大雨の影響などで土砂が堆積。増水でカワニナが流され、定着しにくい状況もあったため、今年から放流場所を変更した。新たな放流地は、閉校した旧小川小の敷地の一角を市から借りて、同町内会が2023年に整備した“ホタル水路”。田んぼに水を引いていた農業用水路から流れを分岐し、長さ約30メートル、幅約1.5メートルの繁殖場所を確保した。

4年目の放流会には地域住民を中心に約30人が参加した


ホタルが生息できるように2023年に整備された“ホタル水路”きれいな水が流れる


 15日に行われた放流会には子どもから大人まで約30人が参加。始めに、釜石ホタル友の会の臼澤良一会長(76)がカワニナやホタルについて説明した。臼澤会長によると、日本に生息するカワニナは18種。水中の石の表面に付着しているコケや藻を食べ、3.5センチほどに成長する。水辺の草に産み付けられたホタルの卵は1カ月ほどでふ化し、幼虫は約10カ月間、水中で生活する。その過程で餌とするのがカワニナ。消化液を注入して肉を溶かして食べる。ふ化したばかりの幼虫は1.5ミリほどで、生まれたばかりの1ミリにも満たないカワニナの稚貝を食べて成長していくという。「カワニナはきれいな水の指標生物になっている。ゲンジボタルもきれいな水がないと生きていけない」と臼澤会長。

カワニナやホタルの生態について教える釜石ホタル友の会の臼澤良一会長


小川川上流で採集したカワニナに参加者も興味津々


 この日は、前日に町内会員ら17人が小川川上流の繁殖地から採集したカワニナ約1200匹を放流。参加者は小さなバケツにカワニナを分けてもらい、水路の岸からまんべんなく放した。

 家族で訪れた同市の小学生、川﨑仁遥さん(10)は以前にも放流会に参加。同所で発光するホタルの成虫も見たことがあるといい、「とてもきれいだった」と、その光景を思い浮かべた。この日も臼澤会長の話に熱心に聞き入り、「放流したカワニナをホタルの幼虫が元気に食べて成長し、来年も卵を産んで、見られるホタルがもっと増えてほしい」と願った。

「たくさん食べて大きくな~れ」 水路の広範囲にカワニナを投入


カワニナを手に「はい、ポーズ!」


貴重な体験に笑顔を広げながら放流を楽しむ参加者


 同水路では整備後すぐにホタルが見られるようになり、昨年は、田んぼ周辺で見られていたヘイケボタルも出現。ゲンジとヘイケ、2種のホタルが一カ所で見られるという新たな魅力も加わった。昨年は町内会主催の観察会も開いたという。自宅でカワニナの養殖にも取り組んできた佐々木会長(75)は「子どもたちも関心を持ってくれてうれしい。今後もカワニナの放流を続けながら、昔のようにたくさんのホタルが飛び交う環境を取り戻したい」と話す。同町内会には昨年11月、長年にわたる小川川流域の水環境整備やホタルの生育環境保全への功労で県知事感謝状が贈られていて、この日の放流会で報告された。

「これからもホタルが見られるように」と願いを込める子どもら


昨年11月に贈られた県知事感謝状を披露する中小川町内会の佐々木正雪会長(左)


 同水路周辺では昨年、6月20日ごろにはゲンジボタルが飛ぶ姿が見られ始めた。例年6月下旬から7月中旬が発光が見られる時期で、今年はさらに数が増えるかどうか注目される。

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