ミドル・シニア「職場で自分の技能が活用されない」7年で悪化 436万人のストレスチェック結果
人材サービス企業のヒューマネージ(東京都千代田区)は3月11日、7年間延べ436万人を対象に実施した大規模ストレスチェック分析の結果を公表した。調査は2018年から2024年にかけて行ったもので、同社提供のストレスチェック「Co-Labo(コラボ)」の経年結果を基に分析を行った。
ストレスの原因のうち「自分の技能の活用度」だけは、世代間で大きな差が見られた
従業員50人以上の企業は年1回、労働安全衛生法に基づきストレスチェックを実施することが義務付けられている。ストレスチェックでは、ストレスの状態だけでなく、ストレスの原因(ストレッサー)についても測定する。
測定される項目は、
・心理的な仕事の負担(量)
・心理的な仕事の負担(質)
・自覚的な身体負担度
・職場の対人関係でのストレス
・職場環境によるストレス
・仕事のコントロール度
・あなたの技能の活用度
・あなたが働いている仕事の適性度
・働きがい
の9つ。
今回、この9つの項目を調査を開始した年(2018年)と2024年で比較したところ、「自覚的な身体負担度」「職場の対人関係でのストレス」「職場環境によるストレス」「仕事のコントロール度」「あなたが働いている仕事の適性度」の5項目は良化傾向が見られた。「心理的な仕事の負担(量)」「心理的な仕事の負担(質)」「働きがい」の3項目はおおよそ同水準で推移していることがわかった。
一方、自分の持っている技術や知識、資格などが仕事で活用されていることを示す「あなたの技能の活用度」のみが悪化していることが判明した。
「あなたの技能の活用度」の世代別推移では、2021年まではどの年代も悪化傾向にあったが、直近の3年間では、若年層「20歳代・30歳代)は「良化」に転じる一方で、ミドル・シニア世代(40歳代・50歳代)は「悪化」傾向が続くなど明らかな差が確認された。
仕事環境の急激な変化に戸惑うミドル・シニア層
今回、若年層でポジティブな反応が見られたことについては、若年層に対し企業各社が会社都合ではなく、本人の希望するキャリアを支援するスタンスに変わりつつある、その傾向の現れだと、同社は分析する。一方で、ミドル・シニア層は、コロナ禍などの影響により仕事環境が大きく変わる中、自身の技能を活用できている実感が低下していると指摘する。
また、ストレスチェックはそれ単体で全体の傾向を把握するだけでなく、健康診断結果やエンゲージメント・サーベイの結果と掛け合わせ、サポートを必要としている層や個人を把握することが必要と考えられるとし、社員の健康管理においては、今回の結果のように年代別に違いが出るため、きめ細かな状況把握と対象者に応じた施策の実践とその長期的な推進が欠かせないとしている。
エンプロイーサクセスの推進が進まず、月刊総務調査
月刊総務は1月15日から21日にかけて、全国の総務担当者を対象に、企業の持続的成長のために従業員が能力を発揮できるよう支援する概念、いわゆる「エンプロイーサクセス」に関する調査を実施し、124人から回答を得た。
その結果、半数以上が「言葉を聞いたことがない」と回答。現在推進している企業は約3割にとどまり、約7割の人が組織内でのキャリアの選択肢が広がっていないと感じていることがわかった。このほか、調査では、エンプロイーサクセス推進の課題や成長を実感するために効果的な取り組みなどについて解説している。
ヒューマネージが実施したストレスチェック分析結果の詳細は、同社の公式リリースで確認できる。