清水エスパルスジュニアユースを支える遠藤優空と栗田虎空の高部JFC出身コンビをピックアップ!高円宮杯U-15東海リーグで開幕4連勝中!
高円宮杯U-15東海リーグ2025で清水エスパルスジュニアユースが開幕4連勝で首位を走っている。好調のチームを支えているのは、静岡市清水区の高部JFCで育った遠藤優空(ゆうあ)と栗田虎空(とら)の中盤コンビだ。
2人は高部JFCに所属していた3年前、JA全農杯全国小学生選抜サッカー大会の準優勝、全日本U-12サッカー選手権の4強入りに貢献。静岡県内では向かうところ敵無しだったチームの中心選手だった。
全国制覇を目指して奮闘中の2人を紹介する。
MF遠藤優空(富士宮・富士根南中)
芝生の上に丁寧にボールをセットし、集中力を研ぎ澄ませる。ゆっくりとした助走と、力みのないフォーム。背番号25の右足から放たれたボールは次々にチームを救うゴールを生んだ。
3月23日の高円宮杯U-15東海リーグ第4節・FCフェルボール愛知戦で、セットプレーのキッカーとして2得点1アシスト。小学時代から定評のあった精度の高いキックでチームを勝利に導いた。
1点目はPK。圧巻だったのは1−2で迎えた後半4分、ゴール正面、約20メートルの位置で得たフリーキックだ。5枚の壁を越え、左に落ちていく鮮やかなコントロールショットを放り込んだ。ゴール左上に、丁寧にボールを置きにいくように。
「自信を持って、イメージ通りに蹴ることができました。最近はだんだんうまく蹴ることができるようになっていて、結果がついてくるようになりました」
さらに2−2で迎えた後半21分、左サイドの奥深くで獲得したフリーキック。今度は低く、鋭い弾道のボールをゴール前に供給し、DF宮城島航輔の決勝点をお膳立てした。
「試合前に航輔とはニアで合わせようと話していました。触れば入るようなイメージで蹴りました」。全体練習後に取り組んでいるフリーキック練習の成果が徐々に出始めているという。
岩下監督「適正ポジションを決めるのはまだ早い」
昨年まではサイドハーフで出場していたが、新チームになってからは主にボランチでプレーしている。中盤の底に入り、どっしりと構えて長短のパスを繰り出す。身長は174センチ。テクニカルな印象は受けないが、体の強さを生かしたキープ力と体を張った守備が目立ち、チームにとって欠かせない存在になっていることはすぐに分かる。
現役時代にエスパルスでFWとして活躍した岩下潤監督は「グッと前に出ていく瞬間的なスピード」を高く評価。「適正ポジションを決めるのはまだ早いかなと思う。今はボールタッチや持ち方、キックなど個人技術を課題にしています。それらの精度を今のうちに上げておかないと、どこかで頭打ちになってしまうから」
高部JFC時代は大人顔負けのパンチ力のあるシュートを武器にしていたが、最近は岩下監督のアドバイスで蹴り方にも変化を加えているという。
「(小学時代と違って)キーパーのレベルが上がってきているので、インステップで強いシュートを打とうとすると、コースが読まれやすい。だからインサイド気味で左右どちらにも蹴ることができるようなシュートを練習しろと言われています」
ことし2月には静岡県勢で唯一、U-15日本代表候補に選出された。「東海も全国も優勝したい。もっとテンポ良く、チームの流れを作るようなパスができるようにしたいです」。エスパルスの未来を担うチームの先頭に立つ覚悟だ。
MF栗田虎空(清水袖師中)
高円宮杯U-15東海リーグでは第2節の藤枝明誠SC戦で決勝ゴールを決めるなど、ここまで4試合で2ゴール。現在の主戦場は中盤右サイドだが、第4節のFCフェルボール愛知戦はトップ下に入ってピッチを駆け回った。
前半25分、周囲と連動したプレスで相手からボールを奪うと、すかさず仕掛けてPKを獲得。キッカーは遠藤に譲り「自分としては蹴りたかったです」と苦笑いだったが、持ち味の献身的なプレーでチームの先制点を呼び込んだ格好だ。
愛称は「トラ」。高部JFC時代は細身の体をしなやかに使い、狭い局面を打開していくドリブルで周囲の目を引いた。本人によると、今の持ち味は「ポストプレーと攻守で走れるところ。チームを盛り上げる掛け声」という。
高部JFC時代にトレードマークにしていた肩に掛かるほどの長髪は、清水ジュニアユースに入った直後にコーチの一声でバッサリとカットした。
「高部も強度は高かったですけど、エスパルスには自分よりもうまい選手がもっとたくさんいる。高い強度の中で練習できています」。県内トップレベルの選手たちと切磋琢磨しながら、充実した日々を送っている。
「今年は2つの全国大会で優勝したいです。まずは東海リーグで全勝優勝できるように頑張ります」。あどけなさの残る顔を引き締めた。