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【大江戸散歩コース】九段下・水道橋・神田~武芸や学問に関する施設が点在した江戸カルチエラタン~

さんたつ

田安門

大河ドラマの影響か、今にわかに注目を浴びている江戸時代。その江戸期の古地図(切絵図)を見ながらの東京散歩がとても面白いことをご存じだろうか? 今回は、文久3年(1863)の「飯田町駿河台小川町絵図」を手に歩く九段下・水道橋・神田周辺の散歩コースを紹介。タイムスリップを楽しむ特別な散歩体験を!

いせ源(いせげん)

【九段下・水道橋・神田周辺の切絵図】

飯田町駿河台小川町絵図

元は神田台と呼ばれた台地だが、元和年間(1615〜1624)以降、駿河国から徳川家臣団が移住し、駿河台と呼ばれるようになった。切絵図右下の「講武所」や広大な武家屋敷の多くは、現在、日大など大学のキャンパスになっている。

安政年間(1854〜1860)に発足した江戸幕府直轄の洋学研究機関「蕃書(ばんしょ)調査所」も九段下の清水門付近にあった。蕃書とは欧米の書籍のこと。ここから西に少し足を延ばせば、古書店が軒を連ねる神田古書店街につながっている。今も昔も学問の街なのだ。錦絵は、現在の御茶ノ水駅付近の線路を挟んだ順天堂側から見た景色。鯉のぼり越しに外堀の緑の土手に松の木が並んでいる。ここから、江戸城、遠くには富士山も見えていた。

※掲載の古地図は、江戸の町を32区画に分割して作った切絵図を使用。すべて、麹町にあった金鱗堂が出版したもので、屋号である尾張屋清七から「尾張屋板(版)」と呼ばれる。鮮やかな多色刷りが特徴。
※切絵図内の白色の部分は【大名屋敷などの武家地・御用地】、赤色は【神社仏閣】、灰色は【町屋】、黄色は【道】、青色は【海・川・池】、緑色は【山林・土手・馬場・田畑など】を示している。

歌川広重『名所江戸百景 水道橋駿河台』。

【散歩コース】

スタート:九段下駅は地下鉄東西線で大手町駅から4分・180 円、地下鉄半蔵門線で渋谷駅から11分・210円、地下鉄新宿線で新宿駅から8分・220円。

地下鉄東西線・半蔵門線・新宿線九段下駅→(2分/0.1㎞)→田安門→(3分/0.2㎞)→蕃書調所跡→(4分/0.3㎞)→築土神社→(3分/0.2㎞)→滝沢馬琴硯の井戸跡→(8分/0.5㎞)→講武所跡→(6分/0.4㎞)→水道橋→(3分/0.2㎞)→神田上水懸樋跡→(26分/1.7㎞)→神保小路→(20分/1.3㎞)→神田橋門跡→(18分/1.2㎞)→JR中央線・総武線・地下鉄丸ノ内線御茶ノ水駅

ゴール:御茶ノ水駅からJR中央線で東京駅まで4分・150円、地下鉄丸ノ内線で池袋駅まで11分・210円。

今回のコース◆約6.0km/約1時間30分/約8000歩

旧江戸城最古の城門「田安門」

江戸城北の丸北部に位置する枡形門。正門の高麗門と右手奥の櫓門からなる。江戸城が大城郭として完成した寛永13年(1636)に建てられたものといわれ、現存する江戸城最古の門。

「田安門」詳細

田安門(たやすもん)
住所:東京都千代田区北の丸公園1-1/営業時間:見学自由/アクセス:地下鉄九段下駅から徒歩3分

西洋の書籍を解読する「蕃書調所跡」

江戸幕府によって西洋の書籍を解読し海外事情を調査する組織として設立。英語や西洋の文物を教育する機能も加わり、幕府官学校としての位置付けを与えられる。移転や統合の後、東京大学の前身となった。

「蕃書調所跡」詳細

蕃書調所跡(ばんしょしらべしょあと)
住所:東京都千代田区九段南1-6/営業時間:見学自由/アクセス:地下鉄九段下駅から徒歩1分

ビルに囲まれた神社を守る区内最古の狛犬「築土神社」

天慶3年(940)平将門を祭る津久戸大明神として創建。その後、文明10年(1478)に太田道灌が社殿を造営した。以降、移転を繰り返し、1964年に現在地に遷座。オフィスビルの奥に社殿が立つ。

「築土神社」詳細

築土神社(つくどじんじゃ)
住所:東京都千代田区九段北1-14-21/営業時間:拝観自由/アクセス:地下鉄九段下駅から徒歩2分

滝沢馬琴が硯(すずり)を洗った井戸「滝沢馬琴硯の井戸跡」

『南総里見八犬伝』の著者、滝沢馬琴が居住した地。この辺りに馬琴が硯を洗っていた井戸があった。晩年、失明しながら創作を続けた逸話は有名。現在はマンションのエントランスにひっそりと石碑が立つ。

「滝沢馬琴硯の井戸跡」詳細

滝沢馬琴硯の井戸跡(たきざわばきんすずりのいどあと)
住所:東京都千代田区九段北1-5-7/営業時間:見学自由/アクセス:地下鉄九段下駅から徒歩3分

幕末に作られた武術の教練場「講武所跡」

ペリー艦隊の来航を受けて、国防を強化するために幕府が設立した武術の教練場。剣術・槍術のほかに柔術・弓術が行われ、洋式調練や砲術も導入された。後に旗本・御家人の士官教育を目的とした陸軍所に名を改めた。

「講武所跡」詳細

講武所跡(こうぶしょあと)
住所:東京都千代田区三崎町2-3/営業時間:見学自由/アクセス:JR中央線・地下鉄三田線水道橋駅から徒歩6分

日本初の上水道に由来する「水道橋」

神田川に架かり、橋の名は、150mほど下流に神田上水の懸樋(かけひ)があったことに由来する。神田上水は江戸の町へ飲料水を引くため、天正18年(1590)に造られた日本初の上水道。当時の橋は、今の場所よりやや下流にあった。

「水道橋」詳細

水道橋(すいどうばし)
住所:東京都千代田区三崎町1/アクセス:JR中央線・地下鉄三田線水道橋駅から徒歩3分

木製の樋(とい)から江戸中に給水「神田上水懸樋跡」

江戸時代、ここから神田川に木製の樋を架け、神田上水の水を通し、日本橋や神田方面に給水していた。明治初期に廃止されるまで使用。石碑には江戸時代の風景が描かれている。

「神田上水懸樋跡」詳細

神田上水懸樋跡(かんだじょうすいかけひあと)
住所:東京都千代田区神田駿河台2~本郷1/営業時間:見学自由/アクセス:JR中央線・地下鉄三田線水道橋駅から徒歩7分

神保町の町名発祥の地「神保小路」

神田神保町の町名は、現在のさくら通りにあった神保小路に由来。神保小路は、かつてこの道の南側に面してあった旗本の神保伯耆守(ほうきのかみ)の屋敷から名づけられたと考えられている。神保家は幕末までここに屋敷を構えていた。

「神保小路」詳細

神保小路(じんぼうこうじ)
住所:東京都神田神保町1~3丁目/アクセス:地下鉄神保町駅から徒歩2分

将軍が参詣する御成道「神田橋門跡」

将軍が上野寛永寺に参詣に行くための御成道にあり、対岸の鎌倉河岸は江戸城築城の資材を荷揚げする河岸場であったので、重要視されていた。現在の橋は、1980年に改架された。

「神田橋門跡」詳細

神田橋門跡(かんだばしもんあと)
住所:東京都千代田区神田錦町1-27 神田橋公園内/営業時間:見学自由/アクセス:JR・地下鉄御茶ノ水駅から徒歩6分

【神田の老舗グルメを堪能!】

江戸伝統の手法で作る『笹巻けぬき寿司』

元禄15年(1702)創業。殺菌効果のある笹の葉でくるみ、魚の小骨を毛抜きで抜き取っていたことからこの名がついた。笹の香りがさわやかな逸品だ。10個入り折詰め2705円。

『笹巻けぬき寿司』店舗詳細

笹巻けぬき寿司(ささまきけぬきずし)
住所:東京都千代田区神田小川町2-12/営業時間:10:00~18:30/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄千代田線新御茶ノ水駅から徒歩2分

都内唯一のあんこう専門店『いせ源』

創業天保元年(1830)。あんこう鍋のコースは8500円~。昭和5年(1930)再建の木造店舗は東京都選定歴史的建造物。

『いせ源』店舗詳細

いせ源(いせげん)
住所:東京都千代田区神田須田町1-11-1/営業時間:11:30~14:00・17:00~22:00/定休日:月(4~10月は日・祝・月)/アクセス:JR・地下鉄神田駅から徒歩4分

取材・⽂・撮影=アド・グリーン
『古地図であるく 大江戸散歩地図』より

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