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今なぜ摘発急増?オンラインカジノ。芸能人やプロ野球選手など相次ぐ活動自粛の背景にあるものとは?

アットエス

「自分は大丈夫と思わないで!」と専門家が警鐘

お笑いコンビ・令和ロマンの高比良くるまさんやプロ野球・オリックスの山岡泰輔投手がオンラインカジノを利用していたことが発覚し、活動を自粛したことが大きなニュースになっています。

オンラインカジノを利用した賭博行為は犯罪でありながら、なぜ利用者が増加しているのか。国際金融論が専門の静岡大学名誉教授・鳥畑与一さんにSBSアナウンサー新城健太が聞きました。

<目次>
・スマホから賭博できる手軽さが生む深刻な問題
・著名人出演の宣伝で「違法」と認識されず?
・従来のギャンブルより2〜3倍高い依存症率
・検索すると…巧妙な勧誘の手口
・摘発が増えているのはなぜ?
・著名人のオンラインカジノ問題、今後の課題は?

スマホから賭博できる手軽さが生む深刻な問題

新城:最近、オンラインカジノ問題に関するニュースが相次いでいますが、そもそもオンラインカジノとは、どのようなものなのでしょうか?

鳥畑:「ポケットの中のカジノ」とも言われ、スマートフォンなどを使って24時間365日、いつでもどこでも簡単にアクセスできるギャンブルです。

ルーレットやバカラなどのカジノをイメージさせるギャンブルだけでなく、スポーツ賭博やeスポーツ賭博など、提供されるギャンブルは多岐にわたります。サイトによっては数千種類の賭けが可能であるとアピールされています。

著名人出演の宣伝で「違法」と認識されず?

新城:違法であることは日本で認識されているのでしょうか?

鳥畑:本来は認識されているはずですが、実際にはオンラインカジノのサイトで「海外でライセンスを取得しているため合法。安心・安全」といった誤った宣伝が多く見られます。警察庁は2022年以来、「海外のサイトであっても、日本国内で利用すれば違法」との啓蒙活動を行っています。

しかし、有名なスポーツ選手などが広告塔になっていたり、YouTubeでもタレントが宣伝していたり、オンラインカジノ推奨サイトがあったりと、魅力をアピールしています。それにより、とても違法とは思えなくなってしまう状況になっていると思います。

また、無料版のオンラインカジノサイトも多く、遊んでいるうちに「稼げるかもしれない」と錯覚したり、アカウントを開設すると高額のボーナスを受け取れるなど、言葉巧みに違法なカジノへと誘導される仕掛けがたくさんあります。

新城:なるほど。スマホやインターネットが普及したことで、より身近に感じられるのも要因ですね。

鳥畑:スマホを開けばすぐにギャンブルができる気軽さが非常に危険だと言われています。

従来のギャンブルより2〜3倍高い依存症率

新城:危険性について具体的に教えてください。

鳥畑:オンラインカジノは従来のギャンブルよりも「依存症率が2〜3倍高い」という調査結果があります。いつでもどこでも、誰にも知られず、部屋に籠ってひたすら続けることができます。賭けの速度が速く、短時間で大きく負ける可能性があります。

さらにスポーツ賭博では、あらゆるスポーツの一つ一つのプレーが賭けの対象になるため、競技に対する興奮とギャンブルの興奮が一体化してしまうんです。そして、さらに怖いのは、一つ一つの賭け行為が電子データとして記録・集積され、プロファイルされるんです。個人に合わせたプロモーション勧誘が行われ、ギャンブルにハマっていく仕組みが非常に洗練されているんです。

検索すると…巧妙な勧誘の手口

新城:鳥畑さんが知っている具体的な事例はありますか?

鳥畑:調査のためにオンラインカジノのサイトを確認すると、私のスマホにカジノ関連の広告が届くようになりました。

新城:検索したことで「この人は興味があるんだ」と判断されたんですね。

鳥畑:無料版サイトの利用規約には「プレイ履歴をプロモーションに活用する」と書いてあります。

摘発が増えているのはなぜ?

新城:最近、なぜオンラインカジノの摘発数が増えているのでしょうか。

鳥畑:コロナ禍以降、世界的にオンラインカジノの利用者が増えています。その中でも、日本は規制が脆弱な国としてターゲットにされやすい状況にあります。

海外で違法サイトのブロッキングなどの規制が進むと、締め出されたサイトが日本向けにどんどん新たな違法サイトを開設しています。日本は儲かる国だと思われていて、ある有力カジノ企業は、この2年間で数倍も収益を増やしているんですよ。

新城:そうなると、日本の警察や政府の対策が必要ですね。

鳥畑:今月、依存症対策推進基本計画の見直しが行われます。賭博をほう助する者への取り締まり、SNS上の広告や紹介サイト開設の規制、海外違法サイトへのアクセスを制限するフィルタリングなど、取り締まり強化が進められています。しかし、私はまだ不十分ではないかと感じています。

著名人のオンラインカジノ問題、今後の課題は?

新城:活動自粛中のお笑い芸人やプロ野球選手は、今後どうなっていくと思いますか。

鳥畑:違法なオンラインカジノをやったということは、それはそれで問われるべきなんですが、本当に悪いのは、誤った情報を氾濫させ「合法ですよ、大丈夫ですよ」と勧誘する側です。それに対して、国民を無防備な状態に放置してきた国の責任もあると思うんですよね。実際に、2022年以前は「違法だ」という啓蒙活動があまり行われていませんでした。

新城:最後に、リスナーの皆さんへメッセージをお願いします。

鳥畑:オンラインカジノは違法であり、手を出せば失うものが大きいことを理解してほしいです。警察の取り締まりも強化されています。「自分は大丈夫」と安易に思わないことが大切です。

新城:鳥畑さん、ありがとうございました。改めて、日本国内でのオンラインカジノ利用は刑法の賭博罪などに該当する違法行為です。十分ご注意ください。

※2025年3月3日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。​今回お話をうかがったのは……鳥畑与一さん
静岡大学名誉教授。1958年石川県七尾市生まれ。金融論が専門だが、消費者金融の多重債務の原因がギャンブルであったことからカジノ合法化問題に関わり、統合型リゾート(IR)に係る国会審議で3度参考人として反対意見を述べた。『カジノ幻想』(ベスト新書、2015年4月)ほか著書を通してギャンブルの有害性を訴え続けている。
 

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