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『キャプテン・アメリカ:BNW』ではレッドハルク登場まで「赤色」が控えられている ─ 「まずは青色からスタートした」

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の冒頭で、ハリソン・フォードが演じるサディウス・ロス米大統領は支持者に向けて演説を行う。掲げる標語は"TOGETHER"で、テーマカラーは青色。この青色は彼が民主党出身であるという政治的な含みよりも、むしろ映画全体の色調ポリシーによるものだった。

「主にプロダクション・デザインや衣装デザインで、ラボのような場所やレッドハルク登場まで、赤い光は使わないようにしました」と、本作の撮影監督クレイマー・モーゲンソーは米に明かしている。「映画の中で赤色を否定することで、パンチを効かせているわけです」。

この記事には、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』のネタバレが含まれています。

終盤のレッドハルク登場を頂点として、劇中では色が慎重に選択された。特に赤色と青色には、物語を象徴するテーマが込められている。青色は「平和や秩序の象徴」で、赤色は「ロスが制御を失い、カオスが増し、ハルクがカオスの生き物であるという感覚」を表す。「パレットを青から緑、黄色、オレンジ、やがて赤へと移していきました」。

(C) 2025 MARVEL.

(C) 2025 MARVEL.

ただし、赤色は完全に排除されていたわけではなく、差し迫る脅威へのさりげない示唆として、意図的に混ぜ込まれている。たとえば、映画の冒頭でロスがスピーチに挑む際、彼のネクタイはすでに赤色と青色が織り混じっている。「赤を実際に使ったのはハリソンだけです」とは、衣装デザイナーのガーシャ・フィリップスの言だ。

プロダクション・デザインの色調も巧みに設計された。たとえば、サムとロスに青い部屋で対話させることで、物事が制御されている感覚を与える。しかし、彼らが部屋を出ると、そこにはプロダクション・デザイナーのラムジー・エイブリーによるさりげない演出がある。「部屋から出て、彼が最初にすることは、赤いカーペットに足を踏み出すことです。さりげないんです」。

やがてサム・ウィルソンとホアキン・トレスは、黒幕であるサミュエル・スターンズの秘密研究施設を突き止めて潜入する。そこでサムがロスの謎めいたカルテを発見すると、彼に破滅的な混沌が忍び寄っていることが示唆される。続いてスターンズが手下を送り込むと、赤いライトが点滅する。エイブリーいわく「赤色がカオスやコントロールの欠如を表す瞬間」として、満を持して空間を赤で満たした。

(C) 2025 MARVEL.

(C) 2025 MARVEL.

ここでは明言されていないが、色演出はポストクレジット・シーンでも隠れたメッセージを持っているかもしれない。エンドロール後のおまけシーンでは、サム・ウィルソンがラフト刑務所へサミュエル・スターンズの面会に訪れる。この時サムの背後には赤いライトが灯っており、さらに彼は赤いシャツを着用している。これは、ベティ・ロスが面会に訪れる直前の場面で青いライトが使われていたこととは明らかに対照的だ。

ポストクレジット・シーンで、スターンズはサムに対してマルチバースの脅威が迫っていることを警告する。ここでの赤色は、これからサムがかつてない混沌に呑み込まれることを、さりげなく予告しているのかもしれない。『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』を再鑑賞する際には、映像で扱われる色の遷移に着目すると、物語をさらに深く楽しめることだろう。

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