高津消防署 デイタイム救急隊が発足 出場要請の増加受け
川崎市消防局は、救急需要が高い日中の時間帯に運用される「デイタイム救急隊」の運用を、4月1日から高津消防署(田邊浩太署長)で開始した。同救急隊が市内で発足するのは中原区に続き2例目。今後は区内を中心に市全体で発生する救急要請に対応する。
市消防局は、2022年度の救急出場の状況や課題について分析。その結果、日中の救急出場件数が夜間よりも多く、特に市の中部地域(中原区・高津区周辺)で現場到着に時間を要することが多いということが分かった。
そこで、中部地域の日中の救急需要に対応するため、令和6年度から中原消防署でデイタイム救急隊の運用を開始した。
過去最多を記録
24年度に市内で発生した救急出場件数は、過去最多となる8万9114件(速報値)で高津区への出場件数は1万2697件。搬送人員は1万470人となっており、これは川崎区、中原区に次いで市内で3番目に多い件数だった。高津区消防局の担当者は「市内から寄せられる救急要請は、増加傾向にあります」と話している。
区内では、高津消防署や新作出張所、久地出張所に救急隊が配備されているが、時間帯によっては救急要請が集中し、遠方の救急車が出場することもあった。今回、デイタイム救急隊が加わったことで、ピーク時となる日中でも迅速な対応が出来るようになると期待されている。
♯7119の利用を
救急出場数の増加の背景には「本来必要では無いのに通報をしてしまうこと」などが挙げられるという同署担当者。
救急車を呼んだ方がいいかどうか判断に迷った場合は、専門家からアドバイスを受けることができる電話相談窓口「かながわ救急相談センター(♯7119)」や、オペレーターが適切な病院や診療所(医院)を案内してくれる川崎市救急医療情報センターなどの利用も呼びかける。その一方「緊急時は迷わず119番通報をしてほしい」と話す。
市民の要望に応える
デイタイム救急隊の発隊日には高津消防署で式典も開かれ、同隊の隊長に就任した中山剛さんなど隊員たちの紹介が行われた。また、日勤救急担当係長の佐々木友三郎さんの抱負や、隊のシンボルとなるロゴマークの授与なども行われた。
式典で訓示を述べた田邊署長は「配置された隊員は、使命感を持って、業務にあたってもらいたい。また、限られた人数での運用開始となるが、消防署一丸となって、区民・市民の付託に応えていきたい」とコメント。これまで30年以上救命救急に携わってきたという中山さんは「培ってきた経験を糧に、助けを求める声に応えていきたい」と語った。