「5月病」の症状を悪化させる”5つのNG行為”【精神科医監修】
新生活の疲れが一気に出やすい5月。連休明けにやる気が出ない、体がだるい、気分が落ち込むといった「5月病」の症状に悩まされる人も少なくありません。 精神科専門医の清水 聖童先生によると、何気なくとっている行動が知らないうちに症状を悪化させている可能性もあるとのこと。今回は、「5月病の症状を悪化させる5つのNG行為」について詳しく教えていただきました。
教えてくれたのは……清水 聖童先生
精神科専門医・医療法人社団燈心会ライトメンタルクリニック理事長。心理療法、生活習慣、栄養学など幅広い知識を背景とした精神予防医学を専門とし、病前から介入する精神医療を模索したクリニック「ライトメンタルクリニック」を立ち上げる。メンタルヘルスに関する記事監修や講演、取材対応も積極的に行い、専門的な知見を広く発信している。
「5月病」の症状を悪化させる5つのNG行為
5月病とは、新年度や新生活による緊張が一段落し、ゴールデンウィーク明け頃から現れる心身の不調のことを指します。具体的な症状は人によって異なりますが、一般的には、倦怠感や無気力感、不眠、食欲不振などの症状が出るケースが多いとされています。
清水先生によると、5月病の症状の悪化につながりやすい5つのNG行為があるとのこと。それぞれ詳しく教えていただきました。
1. 無理をして頑張り続ける
清水先生:心や体に不調を感じていても、「ここで休むわけにはいかない」「周りに迷惑をかけたくない」と無理を続けると、疲労やストレスが蓄積され、5月病の悪化やうつ状態の引き金になります。特に責任感の強い人ほどこの傾向があり、自分を追い込みがちなため注意しましょう。不調を感じた段階でこまめに休みをとることが結果的に回復を早め、周囲への影響も最小限に抑えられます。
2. 生活リズムを崩したままにする
清水先生:連休中の夜更かしや不規則な生活をそのままにしておくと、体内時計が乱れ、自律神経のバランスが崩れます。特に朝日を浴びる機会が減ると、睡眠の質が低下し、日中の活動意欲にも影響を及ぼします。こうしたリズムの乱れは精神的な落ち込みを助長する要因となるため、規則正しい生活を意識的に取り戻すことが重要です。
3. 完璧を求め続ける
清水先生:「きちんとしなければ」「完璧にやらないと」といった思考は、自分へのプレッシャーを強め、達成できなかったときに自己否定感を生み出します。新しい環境に適応しようとする時期ほど、できていない自分に厳しくなりがちです。しかし、完璧を求めるあまり心の余裕を失えば、回復力も落ちてしまいます。適度な手抜きや「まあいいか」の感覚が、気持ちを守るクッションになります。
4. SNSで他人と比べる
清水先生:SNSでは他人の充実した暮らしや成功体験が目に入りやすく、特に心が疲れている時期は「自分はうまくいっていない」と感じて落ち込みやすくなります。育児や仕事で余裕のないときに他人と比較することは、自己肯定感を著しく低下させる原因になります。SNSは必要以上に見ない、情報の接触時間を制限するなど、自分の心を守る工夫が大切です。
5. 相談せずに抱え込む
清水先生:不安やつらさを誰にも話さず、一人で抱え込み続けると、心理的な負担は増す一方です。「こんなことで相談していいのか」「弱いと思われたくない」と遠慮する気持ちは理解できますが、思いを言葉にすることは気持ちの整理にもつながります。身近な人との会話や、必要であれば専門機関の利用も含めて、心の重荷を外に出すことが症状の悪化を防ぎます。
5月病の予防・改善には「自分を追い詰めない」ことが大切
5月病を悪化させないためには、自分を追い詰めたり他人とむやみに比べたりせず、心と体のバランスを整えるよう意識することが大切なのですね。
生活リズムを整える、軽い運動や日光浴をするといった小さな習慣の積み重ねが、5月病の予防・改善につながります。完璧を目指さず、まずは自分に合った無理のないペースで過ごすことを心がけましょう。
糸野旬/ライター