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「恐怖」というキーワードで選ばれた作品を白石加代子が朗読する、「百物語」シリーズ アンコール公演第五弾が決定

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阿刀田高『干魚と漏電』より白石加代子

2024年10月12日(土)シアター1010にて行われる東京(北千住)公演を皮切りに、『白石加代子「百物語」シリーズ アンコール公演第五弾』が開催されることがわかった。

白石加代子「百物語」シリーズは、明治から現代の日本の作家の小説を中心に、「恐怖」というキーワードで選び、それを白石加代子が朗読するという形で出発した。

上田秋成『雨月物語』、泉鏡花『高野聖』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、という幻想文学の傑作作品から、半村良『箪笥』、筒井康隆『五郎八航空』、阿刀田高『干魚と漏電』、高橋克彦『遠い記憶』、宮部みゆき『小袖の手』、小池真理子『ミミ』といった現代作家の人気作品までの幅広いレパートリーと白石加代子の朗読という枠を超えた立体的な語りと動きの上演で人気を博している。

この度、アンコール公演第五弾が決定。上演されるのは、阿刀田高『干魚と漏電』と高橋克彦『遠い記憶』。

「百物語」人気作といえば、『箪笥』『五郎八航空』、そして『干魚と漏電』の三作品が人気ベストスリーと言われている。口うるさく、おせっかいで、人のいいおばあさんが主人公。おばあさんは、集金人に、引っ越したばかりの家の電気代が、前の家と間取りも、使っている電気製品も同じなのに、なぜか高いと文句をつける。

阿刀田高『干魚と漏電』より白石加代子

白石加代子はこう語っている。
「……あれは鴨下さんのいざない方がすばらしいの。主人公は「姉さんかぶりの」って書かれているんだけど、本番で着たお衣装は和服でなくてお洋服。しかも普通のお洋服じゃなくてカントリー風というかロリータ風というか、ちょっと素っ頓狂なおばさんよね。ちょっと間違えるとわたし、ああいう人だから。お客は笑いに笑って、最後の一言で凍りつく」

そして今まで上演された「百物語」の作品で、スタッフの中で何が一番怖かったという話になると、まず文句なく一位になるのが、『遠い記憶』だそうだ。

高橋克彦『遠い記憶』より白石加代子

盛岡在住のミステリー作家高橋克彦の作品。そしてある意味、盛岡という場所が主人公である。幼い時に育った盛岡に何十年ぶりかで仕事の関係で、行くことになる。盛岡の町の案内を世里子という料理屋を営む主人公より少し年上の女性が買って出る。案内に従って、町を歩くうちに段々と、記憶が蘇っていく。主人公が、美しい女性に導かれて一歩一歩と恐怖に近づいていくそのプロセスの導き方が、鴨下信一演出により、実に怖くなる。『遠い記憶』の舞台を思いだすと、その時のドキドキがやってくる。

高橋克彦『遠い記憶』より白石加代子

1992年6月岩波ホール発で始まり、2014年秋、泉鏡花『天守物語』をもって「百物語」、全99話を語り終えた白石加代子はこのように語った。

「……当初は肩の荷がおりて、すっきりしたと晴れやかな気持ちだったのですが、時を経て次第に〈まるで、愛を失ったかのような想い〉に急激に襲われたの」

その想いを受けて、アンコール公演は始まった。忙しい仕事の合間を見つけ、第一弾として、筒井康隆『五郎八航空』、南條範夫『燈台鬼』、第二弾として、三遊亭円朝『怪談牡丹灯籠』、第三弾として、夢枕獏『ちょうちんが割れた話』筒井康隆『如菩薩団』半村良『箪笥』和田誠『おさる日記』、第四弾として、宮部みゆき『小袖の手』朱川湊人『栞の恋』と重ね、そして今回の二本は第五弾となる。

本公演は、東京(北千住)の後、東京(練馬)、兵庫、茨城、北海道(札幌)、北海道(江別)、神奈川、新潟でも行われる。

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