【ポケモンGO】緊急インタビュー! ナイアンティックからスコープリーになって「リアルイベント」はどう変わるのか?
ポケモンGOを運営するナイアンティックのゲーム部門が「スコープリー」に買収されると発表されたのは今年3月のこと。それ以降もユーザー的に見れば大きな変化は見られないが、非常に気になるトピックであることは間違いない。
ゲーム内容はどうなるのか? 課金を求められるのか? ……などなど興味は尽きないが、そのうちの1つに「リアルイベント」がある。果たしてスコープリーになってリアルイベントはどうなっていくのだろうか?
・どうなる、リアルイベント
言うまでも無く「ポケモンGOフェスト」や「ポケモンGOツアー」などのリアルイベントは、ポケモンGOの中心の1つである。それは以前、ナイアンティックの関係者からも同様の証言を得ている。
しかしながら、会社が変わっても「ポケモンGOにとってのリアルイベント」が同じ位置付けであるかはわからない。むしろ「会社が変わったらスタンスが変わる」と考えている方も多いことだろう。
そんなモヤモヤを抱きつつ、先日開催された『ポケモンGOフェスト2025 大阪』の期間中にナイアンティック社の関係者に話を聞くことが出来た。インタビューに応じてくれたのはお二方、
アジア地区のリアルイベント責任者、ナツキさん。そして、
シニアスタッフUX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナー、ナオさん、である。
今後リアルイベントはどうなっていくのか? まずはGOフェス大阪の話から伺っていくことにした。
・ネットワーク最高
──本日はお二人にお話を伺えるということで、どうぞよろしくお願いいたします!
ナツキさん & ナオさん「いつも遠くまでお越しいただいてありがとうございます。よろしくお願いします」
──さっそくですが、私は昨日会場でプレイしたんですが、今回はネットワークが素晴らしいですね!
ナツキさん「本当にありがとうございます! そこは1番気にしている点の1つでして、通信環境の改善は毎年最優先で進めています」
──ふむふむ。
ナツキさん「そこが改善していると感じていただけたならありがたいですし、私としても改善したつもりでした」
──福岡のワイルドエリアは「耐えてるな」という印象だったんですが、今回は海底の端っこ以外ではそれすらも感じませんでした。本当に素晴らしいです。
ナツキさん「ありがとうございます。今後のイベントでもトレーナーのみなさんに気持ちよく楽しんでいただけるよう引き続き頑張ります」
・事前情報について
──お願いします。一方で、今回は事前情報の出し方がかなりイレギュラーな印象を受けました。例えばピカチュウもギリギリのギリでしたよね?
ナツキさん「はい。意図的というよりは、社内の調整等が上手く出来なかったというのが正直なところです。トレーナーの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことは、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」
──なるほど。
ナツキさん「出来るだけ早く情報をお届けしようとして、例えば公式サイトの調整に時間がかかる場合、Xなどのソーシャルで情報を先出しするなどのイレギュラーな対応になってしまいました」
──ありましたね。
ナツキさん「それがランダムに情報を出しているという印象を与えてしまったこともあると思います。きちんと1度に情報をお届け出来なかった点については反省しておりますので、今後は何とか改善していきたいです」
・3都市で開催されるけど
──理解しました。ではやや話は飛ぶんですが、今年は大阪を皮切りに、ジャジーシティー、パリでGOフェスが開催されます。
ナツキさん「はい」
──その中で、今年ほどゲーム内容に差がないGOフェスも初めてだと思っています。例えば去年なら各地で違うオドリドリが出現しました。これは意図的なものですか?
ナツキさん「どんな方向性でGOフェストを開催するかは毎年決めています。ゲーム内容に関して言うと、今年はどの地域に参加されても平等な体験をしていただけるようになっていると思います」
──ふむふむ。
ナツキさん「ただゲーム内容に関しては差が少ないかもしれませんが、現実世界はその地域に根差したデザインだったり装飾を施しています。現地に行ってご参加いただけると、その地域ならではの体験をしていただけるかなと」
──なるほど。ゲーム内容というより会場のデザインや装飾で個性を出していく方向ということですね。
ナツキさん「今年はそうなっています」
──ただ、実際のところ今年は遠征勢と呼ばれる人たちがそこまで遠征していない印象です。ゲーム内容での動機づけは弱いのかなと思いました。
ナツキさん「はい。ポケモンGOは本当に多くの方に遊んでいただいているので、そこは毎回悩むところです。新たな要素が加われば、またトレーナーさんの遊び方も変わって来るので……」
──おっしゃる通りだと思います。私も最近、全トレーナーに共通するストライクゾーンの探し方に苦戦しています。私は「仕上がって来ている問題」と呼んでるんですが……。
ナオさん「僕も会場でいろいろな方に声をかけていただいたり、自分でもプレイしているのですが、改めて「人それぞれで感じ方は本当に違う」と実感しています。特に好きなポケモンによって感じ方は本当に違いますよね」
──はい。
ナオさん「例えばピカチュウが好きな方はピカチュウをもっと出会いたいと思うかもしれません。また会場でパッチールともっと出会いたいと言われたんですが、それを聞くまでは僕はパッチールとたくさん出会えて嬉しいと感じていました」
──わかります。
ナオさん「加えてプレイスタイルにも差が出てきているので、それぞれの方々に満足いただけるよう心掛けているんですが……。あとは “これを集めるだけ” ではなく、様々な楽しみ方をしていただけたらいいなと」
──ふむふむ。
ナオさん「レイドもあれば捕獲もありますし、今回は吹田市のGOスタンプラリーもあります。様々なの要素の中から、トレーナーさんがそれぞれの楽しみ方を見つけて欲しいなと思いながらポケモンGOやイベントを作っています」
・仕掛けやこだわり
──なるほど。具体的に今回のGOフェスではどんな仕掛けと言いますか、こだわりがありますか?
ナツキさん「ポケモンGOは、世界を探索して、人と出会って交流して欲しいというところが根本にあります。リアルイベントの観点でいうと、そうしていただけるような取り組みはいくつかご用意したつもりです」
──はい。
ナツキさん「例えば、街を探索するという意味では吹田市のGOスタンプラリーがまさにそうですし、交流という意味ではそれぞれの生息地のオブジェがこれまでとは違う形になっています」
──ほうほう、例えば?
ナツキさん「トレーディングソーンはこれまでテントやテーブルを用意しているだけでした。ただ今回はノーブルエリアのオブジェでありながら、その中に入り込んで利用できるようになっています」
──あ、確かに。憩い茶屋のオブジェも、実際にテーブルが並べられていて座れるようになってました。
ナツキさん「そうなんです。カーニバルグラウンドもピカチュウが真ん中にいて、それを取り囲むように四方からリーダーたちと博士を配置しています。4人が “ようこそ” と言っているイメージですね」
──はは~。前は横並びでしたもんね。
ナツキさん「あれももちろん考えて配置していたんですが、今年はよりこだわりました。あとトレーディングエリアも日本人はシャイな方が多いので、背中を押す意味も込めてポケモンの名前を書き込めるカードを用意したりとか……」
──ありましたね。
ナツキさん「いまお話したのはごく一部で、会場については少しでもエリアごとの世界観に入り込めるような造りを毎年工夫して積み重ねているつもりです」
──言われてみれば確かに今年はただあるだけのオブジェでは無かったです。感度が鈍くてすみません。
ナツキさん「いえいえ」
──ただそれは料理でいうと隠し味に近いというか。可能なら事前にもっと言ってた方がトレーナーさんに伝わると思いました。他にはありますか?
ナオさん「そうですね。2年前との違いでいうと、コミュニティアンバサダーが当時はいませんでした。2年前のこの会場で、最初の申し込み受付けをしたんですね。現在では約120名のアンバサダーたちが活躍してくれています」
──そうでした、そうでした。
ナオさん「そのアンバサダーたちが毎日会場に来てくれて、困っている方たちをサポートしてくれています。アンバサダーを通じて、繋がりや出会いのきっかけがあればいいなとも考えています」
──なるほど。確かに2年前はアンバサダーのシステム自体がありませんでしたね。
ナオさん「それとゲーム内容に関してUXとして伝えてきたのは“なるべく難しくなりすぎないように”ということでした」
──確かに今回のGOフェスは「歩いて・捕獲して・レイドする」の3拍子が揃った王道的な内容だと思いました。
ナオさん「僕も実際にプレイしてみて、これくらいなら気持ちよくプレイできるのではないかと思っています」
・GOスタンプラリー
──ふむふむ。そういえば昨日、吹田市のスタンプラリーも回りました。良い試みだと感じた一方で、まだまだ改善点は多いとも思いました。
ナオさん「はい」
──駅から目的地までの公式ルートはもっと精密なものが複数あってもいいのかなと。
ナオさん「その通りですね。市街地で展開したGOスタンプラリーは今回が初めてで、我々もやってみてわかった点が多かったので今後に活かしたいと思っています」
──ただその中でも江坂駅周辺の歓迎ぶりには感動しました。イベント名こそGOフェス大阪ですが、やはりホストは吹田市なんだなと。
ナオさん「僕も何度目かの吹田市なんですが、これまで知らなかった街並みを目にできたことは新鮮でした」
──そういえば途中迷って、地元の人が作った「通勤ルート」をやったんですよ。通勤だから駅に着けそうだなと思って。結果ドンピシャで、裏道でしたけど楽しかったですね。
ナオさん「それこそ普段僕たちがやりたいことなんです。どうしても僕らはいつも同じ道や歩きやすい道を選んでしまうんですが、知らない道を歩くきっかけになれれば嬉しいですね」
・今後のリアルイベントについて
──さあ、終盤になってきましたが、会社は変わりますが今後もリアルイベントは期待してよろしいでしょうか?
ナツキさん「はい、ご期待ください」
──リアルイベント好きとしては、頻度が落ちるのか、それとも増えるのか? 形式自体が変わっていくのかなどと興味は尽きません。
ナツキさん「そうですね。スポーツチームで言えば、基本的にチームは同じでオーナーが変わったイメージです。なのでリアルイベントがポケモンGOの中心の1つであり続けることは変わりません」
──ふむふむ。
ナツキさん「そもそもトレーナーのみなさんにより良い体験をしていただくための買収なので、少なくともガッカリさせるような頻度になったり内容になったりすることはないと言い切れると思います」
──力強い。安心しました。
ナオさん「ポケモンGOはみんなで集まってプレイすることにも重きを置いていて、リアルイベントはその最たるものです。ナツキさんが言うとおりガッカリさせるようなことは無いと思っています」
──わかりました。色々ありますが、引き続きポケモンGOもリアルイベントも楽しみにしています! 本日はありがとうございました!!
・リアルイベント、フォーエバー
ご覧のように「会社が変わってもリアルイベントがポケモンGOの中心の1つであり続ける」と聞けたことは率直に安心した。むしろ「より良い体験のための買収」とのことなので、ひとまずは楽しみにしておこう。
またGOフェス大阪関連の話も、取り繕うことなく率直にお話いただいたのではないだろうか? 良きところは進化させ、反省すべきところは修正する。リアルイベントに限らず、そういう姿勢であり続けて欲しい。
いずれにせよ、今後もリアルイベントは世界各地で開催される見込みだ。次に我々はどの国のどの街に誘(いざな)われるのか? そこにはきっと最高に楽しい体験が待っている……ハズだ。
参考リンク:ポケモンGO公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:©2025 Niantic, Inc. ©2025 Pokémon. ©2025 Nintendo / Creatures Inc. / GAME FREAK inc.
ScreenShot:『ポケモンGO』 (iOS)