樹木医 冨田改さん 「樹木は永年の友」
「我々と言葉を交わすことはできないが、メッセージを発していることは確か」――。樹木の声に耳を傾け、天寿を全うできるよう最善を尽くすのが樹木医の役目だ。
小出村(現在の遠藤)出身。幼少から里山を駆け回り、自宅では農作業を手伝うなど植物や樹木は身近な存在だった。大学の農学部を卒業し造園業に従事していた時、「自分の経験の延長線上にある」と感じ樹木医の資格を取得。以来、植物の生態や森の形成、土壌学、病害虫・害獣、気象学など幅広い専門知識を生かし、湘南地域の樹木を診断し続けてきた。
1人の樹木医がその木を診断できる期間は長くて20年ほど。しかし樹木は100年以上生き続けることも珍しくない。そのため状態や治療を記録として残し、後世につないでいくことが重要だという。
相談役を務める会社では後進育成にも力を入れる。「樹木は人間のお友だち。世話になっている相手方を大事にしなければ」。今まで最も大事にしてきた思いを「今回の認定でより広く伝えられたら」と目を細めた。