【倉敷市】第4回DESIGN GOALs collection2024(2024年11月4日開催)~ 家族連れも障がいのある当事者もごちゃ混ぜになって、おいしいものや楽しいワークショップを楽しんだ一日
障がい者の多くは、日常生活に支援が必要です。しかし、その人に合った環境さえ用意すれば、会社としてお仕事をお願いできるくらいに完成度の高いものを作ってくれる人が多いのもまた事実。
岡山県でも一般社団法人DESIGN GOALsが、障がいのあるクリエーターとデザイナーがプロジェクトチームとなって企業が希望するデザインを制作するプロジェクトに取り組んでいます。
DESIGN GOALsが主催する障がい者アートでつながる28店舗が児島に集結したイベント「倉敷DESIGN GOALs collection2024」が、この秋も倉敷市児島にある児島市民交流センターで開催されました。
第4回倉敷DESIGN GOALs collection2024とは
倉敷DESIGN GOALs collectionは、一般社団法人DESIGN GOALsが主催するイベントで、2024年11月4日(月・振休)午前10時~午後3時まで開催。
前回の第3回同様「高梁川流域」をテーマに、障がい者アートでつながる28店舗が児島市民交流センターに集合しました。
会場のようす
イベント当日、開場から間もない午前10時30分ごろに会場へ到着すると、芝生広場も展示ホールも多くの人で賑わっています。
「DESIGN GOALs collection」の名前の由来となっているDESIGN GOALsプロジェクトは、障がいのあるクリエーターとデザイナーがプロジェクトチームとなり、企業が希望するデザインを制作しています。
そのため、会場には車椅子ユーザーをはじめとした障がい者が多く集まるのかと思いきや、家族連れの姿が目立ちます。
ワークショップも数多く出店されているので、熱心に作品を作ったりネイルをしてもらったりして盛り上がっていました。
一方で、出店でゆっくりと商品を眺めていると時おり「よう!」と店主に親しげに話すお客さんも現れます。店主とのやり取りをよく聞いていると、出展者と縁のある当事者やその家族だとのこと。
障がいのある当事者も家族連れも、ごちゃ混ぜになってイベントを楽しんでいました。
主催者の高橋京恵(たかはし きょうえ)さんは
「気候の良い時季に開催できて良かったです。
芝生広場も展示ホールも賑わっていて、どの人が障がい者でどの人が健常者かわからないくらいにごちゃ混ぜになっていてうれしいです。DESIGN GOALs プロジェクトに携わっているクリエイターさんもたくさん来てくれているんですよ」
と笑顔で語っていました。
高橋さんにお話を聞いている間も、高橋さんを慕う障がいのある当事者やその家族がどんどん集まってきます。
おいしいものがたくさん集まったDESIGN GOALs collection
障がいの有無に関係なく、「みんな一緒に楽しむ」ことを目的としたDESIGN GOALs collection。
芝生広場には、積極的にSDGsに関わるお店が並びました。なかには、生産過程に障がいのある当事者が携わっているお店も多くあります。しかし、調理実習で作るような家庭的な見た目ではなく、どれも本格的なお店の味です。
チーズをその場で削って作られるレストラン ア・ラ・メゾンのカルボナーラや、ジューシーに焼き上げられるBONITA’S PINOY SARISARI STOREのチキン、かわいらしくラッピングされたもとや・コジカフェ倉敷おからクッキーに、倉敷のマルシェといえばいつも目にするパティスリー ル ヴェールの焼き菓子……。
どれも「障がい者支援」という理由があってもなくても、見るだけでよだれがあふれそうなフードばかりでお腹いっぱい楽しめました。
きらりの缶バッジ屋さんで、ワークショップ体験
展示ホールでは、数多くのワークショップが展開されていました。
私のお目当ては、DESIGN GOALsプロジェクトへの参加経験のある星きらりさんのワークショップ「きらりの缶バッジ屋さん」。
二分脊椎症(にぶんせきついしょう)のため車椅子を使用する肢体不自由者の星きらりさんは、ラメの入ったペンを使い、昆虫や魚を描いた作品で独自の世界観を表現します。
イベント当日は、きらりさんが描いた高梁川にちなんだお魚をそのまま缶バッジにするのも良し、あらかじめ魚が描かれた紙に自分なりの彩色するも良し、イチからオリジナルの絵を描くのも良し。
参加者がそれぞれ、自分のオリジナル缶バッジを制作できます。
私は、あらかじめ魚が描かれた紙に彩色して缶バッジを制作しました。
缶バッジ用の絵は非常に小さいので点描するには集中力が必要で、作業に没頭する時間は日常から離れて自分の世界に入り込めます。
絵を描き終えると、いよいよ缶バッジ作り。
私は聴覚障がいがあるので手順を聴きとれるか心配でしたが、スタッフとして店頭に立つきらりさんのお母様が手話で説明をしてくれたので、スムーズに缶バッジを制作できました。
自分で作った缶バッジには愛着がわき、思わずその場で胸につけてしまいました。
おわりに
青空のもと飲食店の良い匂いがあちらこちらから漂い、明るい展示ホールにはワークショップを楽しむ子どもたちの声があふれていました。家族連れも障がいのある当事者とその家族も同じ場にいることが当たり前で、来場者の誰もがそれを特別だと思っていない、まさにインクルーシブな時間が流れていたDESIGN GOALs collection。
障がいの有無にかかわらず来場者がそれぞれに自分たちのペースで楽しめる場が増えることは、障がいのある当事者やその家族の暮らしの選択肢を広げます。どのような事情がある人も「自分が行っても良い場」だと思えるイベントが、これからさらに増えていってほしいです。