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全日本大学駅伝で国学院大が初優勝できた要因、青山学院大の独走阻んだ「つなぎの走り」

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イメージ画像,Ⓒsportpoint/Shutterstock.com

出雲と合わせて2冠達成、箱根で史上6校目の3冠に挑む

11月3日に行われた第56回全日本大学駅伝は国学院大が出場12回目で初優勝を飾った。これで10月の出雲駅伝と合わせて「2冠」を達成。来年1月の箱根駅伝で史上6校目の「3冠」に挑む。

全日本大学駅伝は8区間106.8キロで、7区が17.6キロ、8区が19.7キロと長く、この2区間が優勝を大きく左右することが多い。

今年も7区には、国学院大は初マラソン日本最高をマークした平林清澄、駒大は篠原倖太朗、青学大は太田蒼生、中大は吉居駿恭と、各校のエース級が並んだ。だが、国学院大に初栄冠をもたらしたのは、駅伝らしい「つなぎ」の力だった。

青学大の独走を阻んだのはエースではなく、つなぎ区間の2人

レースは4区で青学大の黒田朝日が区間新をマークするなど、4区を終えて青学大が独走態勢に入っていた。

かたや、国学院大は1分27秒差の3位と、先頭の背中も見えない位置。1人で走る単独走に強い青学大が最も強い展開になり、国学院大の2冠は厳しい状況だった。


だが、エース区間の7、8区につなぐ5、6区の走りが状況を一変させた。

国学院大の5区は2年生で出雲4区区間賞の野中恒亨が今回も区間賞の走りで3位から順位を上げ、トップ青学大との差を41秒差に縮めた。この走りが、青学大の独走に待ったをかけた。

ただ、41秒という差は決して小さくはない。「二の矢」が継げなければ、初優勝は厳しい。重要になる6区を任されたのは4年生の山本歩夢だった。

山本は昨年の全日本では2区で区間11位。力を出し切れなかったが、今年は違った。区間新の走りで青学大との差を4秒にまで縮めた。青学大の白石光星も区間2位の走りだったから、悪いわけではない。山本の走りが良すぎたのだ。

つなぎ区間のお膳立てがアンカー対決を生む

7区で国学院大はエース平林が青学大の太田との差を縮められなかったが、8区で上原琉翔が、青学大の塩出翔太とのアンカー対決を制し、悲願のフィニッシュテープを切った。

もちろん、勝負どころで1対1の走りを制した上原は見事だったが、エース区間までもつれる展開に持ちこんだのは、5、6区のつなぎの区間の頑張りだった。つなぎの役目をするランナーがしっかりと「お膳立て」をしたからこその、エース区間対決だったと言える。

国学院大の前田康弘監督は「つなぎの区間には自信がある」と語っていたが、まさにその通り。6区の山本も「平林だけではないということを証明できた」と語った。

箱根は青学大、駒大を加えた3強の争いへ

駒大出身の前田監督は、恩師である駒大の大八木弘明総監督から、ねぎらいの言葉をかけられ、涙を流していた。だが、史上6校目の3冠を前に、その恩師率いる駒大、全日本で優勝を争った青学大が立ちはだかる。

メンバーが2人増える上に距離が大幅に伸びる箱根で求められるチーム力は全日本とは大きく違い、全日本優勝=箱根優勝最右翼とはならない。国学院大、青学大、駒大の3強が、箱根の頂きを目指す構図は続く。

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記事:鰐淵恭市

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