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キャスト、監督、プロデューサーによるオフィシャルインタビューが解禁『劇場版 米寿の伝言』

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キャスト、監督、プロデューサーによるオフィシャルインタビューが解禁『劇場版 米寿の伝言』

インディーズ映画の聖地である池袋シネマ・ロサ(東京)にて5/10より公開中の『劇場版 米寿の伝言』。初日、2日目ともに満席になるほど好評を博しており、上映期間も当初2週間の予定だったが、急きょ上映延長(~5/29まで)が決まった。さらには6/6からのTOHOシネマズ梅田(大阪)に続き、6/20からはサツゲキ(北海道)での上映も決定した。

異例の製作経緯

本作は“死んだ祖父と孫の中身が入れ替わる”家族の奮闘と絆を描いたハートフルコメディだが、実は、“演劇の道”に進みたかった元教師の父の夢を叶えるべく、娘がプロデューサーになり、“演劇の道”を進んでいる息子たちに声をかけ西本家の挑戦がスタートした「主演・85歳の素人おじいちゃん」という異例の製作経緯でも話題となっている。

主演の実孫でありメインキャストの西本健太朗、ガクカワサキ監督、プロデューサーであり実娘の西本浩子に話を聞いた。

(C)米寿の伝言

―「お父さんを舞台に立たせてあげたい」との思いではじまった挑戦とのことですが。
西本浩子(以下、浩子):私は小さい頃からお父さんが本当に大好きで、ずっと尊敬して生きてきたんですけど、父は昔、小・中・大学では演劇部に所属し、役者を志していたそうなんです。ですが父の弟がはやくに亡くなったことにより役者の道を諦め、安定した先生の道を選んだんです。さらには先生になってからは演劇部の顧問をやっていました。

私の息子たち(西本健太朗、西本銀二郎)がたまたま子供の頃から役者をやっていたので、お父さんがよく本気のダメ出しをするのを見て、役者を目指していた魂がまだ心の中に残っているんだなと思いました。80歳を過ぎて、体も動くうちにできることなら夢を叶えてあげたいと思ったので、舞台に出られるワークショップに申し込んだんです。ですが前日になり「腰が痛いからやめておく」と、どうやら怖気づいてしまったようで(笑)じゃあ息子たちと一緒ならと思い、自分たちで舞台をやることにしました。

西本健太朗(以下、健太朗):僕はもう0歳の頃から芸能事務所に入っていました。自分の意思というより母に入れられて(笑)物心ついた時にはオーディションや舞台は習い事の感覚で、弟は僕の舞台を観たことがきっかけで、自らの意思で小学生の時に役者をはじめました。

―タイトルは「ルージュの伝言」からですか?
ガクカワサキ監督(以下、ガク監督):そうですね(笑)ちなみに『魔女の宅急便』は「ジジ、今夜に決めたわ! 出発よ!」というセリフではじまるんです。そのパロディとして舞台版では「ジィジ、今夜出発よ!」ではじめています。そのダジャレから「ルージュの伝言」と『米寿の伝言』もいけるなと(笑)あと、80歳を超えている主人公だとわかるタイトルにもしたかったという意味もあります。

―なぜ「おじいちゃんが死ぬこと」を描いたのでしょうか。
ガク監督:じぃじが当時81歳だったので、まず100分の舞台に立てるかという体力的な問題と、セリフ的な問題がまったくの未知数でした。主演なのにちょっとワンシーン出ただけではお客さんも含めて納得してもらえないので、ほぼ主役に見せるにはどうしたらいいかと悩みました。それで死体役を思いついたんです。舞台版は棺桶ではなくて、お布団にずっと横たわっているので、お客さんは舞台上でじぃじの顔を見ていて、そばでは中身が入れ替わった孫が演じる仕組みを使ったら、おじいちゃんでも100分の舞台に立てるんじゃないかと。

そして、“もしものお別れ”を舞台上で見たら、それはきっと多くの人に「見ていいお別れ」が作れるんじゃないかなと思いました。祖父と孫が入れ替わっている面白さもあるんですけど、それはセリフを半分孫に言わせるための発想でもあるんです。

健太朗:もし最初から映画だったら、たぶんこの発想にはなってないですね。

ガク監督:じぃじは舞台の千秋楽が近づくと、ハット帽をかぶって楽屋に入ってきて、すっかり俳優になられていて(笑)とても活き活きしていました。お客さんからも好評だったので、これはいけるぞ!ということで、大阪での約 600人の動員に続いて、東京でも1000人超を動員して完売回が続出するなど、ほぼ満席になりました。

―舞台からの映画化についての経緯は?
浩子:大阪と東京で舞台公演して、私もじぃじもそれで満足したんです。映画化したのはコロナウィルスが流行ったことが大きく、その頃「毎日つまらんわ。誰にも会えないし」ってぼやいていて。同時に、息子たちの周りの役者さんたちも舞台の中止やバイトに行けなくなって涙を流していて。それで何かをやりたいなと。舞台でじぃじの姿を見てみんな元気になって「私どもも頑張らなあかん」と言ってもらえたので、「じゃあ今度は映画にしよう」と、そんなノリでした(笑)

ガク監督:映画との違いは、舞台版では弔問客たちに1個ずつドラマがあるんです。じぃじに感謝している他人がいっぱい家に来て、じぃじとのエピソードが明かされていく。映画ではそこを大きく省略したのですが、それは予算的な都合で。予算から撮影日数を逆算し、撮れるものを撮るために脚本を直しました。

浩子:製作費は1000万円でした。クラウドファンディングなどの支援で500万円集まりました。もう500万かかるということになったので、私の400万円と健太朗が100万円出してなんとかしました。

―『カメラを止めるな!』の上田監督が企画ミーティングに参加していたそうですがアドバイスはありましたか?
ガク監督:上田監督にいただいたアドバイスのなかで「タイムリミットをもっとハッキリ作った方がいい」と言われ、まさに『カメ止め』らしい発想だと思いました。本作は寝ずの番の話なので、僕はなんとなくのタイムリミットっていう感じでちょっとぼやっとしていたんですけど、ハッキリと火葬場に行くという時間を前半にセリフとして出して、朝までに絶対に終わらせなきゃいけないっていう引っ張りを作った方がいいというアドバイスは、おっしゃる通りだなと思いました。

上演時間を60分以上にした秘策

―本当は1時間半の作品になる予定だったとのことですが。
健太朗:上映時間は61分ですが、本当は90分くらいになる予定だったんです。編集が終わるとさらに減って57分になってしまって。クラウドファンディングで長編を作ると宣言したので、どうやって60分以上にしようかなと。

ガク監督:追加撮影はできないので、いろいろ考えた末に“とある物を入れる”という作戦を思いついたんです。ネタバレになってしまうので言えませんが(笑)

健太朗:映画の上映会でもそこの場面が好評だったので、もし最初から90分で完成していたら生まれなかったシーンなんです。

ガク監督:僕も最終的に観た時に、やっぱり入れて本当に良かったなと思いました。さっきの主役に見せるにはどうしたらいいかという遺体の話じゃないですけど、制限がかかるというか、困難にぶつかった時に打開策を考えると大体良くなる。本作はそういうことが多かったですね。

―製作段階から米寿を迎えるタイミングを狙ったのでしょうか。
浩子:公開中の5月15日に本当に米寿を迎えることと、『米寿の伝言』というタイトルがついていますが、「88歳」をすごく意識して動いてたわけではないんです。舞台も81歳でスタートしたので、いずれ米寿になるときに元気でいてくれたらいいなくらいで。たまたま映画館で上映できるという話をいただいて、どうせだったら米寿を迎えるときにできたらいいなと思いましたが、うまく決まりました。撮影時は85歳だったのでもっと早くに上映していてもおかしくなかったのですが、不思議とこのタイミングになりました。

―土屋太鳳さん、北村匠海さん、松岡茉優さんなど豪華な著名人からの応援コメントが話題になっていますが。
浩子:銀二郎が出演したドラマや舞台での共演者の方が多いですね。ありがたいことに沢山の方にかわいがっていただいているので、本当に温かいコメントを寄せてくださって感激しています。吉田鋼太郎さんは、健太朗も銀二郎も共演させていただいたことがきっかけで仲良くさせていただいているんです。

―これからご覧になる方々へメッセージをお願いします。
ガク監督:奇妙な家族の言い出しで生まれた映画なんですけど、僕が言うことでは本当にないと思いますが、本当に形にできるんだなって、僕がカメラの前でそれをとても感じていたので、みなさんにも伝わればいいなと。家族を大事にという部分もそうですが、それよりも思い描いたことが叶うんだなっていうことが僕はいちばん伝わってほしいので、エールになれば嬉しいです。

浩子:最初、これをやりたいって言ったときは、本当に自分の好奇心とお父さんが大好きだからという思いだけで、親孝行しようとかはまったく考えていませんでした。役者をやっている父を見たいっていう一心で。家ではぼんやりとしている父が、舞台に上がるとすごくキラキラしている様子を見て、やっぱり生きてる間に実現できて本当に良かったなと思ったので、本作を観た誰かの背中を押せたら。生きてる間にちょっと親子で話そうよということを今はいちばん伝えたいですね。

健太朗:本作では、僕と弟の信頼できるスタッフさんや役者さんが本当に集まってくださって。僕らの“家族事”を「面白そう!」と手伝ってくださっただけで感謝でいっぱいです。観てくださる方にはストーリーももちろんですが、どういう経緯で作られたかという部分も含めて「自分も親孝行したいな」とか「今日親に電話しました」という感想をいただいたときに、心を動かせる作品なんだと実感できたので、そんな優しい世界のきっかけになればいいなと思っております。

『米寿の伝言』(C)米寿の伝言

『劇場版 米寿の伝言』は5月10日(土)より池袋シネマ・ロサ、6月6日(金)よりTOHOシネマズ梅田ほか全国順次公開

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