市民病院の経営形態移行 市民説明会まとめ〜随時更新
赤穂市民病院の経営形態を指定管理へ移行する方針を固めたのに伴い、赤穂市が今月17日から12月2日まで市内9か所開いている市民説明会のこれまでの主な質疑を赤穂民報でまとめた。
20日の有年公民館での説明会分まで。今後も随時追加更新する。質問の末尾のかっこ内は、その質問が出された説明会場。質問に対する回答がないのは、要望のみだったり、回答が確認できなかったもの。
なお、類似の質問であっても、会場によって回答内容がやや異なったり、微妙なニュアンスの違いや変化がみられるため、重複して掲載している。
説明会の配付資料は記事の下にリンクあり。
説明会日程は次のとおり。
▽11月17日(月)=城西公民館【終了】
▽11月18日(火)=高雄公民館【終了】
▽11月19日(水)=尾崎公民館【終了】
▽11月20日(木)=有年公民館【終了】
▽11月25日(火)=塩屋公民館(午後6時半〜)
▽11月26日(水)=赤穂西公民館(午後6時半〜)
▽11月28日(金)=御崎公民館(午後6時半〜)
▽11月29日(土)=市民会館(午後2時〜)
▽12月2日(火)=坂越公民館(午後6時半〜)
* * *
《赤穂市民病院の収支見通し》
――(今後の収支見通しについて)令和9年(2027年)に本館の借金返済が終了してからの経営改善も見込んだ数字なのか。(尾崎)
病院財務課長=令和9年(2027年)に本館の企業債の償還が終了することを含んだ収支見込みとしている。
――指定管理に移行するまでの1年半も経営改善していくとのことだが、その数字が出ていない。言葉が軽すぎる。(城西)
病院財務課長=令和7年度(2025年度)は経営強化プランに基づき、6億6000万円の赤字を目標に設定している。まず、この目標に経営改善に努めていきたいが、現状はなかなか厳しい状態が続いている。個別の目標としては、救急受け入れ2000台を確保、紹介患者数についても目標をもって地域との連携に励んでいる。
――市民病院の収支見通しで、令和8年度(2026年度)がマイナス16億円となっている。改善する予定はないのか。(城西)
病院財務課長=これまでも委託料、材料費の削減に取り組んできており、これ以上の支出削減は難しい。収益面では、患者数の減少傾向にどう歯止めをかけるか。地域の開業医との連携強化を目標に収入を確保していきたい。
――赤字解消のために収入と支出のバランスをどうするか、負債をどう整理するか、5年後にはどうなるのかが見えにくい。精査した上で説明会をやってほしい。(城西)
病院特命担当部長=今回は経営形態移行の方向性を説明した。収入、負債のバランスの説明がなかった点はおわびする。伯鳳会との詳細な協議はこれから。現時点で決まっていないことも多く、それらが固まり次第、説明会を検討したい。
――市民病院で現在働いている方は可能な限り残ってほしいとのことだが、それだと人件費の問題は解消されないのではないか。(城西)
政策担当課長=病床数に必要な人員配置は計画しているが、現時点では職員が過剰になるのか、不足になるのか見込みが立っていない。構想の実現と経営効率化の両立を図って今後調整していく。
――常勤医師が患者減の原因ならば、患者はこれ以上増えないのではないか。(城西)
病院財務課長=患者数の増減には、医師の確保が非常に大きく関わっていると考えている。大学医局を積極的に訪問して働きかけを続けていく。ただ、常勤医が不足している診療科がすべて患者が減少しているかというとそうではないので、常勤医が不足している中でもタスクシェアなどで患者数の確保に努めていく。
――負債がある市民病院を抱えて、伯鳳会は経営が成り立つのか。(高雄)
市長=資料6ページにあるが、まず不良債務の39億円は赤穂市で解消し、伯鳳会には負債のない状態で渡す。
――経営形態が変わっても、すぐに赤字が黒字になるとは思えない。(高雄)
市長=一定の委託料を支払うので、カバーできるのではないか。
――委託料(指定管理料)は、いつかの時点でなくなるのか。(高雄)
政策担当課長=(市民病院の収支が)黒字化したとしても、国からの交付金に相当する指定管理料は支払う。
《経営形態移行に係る財政負担》
――経営形態の移行による財政負担が総合計で67億円、退職金で28億円とのことだが、今まで以上に市民負担が増えるのか。(城西)
総務部長=退職金については退職手当債、負債は市の基金と県の貸付金で対応する。一時的な負担を軽くして、後年度に負担を平準化しながら対応していく。特に5年間は厳しい財政状況になろうかと考えているが、できるだけ市民サービスが低下しないようにやっていきたい。
――移行時の市の財政負担が67億円とのことだが、市民サービスなど市の事業に影響が出るのではないか。(有年)
総務部長=令和9年度(2027年度)から5年間程度が最も財政的にきつい。市民サービスへの影響が少なからずあると考えているが、できるだけ影響がないように後年度の負担に平準化していきたい。今回決断しないと、逆に行政サービスが本当に下がってしまう。
《経営形態を指定管理者とすることについて》
――中央病院に丸投げして、後は何とかやってくれということか。(城西)
市長=丸投げして経営改革してもらおうというわけではない。
――公立病院として維持する市民にとってのメリットを明確にしてほしい。(城西)
市長=市民病院は現在産科は休止している。小児科も医師の確保が十分ではない。救急も医師等が確保できなければ受け入れられない。これら政策医療、不採算部門を守るために公立病院を維持する。中央病院に指定管理をお願いすることで産科が復活できる。小児科も両方を合わせることで今後も常勤医を確実に確保できる。救急、かかりつけ医からの紹介患者も一本化することによって必ず市民病院が受ける。感染症患者の受け入れや災害医療、検診センターといったものも維持できる。公立病院として赤穂市のコントロールが効くようにやっていきたい。民間に売り渡してしまうと、ものを申せない。
――公設とは病院の保有建物や設備などの資産は市が保有し、維持管理することと理解している。建物の減価償却費を含め維持管理の費用は試算しているか。設備の範囲は。(有年)
病院事務局長=医療機器などの設備は、通常の修繕は管理運営費の中で(指定管理者に)やってもらう。もっと大きな設備や建物など固定資産にかかわるものは、これから詰めていくが、基本的には市が担当することになろうかと思う。
政策担当課長=これまで減価償却は市と病院で半分ずつ支払うルールでやってきており、今後の協議にはなるが、基本的には今後も指定管理者に2分の1を負担してほしいというのが基本的な考え方だ。
――指定管理制に移行する前に、ダウンサイズする検討はなかったのか。(尾崎)
病院事務局長=国から許可されている病床数360床に対し、現在の一日平均入院患者数は約200人なので、減らせばいいじゃないかと言われるかも知れないが、病床数を減らすことによって国からの交付金であるとか。看護師も360床ではなく200床に応じた配置にしているため、病床数を減らしても職員の数は減らず、画期的な経営改善にはならない。
《医療法人伯鳳会を指定管理者候補とすることについて》
――伯鳳会とすでに契約したのか。(高雄)
政策担当課長=現在は正式に契約を取り交わしたものではない。市民病院の経営状況、赤穂市の財政状況から2027年度4月の経営形態移行を目指して進めている。伯鳳会とは指定管理を受けてもらうことについて大筋了承いただいたというところ。来年度のしかるべきタイミングで議会に議案をはかった後、協定を結んで正式に指定管理者に指名される。
――今年6月に市長が伯鳳会の古城理事長に会ったとのことだが、なぜ、指定管理者を公募しないのか。(尾崎)
市長=6月末に会ったのは事実だ。公募も選択肢としてはあるが、公募だと、どんな法人が応募するか未確定。公募してくれるところの調査から入らなければならず、あまり時間をかけられなかった。一方、中央病院は赤穂市内の総合病院なので、ある程度実態はわかっている。中央病院が持っているノウハウと市民病院がこれまで果たしてきた役割のいいところを出し合いながらやっていくことができるのではないかという判断の下、公募せずに進めた。また、赤穂市の規模、圏域の規模で2つの総合病院が共存できる環境ではなくなっている。2つの総合病院を統合することによって地域医療が守れるとの判断で今回は公募しない判断に至った。
――市長が6月に伯鳳会の理事長に相談したというが、それまでに京都大や神戸大などの関係大学や養成医を派遣する兵庫県に相談したのか。(有年)
市長=その時点では大学には話はしていなかったが、医師の派遣については、相前後して派遣元の大学や病院に要請している。兵庫県についても同様だ。
――古城理事長と話をする前に県や大学と話をしていないのは順番を間違えていないか。(有年)
市長=6月末に会ったのは確かだが、なにも「どうぞやってください」という意味ではなく、意向確認をした。県にはそれまでアドバイスを受けており、指定管理者にするなら医師や養成医を派遣してもらえるという前提だった。各大学には前後はあるが、速やかに方向性は説明し、段階ごとに固まった時点で病院から説明している。確約はないが、口頭で協力をお願いし、それなりの返事をもらったと聞いている。
――伯鳳会と赤穂中央病院はどういう関係なのか。(尾崎)
政策担当課長=伯鳳会は1962年に古城外科からスタートして現在中央病院となっている。中央病院を経営しているのが医療法人伯鳳会だ。伯鳳会は中央病院を含めて6つの病院を中心に2診療所、4つの介護老人保健施設、各種通所施設、身体障害者授産施設、医療専門学校など40近い事業所を運営している。
――指定管理者が途中で放り出すことはないのか。(有年)
政策担当課長=さまざまな調整を進めて協定を結び、そういうことがないように条件をすり合わせて収支計画を立てる。実現可能性を市としても評価するし、議会にも上程し、無理のない収支計画とする。
――伯鳳会理事長のインタビューの内容のとおりなのか。(有年)
市長=古城理事長は赤穂民報のインタビューに応じていろんな発言をされているが、赤穂市と十分調整した決定事項でもない。思いを述べられたのだと思う。その点は誤解のないように理解してほしい。決まっていることもあるかも知れないが、詳細にどれが決まって、決まってないとか言えない。
――インタビュー記事は理事長がでたらめを言っているので忘れろということか。(有年)
市長=そういう意味ではない。まだ決まってないことがあるので、決まったら正式にさまざまな手段を講じて伝えたい。
政策担当課長=指定管理者として一緒にやっていく伯鳳会の古城理事長の構想であると市としては認識している。市としては、選定療養費にしても院内処方にしても、医師会や薬剤師会などさまざまな調整がいる。市としては立場上、そうした調整をクリアしないと、こうしていく、こう決まる、とは言えない。立場の違いがある。古城理事長の構想を市がまったく理解していないのかというと決してそうではないが、ここで市として決定事項と言うことはできない。
《移行後の市民病院〜医療》
――現在かかっているお医者さんに継続して診てほしいが、医師は残るのか。(城西)
市長=現在、市民病院に勤務している医師、看護師、医療従事者は、原則指定管理者の方に移っていただきたいと考えている。公務員として赤穂市に残りたい、都合により退職したいという方には強制できない。基本的には伯鳳会に身分を移していただくために退職金を計上する。非常勤医師も含め、できるだけ残ってもらえるように大学病院に話しているし、これからもお願いしていく。
――医師、看護師の数は減るのか。(高雄)
病院総務課長=職員配置、診療科とか医師の人数などはこれからの協議事項だが、2つの病院を統合する形で病床数を増やすこともあり、想定としては増えると考えている。具体的な数字は決まっていない。
市長=こんな形で病院が出発するということが決まれば、改めて説明会をしたい。ここで申し上げて、その通りにならないこともある。
――医局に帰る医師もかなり出てくるのではないかと心配している。それなりの人数を確保できる担保はあるのか。(尾崎)
病院事務局長=そういうことのないように市と法人と力を合わせて取り組んでいく。担保はないが、説明を尽くしていく。
――外来診療も市民病院に統合するとのことだが、市民病院でしかやっていない外来機能をなくさないでほしい。(城西)
――市民病院の循環器科の先生の診療姿勢に感銘を受けた。そういう先生を増やして、よい医療体制になるようにお願いしたい。(城西)
――市民病院は予約制なのに待ち時間が長い。外来を市民病院に一本化すると、さらに長くなるのでは。なおかつ、院内処方にもなると、さらに待ち時間が長くなるのでは。(城西)
政策担当課長=外来の一本化についても構想であり、これから医師会や各方面との調整がある。今後変動があるかもわからない。伯鳳会とは、まずは使いやすい病院、利便性の良い病院と併せて効率化を図る、集約化、機能分化を図っていくことを協議している。
――初診時選定療養費はどうなるのか。(城西)
市長=赤穂市としては患者負担のないように取らない方向で調整していきたいが、県、国、医師会との調整が必要で、病院だけで勝手に決められない。
――古城理事長は、院内処方に一本化するという話をしている。院外薬局の居宅療養を利用している患者への対応はどうなるのか。(城西)
市長=院内処方導入は現時点で決まっていない。
政策担当課長=院外処方を全くしないということではなく、院外処方を希望される方は院外処方が可能だ。伯鳳会の想定では、処方箋の出る患者の1割程度(※編集部註:説明会では「3割程度」との発言があったが、後で市から訂正がありました)が院外処方を希望するようだ。
――地域医療支援病院の指定を取り消したり、院内処方に戻すなどというのは時代に逆行している。(尾崎)
市長=古城理事長がいろいろおっしゃっているが、まったく決定したわけではない。国や県との相談、地域の医師会、医療機関とも調整せず一方的にできない。
――救急はすべて市民病院になるのか。(城西)
市長=現在、市民病院に約2000件、中央病院に約1000件の救急搬送があるが、すべて市民病院に統一する。
――老健あこうはどうなるのか。(尾崎)
病院事務局長=老健あこうも市民病院と一体的なもののため、併せて管理をお願いしたいと考えている。
――送迎バスで中央病院にかかっている日生、上郡方面の患者の今後の来院手段について考えてほしい。(城西)
――市民病院の診察券はそのまま使えるのか。(高雄)
病院総務課長=今のところ決まっていない。今後協議する。
――地域診療所を廃止されると困る。(有年)
政策担当課長=公立病院が実施する政策医療には診療所を必要な地域に提供する責務があり、財源も国から出るので、地域診療所は継続する方針だ。
《移行後の市民病院〜医療以外》
――指定管理の契約期間は何年か。(城西)
市長=10年を想定している。
――減価償却費を市が負担する必要はあるのか。(高雄)
政策担当課長=減価償却費は現在、病院と市で2分の1ずつ負担している。指定管理後も今後の協議にはなるが、一定の率を伯鳳会に負担してもらう。
――病院名はどうなるのか。(高雄)
市長=「赤穂市民病院」の名前はそのまま残る。
――今の市民病院の職員が伯鳳会に移行したとき、中央病院のやり方についていけるのか。(高雄)
市長=私は市民病院と中央病院の両方にかかっているので、おっしゃることはよくわかる。サービスが低下しないように赤穂市としても申し上げていく。
――赤穂市や議会は病院経営に関与したり、意見したりできるのか。(高雄)
政策担当課長=公立病院として維持するのが大前提なので、今後も市と議会は関与し続ける。毎年度、実績報告を求め、予算・決算でも必要な説明を行っていく。必要に応じてモニタリングを実施する。
――赤穂市病院事業で借り上げている医師の住居の契約名義はどうなるのか。今後の医師住居の確保は伯鳳会が担当するのか。(城西)
病院総務課長=現時点で回答できない。今後伯鳳会と協議する。
——指定管理移行時のシステム変更費は市が負担するのか。(有年)
病院事務局長=市民病院と中央病院ではシステムが違う。どちらかに統合するのか、また費用負担についてはこれからの調整で決定する。
――二期構想の借金はどうなるのか。(有年)
病院財務課長=2024年度末の企業債残高は29億2000万円で、これを2047年度まで年1億3000万円ずつ赤穂市が償還していく。
――委託先の事業戦略や人事配置に市は関与できないのではないか。(有年)
政策担当課長=市と指定管理者で詳細な契約、協定を結ぶ。施設の利用状況や収支状況等の事業報告書の提出を義務付け、必要に応じて実地調査やモニタリングを行う。利用者アンケートも実施できるような規定になり、市がしっかりと管理していく。
《職員の処遇》
――職員は伯鳳会の職員になるのか。(高雄)
市長=職員は令和9年(2027年)4月以降は希望されれば伯鳳会に移行する。
――市民病院の看護師、事務職員の身分はどうなるのか。(高雄)
人事課長=基本的に指定管理となった時点で一旦退職となり、指定管理後の市民病院で働く方は伯鳳会の職員になる。事務職は、そのまま市の職員として公務員の身分を引き継ぐ。公務員のままでいたいという方は人事異動で身分を引き受ける。
――市民病院から伯鳳会に移行する職員の処遇はどうなるのか。(城西)
総務部長=整理退職となるので、退職金は条例で定めた額が上乗せされる。現給保障は職員の意向を確認した上で一人一人の額を計算して、一定期間の保障をしたい。
市長=処遇が下がらないように努めていく。
――移籍後の処遇に、これまでの経験年数は加味されるのか、それともゼロからのスタートになるのか。(城西)
総務部長=個人個人の経験年数に応じて処遇が決まると聞いている。市民病院と中央病院の給与の差額ははっきり把握していない。
――内部で働いている者としては、今後の見通しがわからない。退職する職員は就活しなければならず、いつごろに見通しがわかるのか言ってほしい。(城西)
総務部長=職員アンケートを確認した上で、できれば来年3月ぐらいまでには、ある程度の意思決定をお願いしたい。
――(指定管理移行時に)退職金を一旦支払うという仕組みがわからない。(尾崎)
人事課長=指定管理後も赤穂市民病院で勤務する職員は赤穂市の公務員を退職して医療法人伯鳳会の職員となるので退職金を支払うことになる。また、完全に退職する方も退職金を支払う。赤穂市の地方公務員として残りたいという職員は市民病院で働くのではなく、市役所をはじめ公共機関で働くことになり、公務員を退職しないので退職金の支払いはない。
――通常の退職金が支払われるのか。(尾崎)
人事課長=地方公務員の身分を使用者側の事情によって失うので、いわゆる整理退職となり、加算がある。
《赤穂市民病院の経営悪化》
――なぜ経営が悪化したのか、ちゃんとした解析がない。反省がなければ次に進めない。例えば、二期構想でPETは反対と意見したのに導入して早々に売却した。これだけの赤字を積み重ねて、税金を無駄遣いしたのであれば責任者の謝罪があるべき。(城西)
市長=市民病院が直面しているのは、上がらない診療報酬、人件費の上昇、物価高騰。PETの問題とか全く反省していないわけではなく、いろいろなことが経営悪化につながっているのは確かだが、詳細に分析したかというと、それが一つ一つどうなっているのか私も分かりかねる。検診センターでの受診者増や医師確保に取り組んできたが、常勤医不足がここ数年続いている。
――今年度の経営が悪化した理由は何なのか。(高雄)
病院財務課長=昨年度と比較して、上半期の入院患者数が一日平均11・8人の減少、外来患者数は31・1人の減少となっており、入院・外来ともに収益減を予測している。また、費用も物価高騰、人件費上昇、委託料増が見込まれる。
――医療過誤によって患者の信頼を著しく失ったことが患者数が大きく減った要因では。再発防止策あっての経営改善ではないか。(高雄)
市長=医療過誤問題については、本当に市民の皆様方にご心配とご不安を与え、私自身もお詫び申し上げる。現在は対策を講じて、医療事故があればレベルに応じて半年ごとに発表し、重大事故はその都度発表している。患者数減少への影響はなきにしもあらずかと思うが、市民病院はすべての患者に安全安心な医療を提供するため日夜医療従事者が一生懸命頑張っているので理解してほしい。
――(脳神経外科の医療過誤。医療事故が)患者減の原因につながっているのではないか。(有年)
市長=患者数の減少には少なからず影響があったと考えている。報道が出るたびに「市民病院はあかん」と思われたことが頻繁にあった。
病院総務課長=医療過誤が起きた翌年の2021年度から外部委員の検証を受け、市民病院のガバナンス、院内の風土や体質に問題があったということで、医療安全マニュアルの見直し、研修の強化、医療事故の公表を行うようにした。信頼回復には非常に時間がかかるが、病院としては頑張っている。
――「入院・外来患者数が大幅に減少」したとのことだが、中央病院との比較データはないのか。(尾崎)
病院財務課長=人口減と、コロナ禍後に患者が戻っていないということが全国的にある。当院においては医師数が減っていることと、市外の患者の通院が年々少なくなっている影響が大きい。医師数については、令和元年度(2019年度)の67名から6年度(2024年度)は56名で11名減少した。看護師は令和元年度(2019年度)の260名から6年度(2024年度)は208名となり52名減った。中央病院の数字は持ち合わせていない。
――PET−CTを導入して売却した顛末は。(尾崎)
病院財務課長=地域がん拠点病院として、がんの早期発見に重要な機器のため導入した。ただ、維持費がかかることと、機器を扱う資格を持った医師が退職したため制度的に使えなくなった。
――経営破綻した根本原因はどこにあるのか。(尾崎)
市長=根本的な原因は正確には分析できていないが、人口減少のみならずコロナの影響もある。県立はりま姫路総合医療センターが開院し、市外の患者がそちらに行くケースが増えてきた。一方、中央病院はそんなに大きな変動はなかったかと思う。個人的な意見だが、二期構想でPETを導入した。PETは中央病院にもあり、4万人台の規模の人口で2つのPETがあるというのは共存共栄しにくい。また、二期構想に伴い、借金もふくらんだ。そこにコロナがあり、補助金で一時的には経営を立て直せたが、患者が戻ってこず収益は悪化した。昨年くらいから物価高騰があり、人件費も人事院勧告に対応して負担していくので、今まで以上に経費がかかっていく。新たな経営手法を活かすために指定管理者を導入する。2021年度から考えると、物価が上がったことが一つの大きな要因。もう一つは人件費も上がった。一方で診療報酬が上がっていないと同時に患者が戻っていない。それで収支が悪化した。
――二期構想はどう総括しているのか。(尾崎)
市長=過大な投資だったのかなと思うが、採算性や目標があってされたと思う。
《市民への説明》
――見通しが立った時点で市民に説明があるのか。(城西)
政策担当課長=正式に伯鳳会と指定管理の協定を結ぶ段階になれば、市の財政負担、指定管理後の病院の姿が見えてくる。
――説明会の配付資料は市のホームページに公開しているのか。(城西)
病院特命担当部長=できるだけ早い時期にホームページにアップしたい。(編集部註:11月21日にアップされています)
――説明会資料に「スケールメリットによる経費節減」とある。市民病院と中央病院のそれぞれの職員数などベースとなる数字を示してほしい。(城西)
政策担当課長=職員数は我々の言うスケールメリットに結びつくものではない。一般的には、2つの病院が共同購入することによって一括発注が可能になる。大きなところでは、外来機能の集約を図るので、これまでそれぞれの病院が装備していた高額な医療機器等の経費削減につながる。
――資料がわかりにくい。議員用と市民用の資料はわけてほしい。(高雄)
政策担当課長=この資料は市民の方にわかりやすいように作り直したものだ。
――他の説明会で出た意見を知りたい。(高雄)
病院特命担当部長=できるだけ早い段階で情報を公開したい。
――相手方との契約内容に基づき、市民に対し説明し、公設民営に理解を求めるのが筋では。(有年)
政策担当課長=市民病院の経営状況、市の財政状況から、これ以上後ろ倒しできないとの判断。まずは、こういう方向で市は調整していきますという説明をしている。2027年4月以降の診療機能や病床数などについて指定管理者候補では構想を持っているが、今後さまざまな調整がかかる。もう少し明らかになった時点で説明会をする予定にしている。今の時点では責任をもった財政計画を示すことはできない。
――資料の12ページに「指定管理者(候補)の赤穂中央病院を経営する医療法人伯鳳会が、赤穂市民病院の管理運営を行います」とある。これから市民に説明するのに、決定したかのような文章が書いているのは腑に落ちない。(有年)
市長=そういう方向で進んでいるのは確かだが、まだ最終的な決定というわけではない。赤穂市及び周辺地域の規模で2つの総合病院が今後5年先、10年先に共存共栄できるかというとなかなか難しい。何らかの形で一つにすべきではないかという私の思いもあった。いろいろなことを勘案して伯鳳会に打診した。決定したわけではない。
――このような中途半端な状態で説明会を開かれると、市民も職員も不安になる。(有年)
政策担当課長=市としては、まず二元代表制である議会にまず説明すべきということで議会と協議した。続いて当事者の市民病院職員に説明した。方針について市民の皆様にも早く伝えるために記者会見を行った。11月10日の広報に折り込みをして、一定の周知期間を置いて市民説明会を開いている。決して市民説明会を一番最後にしたというわけではなく、こうした考え方の下に順次極力速やかに説明を行っているので理解してほしい。
病院総務課長=職員の動揺は確かにご心配のとおりだ。報道発表直前の職員への説明となり、十分行き届かなかったり、職員にも寝耳に水というところがあった。その後、職員説明会を追加し、今後もさらに2回予定している。ただ、職員が疑問に思うこと、気になることをすべて説明することはできかねている。勤務条件や給料はこれから話していくことが含まれている。話せることは話していくという視点で努めている。
――市民説明会の前に記事が出た。なぜ守秘義務を守らなかったのか。(有年)
市長=お互いに守秘義務は守ってきた。10月29日に議会、30日に職員、31日に記者会見した。ある広告紙が記事を書いたが、どういう経緯で書いたのか、不思議でならない。それまではこの話は外に出なかった。一般紙に記事が出たのは記者会見後だ。
――なぜ、経営が悪化したのかと、今後どうなるのか、ということを分けて説明してくれたら、もっとわかりやすい。(有年)
病院財務課長=医療事故の影響や医師確保の困難、効率的な運営ができていないなど、すべて否定するものではない。数字的なところでは、2019年度と2024年度の比較で、医師は67名から56名、看護師は260名から208名に減少した。1日平均の入院患者数は、だいたい50人、外来患者数は140名ほど減少している。地域別では市外の患者の減少が大きくなっている。委託料の見直し、材料の購入方法を変えて費用削減に努めてはいるが、昨今の物価上昇も影響している。
市長=補足すると、2021年、22年はコロナ禍だったが、補助金やワクチン接種などの収益があり、純損益は黒字化した。しかし、2023年にはコロナの補助金が少なくなり、赤字に転落した。2022年5月に、はりま姫路総合医療センター(はり姫)が開院し、翌年4月からフルオープンした。そのあたりから市外患者が直接はり姫に行くケースが出てきて、外来患者が減ってきた。2019年に約700名だった外来患者が現在は500名くらいに減っている。医師不足も合わせて患者の減少が経営悪化につながったと考えている。経営悪化を解消するためには、今までの経営形態では難しく、指定管理の方向に舵を切った。性急に判断したのではなく、伯鳳会といろいろ話をし、指定管理者制度がうまくいくのではないか、また、医師の確保も大学病院と兵庫県とも協議してうまくいくんじゃないか、ということで10月29日に議会、30日に職員、31日に記者発表した。市民病院が今後どうなるかは、ある程度決まれば改めて説明会なり、何らかの形で知らせたい。
病院特命担当部長=指定管理への移行時期を2027年4月に決めた理由は、資料4ページに記載しているとおり、病院事業の経営にかかる純損失が今後5年間で毎年17・4億円、さらに経営形態の移行時期が遅れると、市の実質的な負債が毎月1億円以上増加することから、直ちに移行を進めることを決定した。他市の事例を参考にすると指定管理への移行には約1年半〜2年の準備期間が必要のため、最短で移行準備を進める。
《その他》
――近隣自治体の患者も赤穂市民病院を使っているのに、なぜ赤穂市だけが負債を負担しないといけないのか。(城西)
市長=かつては市外からたくさんの患者が来て利益を出していた時代があった。近隣自治体に負担を求める選択肢もあるかと思うが、あくまでも赤穂市立の病院なので赤穂市の都合だけで負担を求めるのは難しい。
――「政策医療」とは何か。(高雄)
市長=救急、災害時、産科といった不採算、要するにあまり儲からないところを政策医療と言う。
――サイバーセキュリティ対策は。(城西)
病院財務課長=国や県の研修を受講している。厚労省の脆弱性チェックを昨年度受け、脆弱性はみられないとの判断を受けた。引き続き対策をしっかり行っていく。
――病院が合併したケースは全国的にあるのか。(高雄)
政策担当課長=最近では高砂市が新病院建設にあたって指定管理を導入する方針が出された。少し前には川西市民病院が民間病院との再編統合のような形で新病院を建設して指定管理を導入した。たつの市は地方独立行政法人化した。2022年度末で全国853病院のうち79病院で指定管理者を導入している。
――大きく報道された脳外科医の(医療事故の)問題がNHK『クローズアップ現代』で取り上げられ、手術の動画も流れ、市の職員もコメントを出した。なぜ、映像が出て、職員もコメントを出すのか。(有年)
市長=令和4年(2022年)6月28日に私や病院事業管理者、当時の院長、副院長が記者会見したときの動画が切り取られてNHKで流された。職員がどんな形で、どう取材に応じたのかは報道機関の守秘義務があるので、探求は難しかった【編集部註:記者会見動画には手術の動画はありません】
――公的医療病院は絶対に必要だ。市民病院がなければ困るという市民がたくさんいる。(有年)