新『スーパーマン』コメディと既存楽曲を大幅セーブ ─ ジェームズ・ガン新境地「今までの作品とは大きく違う」
DCスタジオの共同会長兼共同CEOとして、新DCユニバースの統括を担うことになったジェームズ・ガン。マーベルで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』3部作を手がけたのち、電撃移籍を経ての第1作『スーパーマン』は、ガンの創作面においても新境地を開拓する一本となる。
米によると、ガンは『スーパーマン』のバーチャル記者会見で「これまでの作品とは大きく違う」と繰り返し発言。『ガーディアンズ~』やDC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)とは、意識的に異なる作風へ踏み出したことを示唆した。
「僕は『ガーディアンズ~』や『ザ・スーサイド・スクワッド』をコメディ主体の映画だとは思っていませんが、確かにコメディが大きな部分を占める作品でした。『スーパーマン』にもユーモアはたくさんありますが、根底にあるのはまったく別のもの。異なる種類の物語なので、僕にとっては不安なことです。」
自らの映画製作について、ガンは「目に見えるものが好き」だと語る。キャリア初期に手がけたホラー映画では観客を怖がらせ、近作ではコメディで笑わせ、前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(2023)では涙を流させた。しかし今回はそうしたものとは異なるアプローチを大切にしたのだろう、「脚本を書き、撮影をしながら、自分自身に厳しくあらねばならなかった」と語る。「すべてはキャラクターとアクションだ」と。
また、ガン作品の特徴といえば、ロックやポップスなどの既存楽曲を効果的に使用するサウンドトラック。しかし、ここでも「『スーパーマン』はそうではない」と述べて、従来のスタイルを封印することを予告した。「この映画は劇伴音楽が基本で、大きな役目を担っている」という。
予告編で使用されている、ジョン・ウィリアムズによる1978年版メインテーマのアレンジを含め、劇伴音楽はガンの近作を手がけるジョン・マーフィーが担当。劇中では1978年版の音楽からはじまり、曲中でマーフィーによるオリジナル楽曲に変化するなど、さまざまな工夫を凝らした劇伴が多数用意されているという。ガンは脚本が完成してすぐ、マーフィーに作曲を依頼したそうだ。
「ひとつだけお願いしたのは、“ジョン・ウィリアムズのスコアを使いたい。しかし、自分なりに変化とひねりを加えて、この映画と物語を表現するための独自の曲にしてほしい”ということ。非常に力強く、もの悲しさもある音楽です。[中略]素晴らしいので、早く全曲を聴いてほしいですね。」
笑いと既存楽曲という、ガン作品のイメージをつくりあげてきた2つの要素を大胆に抑えて挑む新境地。鬼才ジェームズ・ガンのキャリアとフィルモグラフィにおいても、きっとターニングポイントとなる一作にちがいない。
映画『スーパーマン』は2025年夏公開。
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