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『機動戦士ガンダムエイト』第1巻発売記念! シナリオ:鴨志田一先生×漫画:高木秀栄先生対談インタビュー|外宇宙探査の候補生たちにフォーカスした新たなオルタナティブシリーズ……その世界観構築に至るアイディアに迫る

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

いよいよ2025年10月23日(木)に第1巻が発売となった「ガンダムエース」で連載中の漫画『機動戦士ガンダムエイト』。

ゼロベースで漫画から立ち上がる初のオルタナティブシリーズ(※)として、注目を集めている本作ですが、記念すべきコミックス第1巻の発売に際して、シナリオを担当する鴨志田一先生&作画を担当する高木秀栄先生へのインタビューを実施しました。

連載がスタートするまでの経緯や、ガンダムシリーズのオリジナル作品として新たな世界観・物語を構築する上での苦労、さらにはおふたりのガンダムのルーツに至るまで伺いました。

※『機動武闘伝Gガンダム』からはじまり、『機動戦士ガンダムSEED』や『機動戦士ガンダム 水星の魔女』なども属する“宇宙世紀”ではないシリーズ作品のこと

ダメ元で提案したオリジナル作品のアイディアと実現するまでの苦労とは

――まずは本作に携わることになった経緯からお教えください。

鴨志田一先生(以下、鴨志田):僕の方は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 月鋼』の連載終了が近づいたタイミングで、ガンダムエース編集部の方から「引き続き誌面上で何か一緒にお仕事をしませんか?」とお声がけいただいたのが発端です。そこから何をするのか考え始めたところが、この作品のスタート地点だったかと思います。

ただ、今まで関わったことのない作品のスピンオフを急に僕がやるのは何か変な感じがするので、冗談半分で「オリジナルってどうなんですかね?」と提案しました。

そこからプロットを作ったんですけど、ガンダムエース編集部がバンダイナムコフィルムワークスさん(※当時はサンライズ)へ確認に行ってくださったんです。僕としては流石に駄目だと言われると思っていたけど、OKが出てこの方向で企画を進めていくことになりました。

高木秀栄先生(以下、高木):僕としては2023年の後半くらいでしょうか。『機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー』が最終巻まで残り1冊となったタイミングで、「こういう企画があるんですけど、どうですか?」と本作についてお話をいただきました。

それ以前から告知だけは出ていたみたいなのですが、お話を伺ったり資料を拝見して面白いなと思ったんです。こういうオリジナル作品を雑誌でやることも凄いなと思いましたし、ぜひ自分にやらせてくださいと手をあげました。

その後は、プレゼン用の原稿を7ページくらい描かせてもらいました。第1巻でガンダムジリウスがフェザーエクステンションを使って敵をなぎ倒していくところですね。『コード・フェアリー』と並行しての作業だったのでめちゃくちゃ大変でしたが、プレゼン用の資料として出すならここが一番良いんじゃないかと考え描かせてもらいました。

実際、評価してもらえたみたいですし、ガンダムエースに掲載された鴨志田さんのインタビューでもこのシーンがきっかけでぜひにと言っていただいたことを知りまして。だから、あの時に頑張って良かったなって思っています。

鴨志田:きっとその熱量が伝わったのだと思います。実際に完成したページを見ると凄い躍動感でしたし、メカもクリーチャーもあれだけ鮮明に描ける人はなかなかおらず、高木さんがいてくれたおかげでこの作品を始められました。

――鴨志田先生は完成した絵をご覧になって最初にどんな印象を持たれましたか?

鴨志田:内容に関しては既にご覧いただいた通りだと思いますが、これを毎月続けるのは地獄だろうなと思いました。なので、高木さんの健康の心配ばかりしていますね(笑)。凄い迫力で躍動感もバッチリ伝わってくる漫画になっているし、そのために労力をかけていることはおそらく読者のみなさんにも伝わっているのかなって思っています。

――第1話から物凄いページ数でしたよね。

鴨志田:あれだけのページ数を第1話として掲載すると決めたのは、今このインタビューの場にも同席してくれているガンダムエース編集部の偉い人たちなのですが、編集部サイドから第1話としてあれだけの物量を掲載したいと提案いただけたのはありがたい話でした。

高木:連載の作業が始まる前にかなり時間がもらえたので、第1話はじっくり描けたかなと。現段階の方が追われている感覚があるのですが、あの第1話に時間をかけられたのはありがたかったです。

――ガンダムシリーズでオリジナル作品を作るプレッシャーはあったのでしょうか?

鴨志田:ダメ元だった企画が通ってしまったので、緊張を感じる暇もなく次々と前に進まざるを得なかった、というのが実情です(苦笑)。作業していく中で、この世界のスペースコロニーの成り立ちや社会情勢の流れ、そこにはこんな人たちが生きていて……と、1から世界観を作っていくと、結局オリジナルのアニメーションを制作するのと変わらないのではという膨大な量の作業が必要となったので、そのあまりの物量に眩暈がするような気分にはなりました(笑)。

――先ほどもお話にもありましたが、企画自体の告知はかなり早い段階で行われていましたよね。

鴨志田:確か2018年ぐらいからもう動いていて、2021年のガンダムエースの創刊20周年のタイミングに最初の告知をしました。その後、3年以上も沈黙していたので楽しみにしてくださっていた方にはお待たせしてしまいましたが、満を持して連載に漕ぎつけることができました。

――前日譚として小説も掲載されました。

鴨志田:いきなり第1話から漫画で始めても良かったのですけれど、先行して世界観を明かしてもいいんじゃないかと考えたんです。後はこの先にどんなキャラクターが出てくるのか、それを文章だけだとしてもお伝えできるのなら、少しは興味を持ってもらえるんじゃないかとも思いました。

――第1話が掲載された後はSNS上でも結構反響があったと思います。そういった場で読者の反応はご覧になられていましたか?

鴨志田:色々な方の協力で第1話の掲載に漕ぎつけているので、反応があって嬉しかったです。僕と高木さんだけではなく、キャラクターデザインをやってくれた左さんであるとか、メカデザイナーのカネコツさんであるとか、この作品はその他にも色々な方の協力があって成り立っています。反響が大きかったことで、ようやくお世話になった方たちに顔向けできる状態になったので、ホッとしました。

高木:僕は『コード・フェアリー』の時は、色々なことが終わるまでは見ないようにしていて、連載中はあえて検索するようなことはしませんでした。ですが、カネコツさんとかをフォローしていると、ジリウスを肯定的に受け止めてもらえている投稿も流れてくるので、その時は嬉しくなりました。

――オルタナティブ作品としてガンダムシリーズのオリジナル作品を作り上げる上で難しいと感じたことややりがいを感じていることも教えてください。

鴨志田:決まった設定がある訳ではないので、そこを0から積み上げていくところでしょうか。自由であるが故に大変な部分はもちろんあるんですが、思った通りの設定を作って思い描いた物語を作れる環境をいただけた……それがやっぱり一番のやりがいだと思っています。

――高木先生はやりがいを感じていることについていかがですか?

高木:モビルスーツはカネコツさんや片貝文洋さん、キャラクターは左さんにデザインを担当していただいているのですが、背景などに関しては僕の方で色々と描かせてもらうことが多いです。だから僕も1から作るところ、車や建物、小物とかは連載前の企画の段階でアイディアやイメージを出しました。

打ち合わせでは鴨志田さんをはじめ、みなさんが色々な意見をくれるので、そうやってやり取りしながら世界観を作り上げていったのは楽しかったです。そういう自由なところは良かったというか、やりがいがあるなと思っています。

鴨志田:これからも色々増えると思うのでよろしくお願いします。

人対人の戦争ではなく、過酷な環境下で人々がどう生きていくのかというドラマを目指した

――世界観の部分でいうと、人 VS 人の戦争ではなく人類とは違う生命体と戦うというアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか?

鴨志田:元々が漫画で始めること自体が根幹にある企画だったんです。だから、誌面上での見やすい絵作りを重視してこの物語の構成となりました。メカとメカが戦う描写をいきなりオリジナルでやると、どっちが何のメカなのかがわからない。そういう弊害が出るであろうと当時 編集部の方と話したことがあるんです。なら敵側はクリーチャーみたいなものにすれば、絵の面ではわかりやすくなるんじゃないか。実はそういう前提があった上であの形に舵を切ったところがあります。

――ドラマを作る上でも戦う相手がクリーチャーだとまた違ったものになりそうです。

鴨志田:対立のドラマでなくても良いのかなと思っていたことに加え、過酷な環境下でその世界の人たちがどうやって生きていくのか、というような人間ドラマの作り方もあるだろうと考えました。対立させてもストーリーとして作りやすい部分もあるのですが、その要素はまた別で入ってくるので、それはそれでやりつつ今の物語を進めていく予定です。

――人類同士の部分も少しずつ要素が散りばめられていた印象です。人類の大半が既に地球を出て宇宙に生活の場を移していることはガンダムシリーズでは珍しい印象がありました。

鴨志田:外宇宙探査を軸とした話の作り方をして、今までのガンダムシリーズであまり見られなかった方向性にもちょっと振ってみようと思い切りました。後は外宇宙探査をするような技術力を持っているのならば、まだ地球に人類が多く留まっているような文明ではもうなくなっているだろうなと。そのあたりは割と自然に、設定を整えていった結果ですね。

――訓練生たちの物語を選んだところをもう少し掘り下げたいのですが、そこに至るまでにはどんな考えがあったのでしょうか。また、クリーチャーと戦うという要素と訓練生たちの物語という要素はどちらの軸が先にあがったのでしょうか?

鴨志田:まず大前提として、人と人とが戦争をしている世界ではない、軍隊ではやりたくないというふたつの軸があったんです。クリーチャーとの戦いを描いていいと確認が取れてからは、そこをフックに広げていきました。

ではそんな存在がどこから来たのかを考えたら、少なくとも太陽系内ではない。なら外宇宙は注目されるし、そこから流れてきたものが土星の環の中で見つかったとしましょう、と物語を作るための連想ゲームをどんどん積み上げていった感じです。

そこで子供が目指す仕事の選択肢のひとつとして、ナオミたちはモビルスーツのパイロットになるために切磋琢磨している世界観にしました。

特殊な状況に放り込まれて戦うことになったのではなく、あくまで外宇宙探査のお仕事としてモビルスーツに乗ることを自ら選んだ少年少女たちにスポットを当て、そんな彼らの物語として作っていくのがいいなと思ったんです。

前提がそうなっているので、カネコツさんにジリウスのデザインなどをお願いする際に、極端な例えではあるのですが「兵器というより、スペースシャトルみたいなもの」だと思ってくださいとお伝えしました。

――太陽系の各惑星が国みたいな形になっていて、全体が国連のような組織になっているという壮大な世界観にも惹かれました。

鴨志田:作中では太陽系同盟という名前にしていますけれど、そういう枠組みがあり基本的にはそのルールに則って人々は幸せに暮らしているという世界です。そんな世界を作ったのがナオミたちエイトの前の世代の人たちになります。でも見えないところで不満を抱えている人がいたり、フラストレーションを持っている人がいたりするのは当然にあることなので、この後はそんな小さな火種が少しずつ大きくなっていくような展開もあるかもしれません。

――エイトの面々はまだ世界的には少数派という情報もありました。まだまだ仲間が少なく、しかも兵士ではなく外宇宙探査の候補生をやっている子たちがこれから過酷な戦いに身を投じていくと思うと、厳しい展開もありそうです。

鴨志田:これについてはまだ何も話せることがないのですが、おそらく第2巻が出る頃には少しは先が予想できるようになっているかもしれません……!

――ありがとうございます。高木先生は絵の部分で本作の世界観を表現する上での苦労はありますか?

高木:僕の作業に関しては、鴨志田さんをはじめとするみなさんからのフィードバックに準拠して方向修正するので、皆さんほどの苦労はないと思います。

ただ、方向修正でいうと、第2話のマリアネラが踊るステージのシーンですね。あそこは設定が特殊だったので、最初に出したものから打ち合わせを経て、球体の中に水が満たされている場所で作中のような形で踊ることになりました。

鴨志田さんが「水が満たされているといいのでは」とおっしゃってくれて、あのような形にまとまったんです。自分としても気に入っている背景美術というか、舞台設定になったので良かったなと。

鴨志田:シナリオ上では基本的に、何か素敵なダンスをすることぐらいしか書いていなかったんです。イメージとしてはフィギュアスケートとバレエを混ぜたようなものとお伝えしましたが、それをこの世界の中でどう魅力的に見せるのかは、高木さんにあげてもらった設定を揉んでいった結果だったと思います。この形にできて凄く良かったです。

――主人公のナオミやマリアネラのキャラクターがどのように固まっていったのかもお聞かせください。

鴨志田:目的をもってモビルスーツに乗ることを選んだ人にしたかったので、ナオミについては外宇宙探査計画にパイロット候補のひとりとして参加しているキャラクターと定めました。エイトという人類の8番目の世代として優秀な遺伝子を持って生まれましたが、優秀であるが故に嫌な想いもしてきた……という要素も乗せています。

その合わせ鏡ではないですが、マリアネラはナオミとは対照的に華やかな舞台に立ったりしている。だけど、彼女も彼女でそれ故に周囲から色々な感情を向けられることがあったりする。

実はふたりとも似たような境遇であるという要素を持たせることで、何か惹かれ合う要素も出てくるんじゃないかなと考えていました。それとプラスして互いが互いの鏡にもなれると思ったので、そういったことを考えて組み合わせたふたりではありました。

――マリアネラは最初ちょっとツンツンしてそうだなと思ったのですが、話が進むにつれて柔らかい感じも見せてくれるのが意外でした。

鴨志田:自然に人との距離感が詰まっていけば、相手の態度も柔らかくなる。そこは割と自然なスタンスで考えて、ああなっていきました。

――第1話の段階でこの先の展開まで描かれていますが、結末が決まっているところに肉付けしていくのは難しかったりするのでしょうか。

鴨志田:僕は物語を作る時に、結末が決まっている方が向いていると自負していて。連載形式を取るときに、あまり先を考えずに執筆できる方も確実にいらっしゃいますが、自分の場合は先に終わり方を設定して、過程を膨らませていく考え方の方が上手くいきそうだったので、このやり方にしました。きっともう少し物語が動いたら「なんだって!?」ってなると思います。

――結末に至るまでのプロットがもうできあがっているとは驚きです。

鴨志田:ある程度ですけどね。中盤をどこまで膨らませるか決めかねているところがあるのですが、もう少し先の展開まではある程度こうなっていくと決めています。ナオミが初めてジリウスのフェザーエクステンションを使う瞬間とか、あのクリーチャーたちとどうやって遭遇するのかという部分は、今組み込んでいるところです。

――また、高木先生はキャラクターについては左先生のデザインを漫画に起こされているかと思います。意識されていることなどはあるのでしょうか?

高木:モビルスーツに関してはカネコツさんたちのデザインを90%くらい再現できていると思うのですが、キャラクターに関してはやっぱりどうしても自分の絵になってしまうところがいつも心苦しくて。だから読者のみなさんに受け入れてもらえたらいいなと思っています。

漫画だと僕が原稿を描くので、色々な表情をさせなきゃならない時があります。そうなると僕が一番描きやすい感じというか、僕の癖が出てくるので、キャラクターデザインから外れていないかどうかは気にしています。

担当編集さんは僕の絵を見て微妙なところがあればためらわずに指摘してくださるし、僕としてもそうしてほしいなと思っています。細かいところまで言ってくださっているので、そこはもう信頼して一緒に作り上げています。

『ガンダムエイト』はキャラクターデザインの左さんをはじめ、色々な人がデザイン面で協力してくれています。だからその方々のいいところをしっかり出したいですし、それが自分の絵で埋もれてしまう感じにはならないようにしたい。一番自分の癖が出るのがキャラクターなので、より意識していますね。

今後の見どころや先生方が気に入っているガンダムシリーズの作品にも迫る

――ここまででかなり重要なネタも出てきていると思いますが、おふたりが今後に向けて第1巻で把握しておいてほしい情報などはありますか?

鴨志田:第1巻の終盤にようやくガンダムジリウスが登場するので、そこからあの第1話の活躍にどう繋がるのか。ここがおそらく、みなさんが一番気にしているところかなと思っています。なので今後、ジリウスがどうやって第1話の状態になっていくのか……というところにはやっぱり注目してほしいです。

高木:普段の漫画だと1話分のシナリオは30~40ページぐらいに収めるのですが、この作品はじっくり80ページものボリュームをもらっているので、かなりじっくり物語を描いているんです。この先も面白くなるので、物語の方にはぜひ期待してもらいたい感じです。

鴨志田:ようやくガンダムにも乗りますから!

高木:そうなんです。第1話で本編の終盤を描いているとしても、現状はまだナオミたちはガンダムには乗っていない。第2巻以降でガンダムは活躍するのでぜひ読んでいただきたいですね。

そして第3話の終盤に2機のガンダムが出ていたと思います。ガンダムシリーズの作品で量産機というと違った意味に聞こえるかもしれませんが、『ガンダムエイト』におけるガンダムはワンオフの機体ではなくあくまで量産できるものなんです。そのあたりがどうしてこうなったのだろうか、という部分が第2巻以降はどんどん見えてくると思います。

――ジリウス以外にも訓練生用の量産機・マージムも登場していますが、こちらもカッコいいです。

鴨志田:名前はカネコツさんが考えてくれました。機体は今後も増えていくので楽しみにしていてください。

――メカの話からで恐縮なのですが、ジリウスは既に立体化を果たしていたかと思います。実際にご覧になる機会はありましたか?

鴨志田:物自体もキットが出来上がっていく過程も見させてもらいました。僕は文字面を起こすだけなので、プラモデルにする時にこの細さだとパーツを作るのが難しいとか、ビームサーベルをここにマウントさせるとちょっと邪魔になるかなとか、そういうデザインに関するところはカネコツさんがBANDAI SPIRITSの方と打ち合わせしてまとめてくれています。完成する前の過程で色がつく前の状態のデコマスも見させていただきましたが、凄く細かいところまで再現度が高かったです。

高木:完成品はまだ自分の手元にはないのですが、それこそSNSで商品を購入した方の話が流れてきたのを見て、こんな感じなんだと思ったりはしました。楽しそうにしてくれているなって!(笑)

――最近はガンダムシリーズ全体がとても勢いがあるように思いますが、余談としておふたりの思い入れのあるシリーズ作品なども教えてください。

鴨志田:僕は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』が一番好きなんだと思っています。いまだに何年かに一度見返すのですが、今見ても古さを感じない不思議な作品ですね。それが凄く印象に残っています。単純にνガンダムがかっこいいと思っているところもありますし。

それにプラスして『逆襲のシャア』で言えば、富野由悠季総監督が書いた小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』も自分の中でかなり印象に残っています。最後の「もう、ナイチンゲールのさえずりは聞こえなかった」という一文はいまだに覚えていますし、素敵だなと思っています。それもあってシリーズでどれが好きかと聞かれたら『逆シャア』と答えることが多いです。

後は『∀ガンダム』も凄く好きでした。こんなガンダムの作り方、ありなんだって思ったりしました。

――物語としても複葉機が飛んでいる世界にモビルスーツが発掘されて、月から来た主人公がという驚きの展開の連続でしたし、主役機にしても髭がついているという。

鴨志田:あれは僕にはちょっと採用できる自信がないですね……!

――高木先生はいかがですか?

高木:僕は元々プラモデルが好きで作っていたので、どちらかというとガンダムを見るより先にプラモデルを作っていました。リアルタイムでは見ていなかったのですが、世代的には『∀ガンダム』くらいの時期に小学校高学年だったので、カプルのガンプラは作っていました。その後、深夜に『機動戦士ガンダム』の再放送を見てシリーズにハマっていきましたが、中でもOVAの『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』が一番好きなんです。

前作の『コード・フェアリー』は宇宙での戦いがなかったので、地上戦という部分で自分の好きなガンダムと近しい部分があったのは今でも良かったなと思っています。モビルスーツの傷の表現を気付いたらどんどん入れてしまうので、自分で自分の首を締めないよう抑えていたくらいでした。

――『第08MS小隊』はDVDやBlu-rayのジャケットで描かれているものを見ても、陸戦型ガンダムの傷や汚れの表現はとても印象に残りますよね。

高木:そうですね。キャラクターデザインを務めた川元利浩さんも大好きなので、よく画集とかを見ています!

――おふたりはこれまでご覧になられたガンダムシリーズで、自身の創作の中で参考になるなとか、こんなやり方があるんだと発見した要素はありますか?

鴨志田:もう身体に沁み込んでいるので、おそらく意識的にサルベージしているのではなく、気付かないくらい自然に漏れ出ているんだろうなと思っています。後は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は鈍器で殴り合うというシリーズでも珍しい方法で戦闘シーンを表現していたのですが、関わっていた時に大きいものを力強く動かすにはやっぱり大地があったほうがいいなって思ったりしていました。

高木:ビジュアル面でいうと、やっぱり『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や昨年の『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』における、デカいモビルスーツが動いているところは感動しました。これまでもそういう表現はあったのですが、映像表現としての段階を上げて来たなっていう感じがしたんです。おそらくあれは漫画ではなく映像の表現なので漫画に落とし込むのは難しいと思うのですが、そういう大きなものが動いている感覚の表現に感動した覚えがあります。

――『閃光のハサウェイ』におけるモビルスーツの巨大さの表現は確かに凄まじかったです。

高木:僕としてはあの敢えて画面全体を暗くして見せないっていう表現は好きでしたね。後は、あの夜の市街地でのグスタフ・カールとメッサーの地上戦でしょうか。あの火花が溶けて落ちてくる感じも、なんだか鉄が溶けて血のように流れているように見えて、おもしろいなぁと。

どちらかというと今まではパッと爆発して煙と火花が出る表現が多く用いられていたように思うし、自分の漫画とかでもそちらの方が派手にできるし、漫画だとワンシーンを切り取った表現になるのでああいう感じにしてしまう。だけど、映像を見てこういう血が吹き出すような感じもとてもおもしろいし新しいなと思っていました。

――それでは最後に『ガンダムエイト』の今後に期待している読者のみなさんへのメッセージをお願いします。

高木:自分もこれから先の展開がどうなるのかワクワクしながら漫画を描いています。みなさんもナオミとジリウスの運命を見守ってくだされば幸いです! ナオミとマリアネラがメインだけど、個人的には何か訳アリそうなフェデリカの今後や活躍に期待しています!(鴨志田先生の方を見ながら)

鴨志田:お楽しみに!(笑)

――ナオミが第3話で助けていた子ですよね。ちなみに、高木先生はどこまでシナリオを知っているのですか?

鴨志田:第8話までは見ていると思います。

高木:そうですね。打ち合わせを月イチでやっているので、そこで最初にチェックしています。もらった話数をベースに月イチで打ち合わせをして、その後から描いていくのを毎月繰り返しています。

鴨志田:またちょっと大変な作画のラインナップになりますが、近日中には第9話が少しは見えるかなと。

高木:今自分が読んでいるところで物語の全体の何パーセントくらいなのかもわからないので、お話しできることが今後また増えていくと思います。

――では鴨志田先生からも一言お願いします。

鴨志田:第1巻の終わりでようやくガンダムが出てきましたので、ナオミが乗って活躍していく物語がこの後は展開していきます。そこはもちろん楽しみにしていてほしいのですが、キャラクターに関してもモビルスーツに関しても、まだこれから新たに登場する人や物がいっぱいあります。その辺も含めて、どうしてあの第1話に繋がっていくのかを注目しつつ、楽しんでいただけたら嬉しいです。

[取材・文/胃の上心臓]

『機動戦士ガンダムエイト』1巻発売記念フェア

○開催期間
2025年10月23日(木)~2025年11月24日(月)

○開催場所
全国アニメイト
(通販を含む)

○フェア内容
期間中、対象商品を1冊ご購入ごとにB5サイズビジュアルボード(全2種)を1枚プレゼント!
※絵柄はお選びいただけません。

さらに!アニメイト池袋本店にて『機動戦士ガンダムエイト 1巻』をご購入いただいたお客様には、池袋本店限定 ブロマイド(全1種)を1枚プレゼント!!

○特典内容
全店特典:B5サイズビジュアルボード(全2種)
池袋本店限定特典:ブロマイド(全1種)

○対象商品
■2025年10月23日(木)発売
[コミック]
・機動戦士ガンダムエイト 1巻
[雑誌]
・ガンダムエース 2025年12月号
■好評発売中
・KADOKAWA刊 ガンダム関連コミック・小説各種

○注意事項
※特典はなくなり次第終了となります。
※施策に関わる景品・特典・サイン本他・応募用紙・引換券等は、全て第三者への譲渡・オークション等の転売は禁止とさせていただきます。
※アニメイト通販をご利用のお客様につきましては、ページ下部のアニメイト通販の対応方法をご確認ください。

○問合せ先
恐れ入りますが、対象各店宛にお願いします。

☆詳細はこちら
https://www.animate-onlineshop.jp/contents/fair_event/detail.php?id=113956&srsltid=AfmBOooUAVM9cYGzvr6Cabu41wyFybNzfTuUBk7gMDy1lWaxNkSazCBf

関連施策

アニメイト一部店舗にて、ガンダムジリウスのスタンディパネルを設置!

展示期間:2025年10月23日(木)~2025年11月24日(月)
展示店舗:アニメイト池袋本店、名古屋店、梅田店

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