猫の命を奪いかねない『危険なイタズラ』5選 面白半分でやるのは絶対厳禁
1.音や光で突然驚かす
大きな音や光を使って相手を驚かせるのは、イタズラの常套手段ですが、猫を相手に同じことをするのは非常に危険です。警戒深い猫に、強いストレスを与えることにつながるためです。
猫の聴覚は、人間の何倍も優れているので、小さな音にさえとても敏感です。まして、人が聞いてもうるさいと感じるほどの音を浴びせられたら、猫は命の危険を感じるくらいストレスになるかもしれません。
また、光にも注意が必要です。猫が寝起きにまぶしそうな顔をしているのはかわいいものですが、かといってわざとレーザーポインターを顔に向けたり、カメラのフラッシュを当てたりするのはやめてください。
薄明薄暮性の猫の目は、わずかな光でも見えるようにできているため、強い光は視覚障害を引き起こす可能性があります。
2.しっぽを引っ張る
しっぽは、猫にとって非常に敏感な部分です。しっぽをつかんだり引っ張ったりするイタズラは絶対にしないでください。しっぽは脊椎の延長であり、筋肉や神経、血管が通っている非常に重要な部分です。
不必要にしっぽを引っ張ると、猫は痛みを感じる上、神経を損傷した場合には、歩行障害や排泄障害、永久的な麻痺を招く危険があります。
人の目から見れば「ちょっとしっぽを掴んだ」だけでも、交通事故に遭ったような障害を負うことになるのです。
大人であれば、愛猫に対してそのようなことをしないと思いますが、小さなお子さんは猫のしっぽに興味を持ちがちですし、ぎゅっと掴んで強い力で引っ張ってしまう可能性がありますので、十分に注意してください。
3.水をかける
多くの猫は水に濡れることを嫌いますが、それ以前にイタズラで猫に水をかける行為は、あまりにも意地悪で、たとえ冗談でもまったく笑えません。
もちろんシャンプーが必要なときは仕方がありませんが、不意に水をかければ、猫は強いストレスを感じるでしょう。
突発的に受けたストレスは、一時的であっても心拍数が急上昇し、血圧が一気に高くなりますので、特にシニア猫や太った猫には心臓に負荷がかかり危険です。
また、心的なストレスから、その後も食欲不振や怯え・不安感が続く可能性もあります。
なかには、しつけるために水をかけるやり方を推奨する情報も見かけますが、おすすめできません。
やめてほしい場面では、無言で抱きあげて移動させれば十分です。無防備な猫に対して、意図的に水をかけることは避けるようにしましょう。
4.ひげを切る
猫のひげは、口元だけでなく目の上やほっぺたにもあります。これらは重要な感覚器官なので、絶対に切ったりしないでください。
猫はひげを使って、空気の流れを読むことができます。また、自分と物との距離を感知しながら移動します。うす暗いなかでも狭い場所や高いところに容易に移動できるのも、ひげというセンサーがあるおかげなのです。
もし、ひげを切ってしまうと、猫は平衡感覚を失い、まっすぐに歩けずグルグル回ってしまったり、壁などにぶつかってしまったりする可能性があります。高いところから落下する危険もあります。
しっぽの引っ張りと同様に、猫のヒゲは小さな子どもが興味を持ちやすい対象です。はさみを使える年齢の子は、興味本位で猫のひげを切ってしまうことがあるかもしれませんので、目を離さないよう注意してください。
5.ビニール袋をかぶせる
袋で遊ぶのが好きな猫は多いでしょう。ただし、意図的にビニール袋をかぶせるような行為は、非常に危険です。
特に新しい家電などに使われている大きな袋は、猫も喜んで遊びたがることがあります。
そのままバサッと猫に袋をかぶせて遊ばせる人もいますが、一瞬の油断が取り返しのつかない事態を招いてしまうことをしっかり意識しましょう。
猫はビニール袋のカサカサとした音や独特の感触が楽しくて、遊びの延長で袋に頭を突っ込んでしまうことがあります。
しかし、遊んでいて袋に絡まったり、閉じ込められたりしてしまうと、パニックから呼吸困難に陥る恐れがあります。
また、噛み切った破片を飲み込んでしまう誤飲も命取りです。実際に、目を離したわずかな時間でこのような事故が起きる例もあるため、軽視しないようにしてください。
まとめ
猫は私たち人間が感じるよりも、もっと敏感で鋭く、そして繊細な感覚を持っています。
「おもしろい」「カワイイ」と感じる反応を見たいがために、猫にイタズラするのは、命の危険や重度の障害につながりかねません。
特に、今回紹介した中でも、しっぽを引っ張る、ひげを切ってしまうなどのイタズラは、取り返しのつかない事態を招く可能性がありますのでやめましょう。
飼い主は、猫の特性を理解して適切な生活環境を整える責任があります。
猫との暮らしを続けるためにも、一時的なおもしろおかしいハプニングを楽しむより、共生することの意義を考えましょう。
また、ちいさな子どもがいる家庭では、大人が猫との正しい接し方を教えるチャンスでもあります。動物への慈しみは人間性を豊かにする効果があります。猫の飼い主として、基本的な動物愛護の心構えを持ち続けましょう。
(獣医師監修:葛野宗)