何に使われたかわからないお金をなくす……ただし例外あり?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、12月16日の放送に政治ジャーナリストの角谷浩一が出演。政治改革に関する石破茂首相の発言、姿勢についてコメントした。
鈴木純子(文化放送アナウンサー)「政治改革をめぐる与野党協議に関し、石破総理大臣はきょうの参議院予算委員会で『領収書がなくて何に使われたかわからない、というお金はやめましょう、と。ただ人権やプライバシーや外交機密、そういう問題は残ると思う』『政治家が自分の利益のためにお金を使うことが断じてないよう今後とも真摯に臨む』と述べました。人権、プライバシー、外交……は例外、ということですかね」
角谷浩一「結局、秘密という言葉で逃げ切れる場所はその3つ、という考えかな、と聞こえました。外交は相手もあること、たとえば建前でこうなっているけど裏でこういうお金が動いたかも、ということがあるかもしれない。政府としてお金を支出できるかどうか、という議論があるなら、日本人が外国で何か事件に巻き込まれたとき、救出するために日本政府は何かやってくれる、その前提で考えている日本人のほうが間違っている、というのが政府の考え方かもしれない」
長野智子「うん……」
角谷「アメリカ人はみんな助けてくれるじゃないか、と。アメリカ人はそういうルールかもしれないけど、我が国は『そんな国に行ってはいけませんよ』と渡航注意令を出しているのにわざわざ行って、と。自己責任論で一時、ワーッとなったことあるじゃないですか」
長野「ありましたね、イラクの人質事件で」
角谷「日本人を守るという覚悟が、この政府にはもともとない。それなのに外交には機密がある、と言い出したら、なんの機密ですか、となる。総理の言っていることは一見、理屈のように思えるけど、『まだまだブラックボックスは持っていないと。なんでもわかってしまうと、国はそううまくいかないんですよ。わかるでしょう?』みたいな言い方をしている感じがして。全然わからない、というのが国民の率直な感じだと思います」
長野「はい」
角谷「政治とお金のこと、『お金がかかるんですよ』と言うと、かからないとは国民も思っていませんよ、と。だけどそのお金と政治が変なかたちで結びつくのがイヤだ、と思っているわけです」
長野「そうですねえ」
角谷「国民から見れば、個人のお金に淀んだものはないけど、組織や団体、法人のものからは思惑が感じられるんじゃないか、と」
長野「うん」
角谷「一方で国民側にも少し責任があるんですね。政治を使う、政治にものを頼むということは、抽選で何かに外れたけど政治家に頼んで入れてもらえないか、とか、政治家に頼んだら順番がずっと早くならないか、だとか。そういうことをアテにする人たちがまだいて。これだけ面倒見ているんだから、こういうときは助けてよ、という融通を利かせてくれるんじゃないか、とアテにしている側の部分もちょっとある気がするんですね」
長野「ああ……」
角谷「出すほうは組織や団体側。もらうほうは政治家側。だから政治家はあまり厳しく言えないんだ、と。自分たちが出す、もらうだけならいいけど、払う側がいる、ということでグズグズしているんですね。これを議会でやらせてもたぶんダメなんだと思います。いつまで経ってもこんな『のらりくらり』をやるんです」