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花巻市博物館・テーマ展 「多田等観–遥かなるチベット–」

まきまき花巻

花巻市博物館・テーマ展 「多田等観–遥かなるチベット–」

先日、花巻市博物館に行ってきました。

企画展示の「多田等観–遥かなるチベット–」を見学するためです。

正直なところ、もっと前もって多田等観さんのことを勉強してから見に行けばよかったと後悔しました。なので、会期中にもう一回見に行くと思います。多分1時間半くらいは見ているかなと。

最初は全く知らない状態で見たのに、どうしてこんなに興味が湧いてきたのかと思いますが、それは家に帰ってから調べたことが大きいです。 

会場に置いてあった「多田等観☆かんたん☆ガイドブック」がとても役に立ちました。作ってくださった職員の皆さま、ありがとうございます。

A4サイズで8ページあって、内容もとても易しく説明してくださっています。

しかし、やっぱりもう少し詳しく知りたい!と思い、スマホを使ってWikipediaで調べてみました。

そうしたら、「え?めちゃくちゃすっごい人だったんだ」というふうに思ったわけです。多田等観という方はどんな生き方をしたのか、知れば知るほど惹かれる人物です。

多田等観とはどんな人物か

お寺の三男として、現在の秋田県秋田市にお生まれになったのですね。しかも、大家族だったのであまり裕福ではなかったそうです。中学校を卒業後、勉強のために京都の西本願寺に入って法要を手伝っていました。そこで、チベットからの留学生たちのお世話をすることになるのですが、ご自身は1年でチベット語を習得したけれど、留学生たちは秋田弁をマスターしてしまったとのことで、担当から外されたそうです。お互いにものずごい習得力ですね。ちょっと想像するとにやりとします。下の写真は、その当時身につけていた袈裟です。とても綺麗な状態なんですね。

時代は明治44年、中国で辛亥革命が勃発したため留学生は一時帰国をすることになります。

等観さんは親しかった留学生に請われてインド行きに同行することにしたそうですが、さすがに悩んだそうです。そりゃそうですよね。でも、一緒に行こうと言われるくらいですから、このことからも等観さんのお人柄が素晴らしいことが分かります。

そうして、インドにてダライ・ラマ13世と謁見することになるわけです。

インドからチベットへ

インドで等観さんは、ダライ・ラマ13世から「トゥプテン・ゲンツェン」という名前を授かります。そして、チベットのラサへ行くようにと要請を受けるのです。

「ラサ」という地名を聞いて、某鉄道旅番組で見たことがある!と思い出しました。2006年に開通した「青海チベット鉄道」ですよね。世界で最も標高の高い場所を走る鉄道だとか。世界遺産のポタラ宮があるところだ!とテンション上がりました。

ヒマラヤ山脈を越える過酷な道のりにもかかわらず、高山病に苦しみながらもなんとかラサへ辿り着くことができたそうです。そこでは国際情勢の説明役の地位が与えられ、ポタラ宮などの主要宮殿への出入りも許されていました。
この信頼関係はすごいですよね。何があったのか詳しく知りたいので、今度図書館で参考文献を借りてみようと思います。ドラマチックな匂いがするなと。

中央は西本願寺の宗主・大谷光瑞(おおたに こうずい)からの入蔵命令書、左側はダライ・ラマ13世の弟子となった証の押印文書です。チベット文字はなんだかカッコいいです。魔法の文書みたいだなとワクワク感がありました。これを1年でマスターした等観さんもカッコいいです。

チベットのバター茶

中国の雲南省方面から輸入されたものをチベットで取れる岩塩と交換して得た茶葉。チベットの人々は、このお茶とヤク(牛の仲間)や羊の乳で作ったバターと混ぜて、バター茶として一日に数十杯飲む。チベットの人々にとっては貴重なビタミン源。

(Wikipediaより抜粋)

等観さんも好んで飲んでいたそうです。どんな味なんでしょうか…とても興味があります。
ミルクティーの濃厚な感じを想像しますが。味わってみたいものです。

その他にも、ダライ・ラマ13世ご本人の手形や譲り受けたふで箱などが展示されていました。

10年の修行を終えて

10年にも及ぶ修行が終わると、等観さんは日本に帰国します。その際に、多くの経典や美しい仏画、仏像などチベットに関する様々なものを持ち帰ったそうです。今回の企画展示ではそれを見ることができました。

見渡すかぎりの釈迦牟尼世尊絵伝(しゃかむにせそんえでん)。お釈迦様にまつわる物語を描いたもので、今回展示された花巻市博物館所蔵の20枚を越えるセットは世界的にもめずらしいそうです。

しばらく立ち尽くしてしまったのが、冒頭の写真です。

眺めていると、不思議と何も聞こえなくなって自分の意識が溶けて無くなっていくような感覚になりました。一枚一枚はちゃんと見ている時間がなかったのが残念。リベンジしたいです。
他にも、美しい仏像が中央に展示されていましたが、それはぜひ実際に足を運んでご覧になってみてください。

日本に帰国した等観さんは大学の講師をしながら、チベットから持ち帰った経典の目録を作ります。その業績が認められ、昭和28年に日本学士院賞を受賞しました。

等観と花巻の関係

花巻での企画展というからには、何かゆかりがあるのだろうと最後まで見てみると、やはり等観さんは花巻にいらしてたのですね。昭和20年、チベットから持ち帰った資料を戦争の被害から守るため、弟さんが住職をしている花巻市の光徳寺に疎開させます。その光徳寺も空襲にあう危険があるとのことで、湯口村(現・花巻市湯口)に住んでいた人々の蔵に入れ守ったそうです。大変な時代だったと思いますが、人々の温かさ、優しさを感じます。昭和22年に、湯口村の円万寺観音堂に、等観さんが過ごすための「一燈庵(いっとうあん」が建てられました。同じ年の4月8日、お釈迦様の誕生日にダライ・ラマ13世からいただいた「千手千眼十一面観音立像」を、円万寺観音堂の本尊として納めたということです。お世話になったという想いが伝わってきます。

展示には、湯口村の方々と笑顔で写っている写真や、宮沢賢治の家族との写真もありました。
戦後太田村山口(現・花巻市太田)の山小屋に暮らしていた、詩人・彫刻家の高村光太郎との交流もあったそうです。

見学の終わりに

花巻市に暮らしているといつでも行けるからとついつい足が向かない花巻市博物館ですが、行ってみると思いがけない出会いや発見があるものだなと考えました。知らなかったことや、興味が湧いたことは行ってみないと気がつかなかったことですね。後に調べてみることの大切さにも気付かされました。これからの展示も楽しみにしていきたいと思います。

多田等観の企画展は、7月7日(日)までですので、ご覧になりたい方はお早めに行かれることをおすすめします。なお、最終日には13:30〜14:30までギャラリートークがあるそうですよ。

次回の企画展示は、「アニメージュとジブリ展」です。

令和6年7月20日(土)から開催予定なので、今からとても楽しみですね。詳しくは下のリンクでご確認ください。

https://www.city.hanamaki.iwate.jp/bunkasports/bunka/1019887/1008981/1009017/1021472.html

実は私は、スタジオジブリアニメーションの「風の谷のナウシカ」が公開された年に生まれました。そう思うと感慨深いですし、映画館のスクリーンで見たかったです。

最後に、博物館のスタンプも押して今日の記念に手帳に貼っておきましょう。

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