『寿命が短い』とされる猫種4つとその理由 調査結果から見えてきた傾向とは
寿命が短い猫種とは?その背景を探る
1.ペルシャ猫
ペルシャ猫は、フワフワな被毛とつぶれた鼻が特徴の高貴な猫種です。しかし、この愛らしい見た目が原因で健康上の問題を抱えることもあります。
ペルシャの平均寿命が特別に短いというほどではありませんが、鼻が短い「短頭種」のため、呼吸器系に問題を起こしやすいことが挙げられます。また、涙管が詰まりやすく、目や目まわりのトラブルが多いことも健康を害する要因です。重度の短頭で気道の狭窄がある場合など、呼吸困難によって寿命に影響を及ぼす可能性があります。
また、多発性嚢胞腎などペルシャに多い遺伝性の疾患も存在します。
2.ミヌエット
ミヌエットは、短い脚と丸みのある顔が特徴の猫種で、優しい性格から人気を集めています。しかし、その可愛らしい短い脚は、骨や関節に負担をかけやすく、軟骨の異常や関節炎を引き起こす可能性があります。
また、ペルシャ猫の血統を受け継ぐため、呼吸器系の問題や多発性嚢胞腎のリスクも高いとされています。
ミヌエットは走り回ることが好きですが、脚や関節の痛みが進行すると動きが制限され、運動不足による肥満やさらなる健康問題につながることがあるため、定期的な健康チェックと、負担の少ない遊び方を取り入れることが重要です。
3.ラガマフィン
ふわふわの被毛と人懐っこい性格が魅力のラガマフィンは、遺伝的に「多発性嚢胞腎」や「肥大型心筋症」など、深刻な疾患を発症しやすい傾向があります。
骨格がしっかりしている分、肥満になりやすく、それが原因でさらに病気のリスクが高まることがあります。
抱っこを好むラガマフィンの体重が増加すると、関節や心臓への影響が心配です。適度な食事管理と運動を心掛け、健康を守るサポートをしましょう。
4.スフィンクス
スフィンクスは無毛で独特な見た目の猫種で、性格は活発かつ愛情深いことで知られています。しかし、その外見に隠れた健康リスクがあります。
被毛がないため、皮膚病や体温調節の問題が発生しやすく、寒さや暑さに非常に敏感です。また、遺伝的に心臓の弁膜症や肥大型心筋症といった心疾患を発症しやすいことが報告されています。
スフィンクスは日向ぼっこが好きですが、日焼けや乾燥による皮膚トラブルを避けるため、日光浴の時間を適度に制限する必要があります。さらに、心臓病自体を防ぐことはできませんが、早期発見によって急変リスクを減らすためにも定期的な心臓検診を行うことが重要です。
愛猫の寿命を延ばすためにできること
寿命が短い傾向にある猫種でも、適切なケアで健康を守り、猫に合ったストレスの少ない生活をすると、できるだけ長く一緒に過ごすことが可能です。
まず、栄養バランスの取れた食事、定期的な健康診断を欠かさないようにしましょう。心臓や腎臓の疾患が多い猫種の場合は、早期発見・治療が寿命を延ばすカギとなります。
さらに、猫種特有のリスクを理解し、それに合わせたケアを行うことが大切です。関節の負担を軽減するためにジャンプを控えさせたり、痛みを緩和するサプリメントを活用する方法があります。愛猫の健康管理には、獣医師と相談しながら適切な対応を心掛けましょう。
まとめ
猫種ごとに異なる健康リスクを理解し、適切なケアを行うことで、愛猫とより長く健康的に過ごせる可能性が高まります。
ミヌエットやスフィンクスのように遺伝的な特徴から健康問題を抱えやすい猫種でも、飼い主がリスクを把握し、定期的な健康診断や食事管理、生活環境の工夫を行うことで、その影響を最小限に抑えることができます。
毎日のケアが猫の寿命や生活の質を大きく左右しますので、愛猫の特性や健康状態を深く知ることから始めていきたいですね。
(獣医師監修:唐野智美)