第41回「本でつながる人と地域」
「私たちの未来は、私たちで作る!」
あなたの「困りごと」、「モヤモヤ」、「お悩み」、もしくは、「変えていきたい社会の課題」などを通して、みんなで一緒に「これから」を考えていく番組です。
今回も、リスナーの方からいただいたメッセージに、スタジオの3人がこたえました。
断捨離の一歩として考えているのは、部屋にある本の整理です。しかし、これが進まないです。少しだけでも減らしていこうと思って整理に取りかかりました。
ところがです。いざ捨てるとなると「この本は取っておきたいな」という思い入れのある本ばかりです。昔読んだクライブ・カッスラーの推理小説、谷川俊太郎さんのスヌーピーシリーズ、山岡荘八さんの徳川家康などなどです。
結局、ほとんど捨てる決心ができません。これってどうしたらいいと思いますか?
小泉:そうね、本ね。私も本が好きなのですごくたくさんあるのと、本に関わる仕事をかなりしているので、送っていただく本がものすごくあるんです。だから、昨日も会社に届く本をスタッフと整理してたんですけど、半年でダンボール3つくらい。
大石:わー。
小泉:でも、私の場合は古本屋さんに取りに来てもらいます。
上村:量が多いと運ぶのも大変ですもんね。
小泉:そうですね。本の番組をPODCASTでやっていた時に訪れた古本屋さんに電話をして「取りに来てください」って。顔見知りのところに、来てもらったりします。
上村:捨てるのって難しいですよね。私もなかなか選べないですね。
大石:あと、買ったけど読んでない本とかを捨てるのが難しい。
小泉:積読ね、難しい。いつか読むだろう、とかね。それで処分しちゃって、なにか原稿とかを書こうと思った時に参考でそれをもう1回見たいんだけど売ってしまっていてまた買う、みたいな。
上村:ありますね。
小泉:売らなくてもいいんじゃないですか?他のものを減らせばいいんじゃないですか。
上村:それ、ありですね。
小泉:やっぱり好きなものって、仕方がないよね。
上村:私、結構漫画も読むんですけど、母親が4兄弟でそれぞれ漫画好きで。集めた漫画の漫画部屋が祖母の家にあったんですね。数えたら、一時は3000冊くらいあって、でもどうにか減らさないとってなった時に、思い入れのあるものだけ残して大体は処分したんです。でも「こんな(値段)にしかならないの?」ってみんなでショックを受けて。あんなに思い出もあって、大事に、大事にしていた作品なのに、古本屋に出すと結構低いじゃないですか。
大石:そうですね。
上村:0円の本とかもあったりして。だから、私も手放さなくてもいいんじゃないかなと思いました。保管場所は大変なんですけどね。
小泉:あと、古本を扱う業者さんによっては、任せた本の売り上げを寄付できるシステムとかもありますよね。家の本を出す時とかはそれも結構使います。
上村:そして、読書が好きでなかなか本を手放すことができない人もいる一方で、読書離れの傾向もありますよね。5年に1度、読書習慣について調査している文化庁の発表では、「1ヶ月に1冊も読まない人」は62.6%。5年前から15ポイント余り増えて過去最高となっています。3人に2人は「本を読んでいない」ことになります。
大石:へー。
上村:一方で、子どもたちの読書量は増えているそうです。全国学校図書館協議会が毎年行なっている「学校読書調査」によると小学生と中学生の平均は10年前から増え、高校生の平均は10年前からほぼ横ばいとなっています。子どもたちの読書量が増えていることについて、全国学校図書館協議会は、小さい頃からの読み聞かせや読書体験が増えていること。そして本の魅力をゲーム感覚で言い合う「書評合戦」など、読書に興味が持てる取り組みが増えていることを理由として分析しています。
小泉:学校で「10分間読書」とかあったじゃないですか。そういうのもいいですよね。10分間だけ集中して読んで、面白かったら絶対に続きを読むじゃない。私の世代はなかったですけど、「金八先生」で観ました。笑
大石:ちなみに、きょんさんは最近、何の本にハマっているんですか?
小泉:私はね、忙しくてなかなか昔に比べたら読書量が減っちゃってるんですけど、最近韓国の女性作家さんがアツいんですよ。たくさん出ていて、力強い物語を書くのでここ数年注目しています。
大石:韓国文学、初めて知りました。
小泉:結構、普通の書店でもコーナーができているくらい人気が出てきています。
横浜市・星川駅
地域の循環を目指す本棚「めぐる星天文庫」
お悩みから視点を広げて、こんな話題も紹介しました。
上村:今回ご紹介するのは神奈川県横浜市の町の中に常設されている本棚「めぐる星天文庫」です。こちらの本棚のテーマが「地域の循環」ということ。「めぐる星天文庫」を手がけるハーチの室井梨那さんにお話を伺いました。
地域の誰かが読み終えた本をまた次の、他の誰かにバトンタッチするための循環型の本棚になっています。お家で読み終えたり、もう読まない、本棚に眠っている本を「めぐる星天文庫」に持ってきていただくと、今度はそれを読みたい人が本棚を訪れてその本を持っていくというシステムです。
私たちの目指している循環は3つあります。
①資源の循環
使われなくなった本が地域をぐるぐるすることで、廃棄物が減るという循環。
②人の循環
本をたまたま持ち込んだ時にそこで会った別の方とお話ししてお友達ができたり、知り合いが増えたりという人の循環。
③知識の循環
普通にリユースで本を売ろうと思ったらちょっと折れ目があったりマーカーを引っぱってあると価値は下がってしまうと思うんですけど、我々の本棚の場合はむしろそこに書いてあるメモや線、折れ目っていうところが知識が溜まっている部分だと思うので、そこに価値を置いて「むしろそういった本を持ち込んでください」っていっているんです。別の方がその本を読んだ時に「前の人はこんなところが気になって読んだんだ」ってわかると、それも知識の循環になる。
この3つの循環を大切にして運営しています。
「めぐる星天文庫」は出張も可能で、イベントとかにも1箱から移動式で展開しています。ぜひ、みなさんで一緒に循環を体験していきましょう。
小泉:これって、ビジネスではないの?
大石:ボランティアなんですかね。
小泉:あー、会社としての実験の一つっていうこと?いい会社ですね。本って、誰かが手に取ってくれる実感があると、手放しやすいかもね。
上村:本当ですね。あと、他の人が線を引いていたりするの、見るの好きなんです。
小泉:私も!
上村:新品の本もいいですけど、これはこれで良さがありますよね。
大石:神奈川でしょ?
小泉:そう、横浜。相鉄線の星川駅かな。
上村:駅の2階にあるギャラリーに置かれている、ということです。ここの駅から電車に乗る人たちは本を読んでいる方も多いのかもしれないですね。
小泉:電車とか飛行機とか、乗り物で本を読んでいる人ってすごく素敵に見えるんですよね。
上村:わかります!
小泉:「何読んでるんだろう」って思ったりして。モテるかもしれないですよね、わかんないけど。笑
大石:そうですか?明日からやってみようかな!笑
小泉:出張も可能だって。
上村:私たちも実は、ニアミスをしていまして…サステバが去年の大型連休に「地球を笑顔にする広場」のイベントでロープのワークショップを行いましたよね。
小泉・大石:伝説の!笑
上村:赤坂サカス前広場の会場に、「めぐる星天文庫」の出張本棚も置かれていたんだそうです。
小泉:おー!気が付かなかったね。いいな、ここ。手間とかもかからずにパッと行って借りて、読み終わったら戻したりできるのがすごく循環としていい。
大石:最寄りの駅でできるといいですよね。スペースを貸し出す人の協力もあるんだろうけど。
上村:こうやって本に触れて好きになることで本屋さんで本を買ったり。それで書店が生き残ったり、いろいろなことに派生するといいですよね。
小泉:本をどうにかしたいと思っている方もいたりするから、番組をお聴きの方で本の寄付を募っている方がいたら教えてくれたら、ご紹介できるから。「こういうことをやりたくて本を集めています」みたいな。
大石:ちなみに、きょんさんは本にマーカー引いたり、メモを書いたりする人ですか?
小泉:滅多にしないです。しおりを使います。
よく、買った本にお名前を書く人いるじゃないですか。そういうの、グッときますよね。古着とかも、お着物の羽織の裏にお名前が書いてあったりすると、グッとくるんですよね。その人の人生を少し覗き見できる気分になってね。これから書こうかな?
上村:いいかも!
(TBSラジオ『サステバ』より抜粋)