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一番ツライ!「いきみ逃し」 陣痛促進剤を使っても29時間かかった汗だく出産

たまひよONLINE

Manuel-F-O/gettyimages
一人娘は成人し、孫が楽しみなライターのumeです。初めて妊娠・出産の経験をしたのは、もう26年も前のことです。出産予定日は8月5日のはずなのに、お盆を過ぎても何の兆しもなく、もう妊娠41週目の後半になっていました。入院するよう言われ、陣痛促進剤でお産を促しながら、念のため帝王切開の準備もしてもらうことになりました。

予定日過ぎても気配なし。陣痛促進剤からスタート


病室でまず内服薬を飲みましたが、効きめはナシ。今度は点滴で入れると、ぐーっと生理痛のような痛みがやってきました。だんだん重くなり腰やお尻まで痛くなってきて、これが陣痛なんだと実感しました。

陣痛が5分間隔になり陣痛室に移りました。もうすぐかと思ったのに、子宮口の開きが遅くなかなか進みません。先生や助産師さんから「まだですね」と言われるたびにがっかり。後から入ってきた人が、私より先に分娩室に移っていくのを見て、焦りを感じました。

夫と母は陣痛室の前で待機してくれていましたが、待たれていると思うと気になって落ち着きません。「まだ時間がかかるから」と一旦帰ってもらいました。

痛みと暑さに!パワーをくれた“すき焼き弁当”


メリメリと腰が砕けそうな痛みを呼吸法で逃していると、汗が全身から噴き出してきます。エアコンが効いているのに暑くてたまりません。持ち込んだお気に入りのタオルは、顔や首元を何度もぬぐってぐっしょり。病衣はしわくちゃでよれよれになり、汗で背中に張りついていました。

陣痛が収まっている間に少しでも眠ろうと、掛け布団をはねのけて横になっていると、腰や足がスースー冷えてきます。かぶってしまうと暑いし、布団を掛けたりどけたりしているうちにまた痛みがやって来る…。この繰り返しが永遠に続くような気がしました。

入院してから丸一日経った夜、助産師さんが夕食を運んできてサイドテーブルに置いてくれました。横になったまま動けずにいると、ふたを取って「おいしそうよ」と勧めてくれます。もうろうとしながら体を起こすと、お肉がどっさり乗った“すき焼き弁当”が目に飛び込んできました。

妊娠17週の時に一度入院したので病院食は何度か食べましたが、こんな豪華なメニューは初めてで、俄然テンションが上がりました。ベッドの上にあぐらをかいて座り、陣痛がおさまっている間に必死でモグモグ。陣痛が来たら箸をおいて、「フーッフーッ」と呼吸でしのぎます。何度か繰り返して完食すると、元気が復活しました。

折り返し地点を経てようやく破水、歩いて分娩室へ


入院して二晩目の日付が変わる頃、ようやく破水しました。まだ全開にならず、いきみを逃すのは大変な苦痛でしたが、助産師さんに両手で腰を押してもらうと楽になりました。暗闇の中で助産師さんが天使に見えました。この日はたまたま主治医の先生が当直だったのも心強かったです。

朝になってやっと子宮口が全開大に。隣の分娩室へ歩いて移動し自力で分娩台に上りました。自分にまだこんな力が残っていたのが驚きです。陣痛からやっと解放される、ただそれだけで嬉しかったです。

陣痛の波に合わせてぐーっといきみます。いきみ終わると全身の力が抜けてぐったりしました。何度目かのいきみで裂けるような激痛が走った瞬間、何か大きなものがずるりと引き出されました。

ゴールで待っていたのは、朝の光と完走した爽快感


「はい生まれたよ!」助産師さんが抱き上げた赤ちゃんは小さくて、朝の光の中で肌がつやつや光っています。まわりの風景が急に明るく見えて、たとえようのない爽快感を感じました。

壁の時計は7時30分、タオルはもうボロボロになっていました。「良かったね、おなかを切る用意もしていたんだけど」先生が眼鏡の奥の細い目をさらに細めて笑ってくれました。

古いポーチの中に娘を出産した時の母子手帳を見つけました。赤い表紙をめくると、出産記録のページに「42週0日目」「分娩所要時間29時間17分」と記されています。長くて苦しい、そして最高の夏の記憶が蘇ってきました。あれから26年、また夏がやってきます。相変わらず汗かきの私は今もタオルが手放せません…。

[ume * プロフィール] 
夫と社会人の娘がいる50代主婦。子育て中に必要に迫られて始めた車の運転が、今では一番の趣味になりました。同世代の友人の間でそろそろ孫の話題が出るようになり、出産・子育て事情の変化に驚くことばかりです。

※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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