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【要介護3の在宅介護の限界】一人で抱え込まずサービス活用・施設入居を視野に!無理せず介護を続けるコツ

「みんなの介護」ニュース

山崎 晋平

要介護3の在宅介護は無理?介護サービスを上手に活用しよう

要介護3の在宅介護は無理?デイサービスと訪問介護を活用しよう

要介護3と認定された高齢者の在宅介護は、身体的・精神的に大変負担の大きいものです。寝たきりに近い状態で、排泄や移乗など常時介助が必要となるため、家族だけで介護するのは難しいでしょう。

要介護3で介護サービス受給者は約90万人で、そのうち、約3分の2は居宅サービスを利用しています。

介護保険で利用できる主なサービスとしては、デイサービスと訪問介護(ホームヘルプ)があります。

身体状態にもよりますが、デイサービスやヘルパーなどの介護サービスを上手に活用することで、在宅介護を続けていくことは可能です。

・デイサービス:施設に通って入浴、食事、機能訓練等を日帰りで提供してもらえるサービスです。利用回数は本人の希望や身体状態・精神状態によっても変わります。

・訪問介護:ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護(排泄介助、入浴介助など)や生活援助(掃除、調理など)を提供するサービスです。1日最大3回の利用が可能です。

介護サービスを活用するには、担当ケアマネジャーとよく相談して適切なケアプランを立てることが重要です。以下、具体的な介護サービスの利用法を見ていきましょう。

ケアマネジャーと相談し、最適なケアプランを立てよう

要介護3の在宅介護で欠かせないのが、ケアマネジャー(介護支援専門員)の存在です。要介護者の心身の状態や生活環境、本人・家族の意向などを考慮しながら、必要な介護サービスの種類や利用頻度を定めた「ケアプラン」を作成してくれます。

在宅介護を続けるには、デイサービスと訪問介護をどのように組み合わせるのか、福祉用具は何が必要かなど、ケアマネジャーと相談しながら利用計画を立てていくことが大切です。要介護度や利用者の状態変化に応じて、定期的にケアプランを見直していくことも忘れずに。

デイサービスを活用し、家族の介護負担を軽減しよう

デイサービスは日中の活動の場であり、入浴や食事、機能訓練などのサービスが利用できます。送迎もしてもらえるので、外出の機会にもなります。要介護者の方がデイサービスを利用することで、日頃から介護している家族の介護負担を大幅に軽減できます。また、自宅で行う介護技術に関する相談や家族も知らなかった要介護者のパーソナリティをつかむきっかけにもなりえます。

デイサービスは介護や生活リズムの改善、要介護者の孤立防止にも効果的です。単なる預け先としてだけでなく、要介護者の心身の状態に合ったプログラムを提供してくれる事業所を選ぶことが大切です。体調が安定しない場合は、看護職員が常駐しているデイサービスの利用も検討しましょう。

ヘルパーを上手に活用し、毎日の介護を支援してもらおう

訪問介護(ホームヘルプ)は、ヘルパーが自宅に訪問して行う生活支援サービスです。

排泄はおむつ交換やポータブルトイレの介助、入浴は全身の洗体や洗髪、更衣などの支援を行ってくれます。調理や掃除、洗濯といった家事援助も頼めるので、同居家族の負担が大幅に軽減されるでしょう。ヘルパーに身体介護を任せることで、家族は精神的ケアや話し相手に専念することもできます。

訪問介護の利用頻度や時間帯は、要介護者や家族の状況に合わせて検討します。ケアマネジャーと相談して、過不足のないサービス提供を受けられるようケアプランに組み込んでいきましょう。

福祉用具や住宅改修で、安全で快適な在宅介護環境を整えよう

要介護3では状態によっては、ベッド上で過ごすこともあります。そのため、ベッドや車椅子、手すりの設置など福祉用具の活用も欠かせません。リフト等の移乗用具を使えば、家族の負担を大幅に軽減しつつ、要介護者の安全も守れます。

また、段差の解消や手すりの取り付け、洋式トイレへの変更など住宅改修を行うことで、要介護者も家族も生活しやすい環境を整備できるでしょう。

福祉用具のレンタルや購入、住宅改修の費用は、一定額まで介護保険の対象になります。ケアマネージャーと相談しながら、自宅の間取りや要介護者の状態に合った環境整備を進めていきましょう。

要介護3の在宅介護で直面する問題と対処法

排泄や移乗介助の負担が大きい!介護者の身体的・精神的ストレスに要注意

介護者にとって特に負担が大きいのが排泄と移乗介助です。身体状態によってはオムツ交換が頻繁に必要な場合もあり、ベッドから車椅子への移乗には腰痛のリスクも伴います。

認知機能の低下がみられる場合は、徘徊やトイレの失敗など介護者を悩ませる問題行動への対応にも迫られるでしょう。

身体的・精神的ストレスから、多くの介護者が疲弊してしまいがちです。家族だけで頑張り過ぎず、デイサービスや訪問介護などの介護保険サービスを利用することが大切です。

またケアマネジャーや主治医、地域包括支援センターの職員などに悩みを打ち明け、家族の会などで同じ立場の介護者と交流することも大事なことです。

以下、要介護3の介護で直面する代表的な問題と、その対処法を具体的に見ていきましょう。

排泄介助の負担が大きい!オムツ交換の工夫とポータブルトイレの活用法

寝たきりに近い要介護3の排泄は、おむつを使用している場合が多いです。ことが多いでしょう。おむつ交換は1日数回必要で、特に夜間の交換は家族の睡眠も妨げます。おむつかぶれによる褥瘡のリスクもあるため、こまめな交換が欠かせません。

おむつ交換の負担を減らすには、ケアマネジャーと相談の上、訪問介護(ホームヘルプ)を利用するのが有効です。家族が対応できない時間などにサポートしてもらうことで、家族の肉体的・精神的負担が軽減されるはずです。

また、ポータブルトイレを併用することで、おむつ交換の回数を減らせる可能性もあります。姿勢を保持できる要介護者なら、ベッドごと座位になってポータブルトイレを使うことが可能です。排泄のタイミングを見計らって声かけすることで、おむつの使用量も減らせるでしょう。

移乗・移動介助に腰痛のリスク!福祉用具を使った安全な介助方法

下肢筋力の低下が顕著であり、立位保持が困難な要介護3の状態になると、ベッドと車椅子の間の移乗が必要なケースが多いです。要介護者が座位保持ができない場合は、ベッドから車いす、車いすからベッドへの移乗時に全介助が必要で、介護者の腰痛リスクも高まります。

こうした移乗の負担を軽減するには、スライディングボードやリフト(天井走行リフトなど、要介護者をつり上げて移動させる用具)などの福祉用具を活用することも対策となります。身体に負担のない介助方法をケアマネジャーやリハビリ専門職と相談し、導入を検討しましょう。

また、歩行器や手すりを使った移動の介助では、転倒予防のための見守りが重要です。センサーマットで起き上がりを検知したり、移動時にはできるだけ付き添うよう努めましょう。

認知機能の低下による問題行動にどう対応する?接し方のポイント

認知症の症状がある要介護3の高齢者も少なくありません。記憶障害や見当識障害から、同じことを何度も聞いたり、夜間の徘徊やトイレの失敗が増えたりします。こうした行動への対応に、家族は悩まされるものです。

大切なのは、認知症は病気であり、要介護者に責任はないと理解することです。行動の背景にある不安や欲求を汲み取り、優しく寄り添う姿勢を心がけましょう。外出やレクリエーションを一緒に楽しみ、残存機能を活かしながら安心できる時間を過ごせる工夫が必要です。

デイサービスのプログラムの中にも、回想法や音楽療法など認知症の症状を和らげる活動が用意されています。認知症介護における悩みは、ケアマネジャーや医師、認知症カフェの仲間にも相談してみましょう。

介護疲れを感じたら無理せず休養を!レスパイトケアの利用法

在宅介護は肉体的にも精神的にも負担が大きく、家族の心身の健康を蝕みがちです。介護者が倒れてしまっては、要介護者も困ってしまいます。「自分だけが頑張らねば」という思い込みは禁物です。

無理せずに休養を取ることが、介護の長期化に欠かせません。日頃から親戚や地域の支援者に協力を求め、ワンデイ・ショートステイなどのレスパイトケアも定期的に利用しましょう。

地域包括支援センターの担当者やケアマネージャーに悩みを打ち明けることも大切です。介護者の心と体の健康を維持するためのレスパイト支援は、制度の中に組み込まれています。積極的な利用を検討しましょう。

在宅介護の限界を感じたら施設入居も視野に!スムーズな移行のコツ

十分な介護サービスを利用しても、要介護3の在宅介護には限界があるものです。特に次のようなケースでは、介護施設への入居を前向きに検討しましょう。

家族の心身の疲労がピークに達している
介護サービスを総動員しても、要介護度に見合ったケアの確保が難しい
ショートステイの利用が恒常化し、月30日以上に及ぶ
在宅療養に必要な医療処置が、家族の手に負えない
経管栄養や喀痰吸引など、医療依存度が高い状態にある

こうした状況では、いつまでも在宅にこだわることなく、要介護者に必要なケアを安定的に受けられる環境を優先することが大切です。

介護施設の選択肢としては、特別養護老人ホーム(特養)、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがあります。

特養:要介護3以上が入居可能。食事や入浴、排泄などの介護に加え、機能訓練や健康管理のサービスも提供。ユニットケアを導入する施設も増え、個室化が進んでいる。費用は食費や居住費を含めて月15~20万円程度が目安です。
介護付き有料老人ホーム:「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、特養以上に手厚い介護サービスが受けられる。費用は月額25万円以上で、有料老人ホームの中では高めの設定です。
サ高住:バリアフリー構造で安否確認や生活支援サービスがあり、自立度の高い高齢者でも入居可能。介護が必要になれば、外部サービスを利用しながら住み続けることができる。費用は月10~20万円程度。

施設入居の費用負担が不安な場合は、高額介護サービス費の制度を利用することで、所得に応じた自己負担の上限が設定されます。年金収入などを考慮しつつ、ケアマネジャーともよく相談して施設選びを進めましょう。

以下、施設入居を視野に入れる際の具体的なポイントを確認していきます。

特別養護老人ホームへの入居条件と費用について知っておこう

特養は原則要介護3以上の高齢者が入居できる介護施設です。

食事や入浴、排泄などの日常生活支援に加え、機能訓練や健康管理のサービスも提供。常勤の医師や看護師も配置されているため、医療ニーズにもある程度対応できます。

ただし、特養の入居には原則「要介護3以上」という条件があります。入居申込者が多い地域では、要介護度の高い人が優先されるため、要介護3では入居までに時間がかかることも。施設見学を含め、計画的に情報収集・申請手続きを進めましょう。(※本人や家族、介護を取り巻く状況により施設への優先順位は変動します。)

特養の費用は、介護保険の自己負担に加えて、居住費と食費、日常生活費が必要です。個室ユニット型の場合、これらを合わせて月額15~20万円程度が目安となります。高額介護サービス費や室料減額、食費補助の対象となるケースもあるので、早めに確認しておくと良いでしょう。

介護付き有料老人ホームのメリットとデメリットを理解しよう

施設内に24時間の介護職員が常駐し、一人一人に合わせた柔軟なサービス提供が可能。設備面でも個室が基本で、プライバシーに配慮された環境が整っています。

ただし、費用面では月額25万円以上かかることが多く、有料老人ホームの中でも高めの設定と言えます。重度になるほど介護サービス外の費用がかさむことにも注意が必要です。

また、有料老人ホームは介護保険の指定を受けていない施設も多いため、サービスの質にばらつきがあるのも課題。

見学時のチェックポイントとしては、介護職員の人数や夜勤体制、看取りやターミナルケアの実績などが挙げられます。第三者評価を受審しているかどうかも判断材料になるでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への住み替えも一案

サ高住は、バリアフリー構造の建物内で安否確認サービスや食事の提供などを受けられる、比較的新しい高齢者向けの住まいです。

自立度の高い高齢者も入居できますが、介護が必要になっても、在宅サービスを利用しながら住み続けることが可能。いわば「介護施設」と「自宅」の中間的な選択肢と言えます。

スタッフによる安否確認や緊急時対応があり、ある程度見守られた環境で、自立した生活を送れるのがメリット。

費用は食事代や生活支援サービス費を含めて、月額10~20万円程度が一般的です。ただし外部の在宅サービスに頼らざるを得ないため、「住まい」と「介護」の連携の取れ方には、施設差があるのが現状。

運営母体に医療法人や社会福祉法人が参画しているか、介護事業所が併設されているかなども、チェックしておきたいポイントです。

施設入居に伴う各種手続きと準備すべきことをチェックしよう

施設入居が決まったら、入居に向けたさまざまな手続きを進める必要があります。主なものは以下の通りです。

ケアマネジャーの変更(施設のケアマネに引き継ぐ)
介護保険負担割合証の提示(施設に提出)
健康診断書の準備(施設から書式の指定あり)
介護保険施設等医療受給者証の申請(市区町村の窓口)
退去・転居届の提出(現在の住所地の役所)
郵便物の転送手続き、電話・電気等の解約手続き

荷物の整理では、タンスやテレビなど施設の設備に合わせた処分・購入が必要です。念の為、施設からの持ち込み禁止物品のリストをチェックしましょう。

また、入居後に必要な日用品や衣服なども事前にそろえておきます。

入居費用の支払い方法も、事前に施設側と詰めておくことが大切です。

月々の支払いを遅滞しないよう、可能なら口座引き落としの手続きを取っておきましょう。一時金の費用負担が重いようなら、社会福祉協議会の貸付制度などの利用も検討の余地があります。

このように、施設入居には相応の準備と手間がかかります。余裕を持って取りかかるためにも、在宅介護の限界を感じる前から、情報収集を進めることをおすすめします。

以上、要介護3の在宅介護の限界と施設入居について詳しく解説しました。

ご自身の働き方や家族の協力体制、要介護者の心身の状況に応じて、在宅介護を継続するのがよいのか、施設入居を選ぶべきなのか見極めていく必要があります。

在宅と施設、それぞれのメリット・デメリットをよく理解した上で、要介護者本人の意思を尊重しながら、ご家族で丁寧に話し合っていくことが何より大切だと言えるでしょう。

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