【コラム】上杉謙信公の愛刀・国宝『太刀無銘一文 字(山鳥毛)』(瀬戸内市所蔵)特別展示を通し、市民が義の名将の刀剣の魅力 を共有!
岡山県備前長船刀剣博物館のケースの中の謙信公の愛刀・国宝「太刀無銘一文字(山鳥毛)」(上越市提供)
謙信公の愛刀・国宝「太刀無銘一文字(山鳥毛)」が、第100回謙信公祭を記念し、特別展として8月13日~24日に上越市立歴史博物館に展示されるが、既に50日余りに迫った。先日も、関係者らがこの稀有の機会を盛り上げようと、「山鳥毛を10倍楽しむフォーラム」などを開催した。なお、山鳥毛の観覧は事前申込制で、既に市民枠の受付が終了し、抽選が行われる予定。一般枠の受付は7月6~18日となっている。
振り返れば、7年半前上越市がこの山鳥毛の取得を目指したが、購入価格で交渉が決裂し、断念したことがあった。市では専門家による評価額3億2,000万円を提示したが、当時の所有者は最終的に5億円での売却を希望し決裂に至った。その後、現在の所有者の岡山県瀬戸内市が取得したが、上越市では今回瀬戸内市から借りることが出来、第100回謙信公祭特別展示に当たり、上越市では1,008万円の予算を計上している。
なお、地元紙の報道によると、過日のフォーラムでは、主催者からは『圧倒するオーラと存在感がある』との紹介があったり、また刀剣の専門家からは、山鳥毛の表面の波状の模様について、その魅力的な部分の解説があったとのことである。
今回山鳥毛は、4世紀余りを経て、謙信公のふるさと上越市に帰って来ることから、上越市民人一人が市民の宝でもある山鳥毛の魅力を共有したいと願っている。この山鳥毛の命名は、華やかな刃文が山鳥の刃毛のように見えることから名付けられたと伝えられている。
山鳥毛(全長110.2㌢、刃長79.5㌢、反り3.4㌢)は鎌倉時代中期の福岡一文字派の作で、長尾憲景から上杉謙信に贈られ、優れた鑑刀眼の持ち主として名高い謙信、景勝が愛蔵した。名刀は所有者の哲学を映し出す鏡でもあり、義を重んじ、内に燃えて外には無益な争いを避け、己の生き様を貫いた二人の名称にふさわしい一振りとも言えるだろう。腰反り高く、踏張りがあり、鎌倉武士の矜持と美意識を映し出す金字塔とも言うべき名品である(元吉備国際大学教授 白井洋輔氏)
いずれにせよ、義の名将の生き様を映す愛蔵刀(黒漆合口打刀)を、今回の特別展示の機会を通して、しかと市民一人一人が己の胸に留めおきたいものである。併せて同フォーラムでも話があったようだが、これを機に「山鳥毛をきっかけに両市の交流が進められることも期待したい」とも願うものである。
竜 哲樹(にいがた経済新聞顧問)
写真 岡山県備前長船刀剣博物館のケースの中の謙信公の愛刀・国宝「太刀無銘一文字(山鳥毛)」(上越市提供)
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