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岡山で余生を送る関東育ちの115系!最後の「広域転配車」を知る!

鉄道ホビダス

text:MSかぼちゃ(X:@MS3167)

 111系・113系・115系といった直流近郊型電車の研究を活動のメインとし、鉄道系サークル「日本かぼちゃ電車学会」の主宰も務め、動画や同人誌でその成果を発表しているMSかぼちゃさんの連載!「徹底研究!国鉄近郊型電車113系115系」。今回はその中でも「広域転配」という全国的な転属を経験した115系にスポットを当てます。国鉄時代では頻繁に見られた広い範囲での車両移動でしたが、分割民営化後はそうした機会も少なくなりました。そんな中で、115系のうち岡山で今も活躍する12両は、当初関東で運用されていた経歴を持つ貴重な車両たちとなります。(編集部)

【写真】塗り分け線にスカ色の名残!?岡山で活躍する「広域転配車」を写真で見る!

 かつて、国鉄が鉄道ネットワークを全国一元的に管理していた時代、今では考えられないような車両の移動が多くありました。
 「広域転配」とよばれるこの移動は113系・115系も例外ではなく、一昔前までは現在のJR会社間をまたぐ経歴を持つ車両が各地に在籍していました。
 ですが、時代の流れとともにその数は減少していき、2024年8月現在では下関総合車両所岡山電車支所(旧岡山電車区)でわずか12両が稼働するのみとなっています。
 今回は、そんな岡山で現在も活躍する最後の広域転配車について解説していきましょう。

▲かつては三鷹電車区に配置され、中央東線で活躍した115系300番代。D-26/27の2編成は湘南色を維持している。

D-26編成 ‘23.7.1 山陽本線 糸崎 P:日本かぼちゃ電車学会

 12両の広域転配車は大きく2グループに大別されますが、そのうち9両を占めるのが三鷹区を由来とする115系300番代です。
 これらの車両は1976年に三鷹電車区に配置され、以来横須賀色を纏い中央東線を中心に運用されてきたグループで、1986年に小山・新前橋電車区より115系の中間車が18両転入したことにより捻出され、岡山区に転出していきました。
 岡山区では非冷房のまま残存していた115系0番代を置き換え、冷房化率の向上に貢献します。また、転入当初は横須賀色のまま運用され異彩を放っていましたが、1987年ごろに全車が湘南色への塗装変更を終えています。
 JR化後には延命N工事を受けているものの、このグループに向けて施工されたものは化粧板の色合い変更や蛍光灯の増設など、アコモデーション改善メニューが一部省略されており、比較的原型に近い仕様を保っています。
 しかし、この仕様のせいか227系500番代の投入による置き換えでは優先的に廃車対象とされているようで、在籍した6本のうち3本がすでに廃車されています。現在稼働中のD-22/D-26/D-27の3編成に関してもそう遠くないうちに廃車されることが考えられるため、今後の去就が注目されます。

▲元新前橋車で、A-02編成の下り方先頭車であるクハ115-1217。体質改善40N工事が施工されている。

A-02編成 ‘24.6.23 山陽本線 糸崎 P:日本かぼちゃ電車学会

 残り3両の広域転配車は、1984年に新前橋電車区より転入した115系1000番代です。先述した115系300番代は編成単位での在籍であるのに対し、こちらは全車がクハ115形であり、クハ115-1219/1217/1032がそれぞれA-01/A-02/D-31編成の下り方に連結されています。
 下り方の先頭車のみが3両という一見不思議なグループですが、これにも当然理由が存在します。
 かつて、岡山地区の115系1000番代はクハでモハユニット2組を挟んだ6連を基本編成としていたのですが、短編成高頻度化施策によって編成を短縮することとなり、6両編成は2本に分割されました。これにはいくつかの方法がありますが、その一つとして「下り方の3両を先頭車化改造の上3連化、上り方の3両はクハを1両連結し4連化」というものがあり、彼らはこうした編成を組むために転入したグループだったのです。
 転入後も目立った形態の変化はなく運用されていましたが、2000年前後に体質改善工事(クハ115-1217のみ体質改善40N、他2両は体質改善30N)が施工されており、車内外に大きく手が入れられました。特にクハ115-1032を含むA-08編成はモハ115を先頭車化の上3両編成のD-31編成となり、切妻スタイルのクモハ115を連結する特徴的な編成となっています。
 このグループの車両は2024年8月現在で3両全車が健在ですが、227系の投入状況によっては置き換え対象となる可能性が十分に存在するため、決して今後も安泰とはいえない状況です。

 岡山地区で12両が活躍する、関東生まれの115系たち。どの車両も既に転入から40年前後が経過しており、岡山地区での活躍期間の方が長くなりました。しかし、体質改善工事が施工されていない115系300番代を中心に、当時の面影を残す車両も存在します。国鉄時代の車両転配、そして関東地区で活躍した115系の姿を今に伝える生き証人として、貴重な存在であるといえるでしょう。

115系300番代に現在も残る、三鷹時代の編成番号札掛け。当時の活躍を今に伝える一級品の証拠だ。

クモハ115-323 ‘23.3.5 山陽本線 三原(貫通路より撮影) P:日本かぼちゃ電車学会

2024.8.23 14:20 修正の上掲載

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