最速発表!巳年1月にもっとも株価が上昇したファッション&アパレル銘柄はTSIホールディングス、パレモHD、良品計画
巳年の2025年がスタートして1カ月が経った。巳年は、これまでの努力や準備が実を結ぶ年と言われており、株式市場では「辰巳天井」と呼ばれるように株価が天井をつけやすいとされている。2024年はアシックスやミズノといった「スポーツ」銘柄、三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリングの「インバウンド」銘柄、そして「Z世代」の代表銘柄のYutoriが大きく上昇した。
今年の値動きはどうであろうか。ファッション&アパレル関連株の1月6日始値から1月31日終値までの1カ月間の騰落率ランキングを作成した。対象は81銘柄で、このうち値上がりした銘柄は38銘柄で、値下がりした銘柄は43銘柄だった。81銘柄の単純平均はマイナス1.12%だった。なお、デサントは2025年1月24日に上場廃止となったため除外し、昨年10月18日に新規上場した「ゾフ(Zoff)」を展開するインターメスティックを加えた。
ファッション&アパレル関連81銘柄で株価上昇率の第1位は、「パーリーゲイツ(PEARLY GATES)」や「ステューシー(Stussy)」などを展開TSIホールディングス(以下、TSI HD)だった。上昇率は17.0%だった。TSI HDは1月14日に2025年2月期通期の最終利益を当初予想の40億円から150億円に上方修正し、さらに配当予想も19円から65円(前期15円)への大幅な増額を発表、その翌日には株価が前日から2割以上上昇しストップ高買い気配となった。
TSI HDは中期経営計画の一環として、連結子会社のTSIが運営するブランド「ローズバッド(ROSE BUD)」の事業をビーズインターナショナルに譲渡、さらに米国ブランド「アルファ・インダストリーズ(ALPHA INDUSTRIES)」の国内における独占販売代理店契約とライセンス契約を締結するなど、構造改革を積極的に推し進めている。
上昇率第2位はパレモ・ホールディングス(以下、パレモHD)で、上昇率は15.4%だった。パレモHDは1月21日に2月末時点の株主から株主優待制度を再開すると発表し、これが好感され株価は前日比で28.0%上昇していた。パレモHDは巳年の今年、創業40周年を迎えるにあたりその節目として優待制度の再開を決定していた。
上昇率第3位は「無印良品」を展開する良品計画だった。上昇率は14.0%だった。良品計画は昨年11月23日に清水智(しみずさとし)氏が代表取締役社長に就任しており、新体制で2025年を迎えている。良品計画が1月10日に発表した2025年8月期の第1四半期決算は、売上高にあたる営業収益、営業利益、経常利益が四半期ベースで過去最高を更新し、さらに通期での連結業績予想を上方修正している。会員に割引価格で提供する優待企画「無印良品週間」が絶好調で、営業収益と各利益は今期、過去最高を更新する見込みだ。
一方で、騰落率の最下位はマイナス18.9%で千趣会だった。千趣会の2024年12月期の通期連結決算は45億円の最終赤字を見込んでおり、当初予想していた18億円の最終赤字から赤字幅が大幅に拡大する。こうしてみると構造改革に積極的に取り組んでいるか否かが、初速の株価に反映されているようだ。巳年は、これまでのやり方からの脱皮がより一層求められていくかもしれない。今後もファッション&アパレル関連株の動向に注目していきたい。