デフレ脱却よりインフレ抑制。選択的夫婦別姓も経済成長につながる?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、10月10日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演。石破茂首相の経済政策や、日本経済が抱える問題点などを解説した。
長野智子「きょうは佐藤さんにいろんなことを伺いますが、すべて『経済』軸で。まず『きのうの党首討論をご覧になっていかがですか?』という質問も、経済のポイントを伺います」
佐藤治彦「石破さんはこのところ、経済の話をするとき最初に言うのが『デフレ脱却』という言葉なんです。皆さん違和感ないですか? いま国民が望んでいるのはデフレ脱却よりもインフレ抑制なんです。ここがズレているな、と思います。デフレ脱却が最優先と言っている。わかりやすくいうと物価が上がるように、ということです」
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「はい」
佐藤「そうじゃないだろうと。なぜかというと岸田政権時代、我々、生活している国民のお財布は温まりませんでしたけど、企業の景気はたいへん良くて。日本のGDPも600兆円を超した、といって経済界は喜んでいる。しかしとても重要な『個人消費』という問題がある。国の経済の中に占める個人消費の割合です」
鈴木「ええ」
佐藤「コロナの前は304兆円あったのが、いま297兆円と減ってしまっている。600兆円のうちですから、だいたい5割です。でもつい20年前の個人消費はGDPの6割。これが当たり前だったんです。どれだけ個人消費が追い詰められて減っているか。だからたとえば子ども食堂や、そういったものが必要な日本になってしまった。お米を給付する、現金を渡す、といったことが日本で必要なわけないんです」
長野「これって賃上げの部分と表裏一体というか一緒の議論ですよね」
佐藤「おっしゃるとおり。この家庭は住民税非課税世帯だからお米を送る、そうではなく誰もがお米をほしいだけ買える、それぐらいの経済力を各家庭が持っている、というのが当たり前だと思う。でもそうなっていない。石破さんはもともと言っていたことと総理になってから言っていることが変わったじゃないですか。金融課税強化もやめてしまった。岸田さんも総理になる前は言っていたけど、なったらやめた。なぜですか。安倍派に対する配慮です」
長野「はい」
佐藤「いま日本の経済の問題は、石破さんが言っていたことでもあるけど人手不足だと。それから家庭の収入が少ないこと。家庭の収入が増えれば内需拡大します、経済が良くなります。人手不足が解消すると、みんながもっと働くから家庭の収入も増える、内需拡大となる。みんなの収入と人手不足と日本経済の成長ってすべてリンクしているんですよ」
長野「まさに!」
佐藤「たとえば石破さんが言うのをやめた選択的夫婦別姓制度が絡んでくる。よく政治的な面だけでとらえられるけど、じつは経済的な面がすごく重要なんです。だから経団連が『選択的夫婦別姓、してください』と言っている。これお金のかからない非常に重大な経済政策なんです」
長野「人口の半分である女性が働きやすくなる、起業もしやすくなる。いろんな手続きで経済に対してプラスになる」
佐藤「働きやすくなって世帯収入が増えて内需拡大につながっていくんですよ」