犬が『寝たきり』になってしまう病気4つ 発症する原因や症状、飼い主にできることまで解説
犬が『寝たきり』になってしまう病気とは?
犬は一般的に7歳からシニアに分類され、年を重ねると細胞の老化により全体的な体の機能が低下していきます。こういった現象は「老化」によるものなので、人も犬も避けて通ることはできません。
しかし、老化ではなく何らかの病気が原因で寝たきりになってしまうこともあります。具体的な病気や発症する原因、起こりうる症状までを解説いたします。
1.ガン(癌)
犬のガンは早期発見が難しいうえに進行が早く、気づいたときには末期で寝たきりとなってしまう可能性もあります。
発症部位によっても症状は異なりますが、元気・食欲がない、体重の減少といった初期症状が比較的よく見られます。
これらの症状は急を要するものとは言い難く『季節の変わり目だからかな?』『もうシニアだし…』と捉えられてしまい、より発見が遅れてしまうのです。
犬種によって腫瘍ができやすいなどの遺伝的要因があるほか、加齢や食生活、運動不足による肥満も原因だと考えられています。
2.心臓病
犬の死因のトップは前述したガンであり、全体の約半数を占めています。続いて多いのが約2割を占める心臓病です。中でも犬が発症しやすい心臓病は『僧帽弁閉鎖不全症』であり、チワワやトイプードルなどの小型犬がかかりやすいとされています。
心臓が収縮する際に僧帽弁が完全に閉まらず、血液の流れに異常が起きてしまう病気です。加齢や遺伝により発症しやすいものの、はっきりとした要因は分かっていません。
初期症状はほとんどなく、健康診断のレントゲンや聴診器からの心雑音で偶然見つかることがあります。ですので、荒い呼吸や咳といった異変に気づいたときには中程度まで進行してしまっていることが多い病気です。
心臓が悪化すると肺も悪くなります。常に息が苦しいため寝たきりとなってしまい、自宅でのケアが難しくなると入退院を繰り返したのち死へと近づいていきます。もしも愛犬が発症したら看取り方を考えることも必要となる恐ろしい病気です。
3.関節炎
犬が寝たきりとなってしまう病気に関節炎があります。発症要因は加齢や肥満、食事や運動などの生活習慣といわれており、関節に炎症や痛みが起こる病気です。
愛犬が以下のような仕草を見せていたら関節炎を含む運動器疾患を疑ってみましょう。
✔かばうような歩き方をする
✔手足を触られることを過度に嫌がる
✔立ち上がりが辛そう
✔寝ている時間が増える
一見すると加齢や、個体差によるものと捉えてしまいますが、発見が遅れることで歩行障害や寝たきりとなってしまうことも。
関節リウマチや椎間板ヘルニアといった運動器疾患も寝たきりとなる可能性があります。『上手く言えないけどいつもと違う…』少しでもそう感じるのであれば、かかりつけ病院を受診しましょう。
4.てんかん
犬のてんかんも寝たきりになってしまう可能性のある病気です。てんかんとは、脳の神経細胞の興奮と抑制のバランスが崩れることで発作が起こってしまうこと。
原因は複数考えられます。遺伝的要因のほか、脳腫瘍や脳炎、脳の外傷などによるもの、気象条件や花火の音などもてんかんを誘発するといわれています。てんかんが疑われる症状は以下の通りです。
✔急に倒れて失禁する
✔手足をピーンと伸ばしてガクガク震える
✔目の焦点が合わない
✔よだれが止まらない
様子がおかしいとすぐに分かりますので、てんかんが治まったらすぐに病院を受診してください。てんかんの感覚が短く、頻度が多い場合には寝たきりとなってしまうこともある恐ろしい病気です。
寝たきりにならないために飼い主ができること
では大切な愛犬を寝たきりにさせないために、飼い主さんができることは何でしょうか?
基本的なことばかりですが、非常に大切なポイントは以下の通りです。
✔愛犬に合わせた適度な運動
✔健康診断や予防医療を受ける
✔適性体重を維持する
朝~日中に散歩をすると、太陽の光を浴びることによりビタミンDが作られます。骨を強くしカルシウムの吸収を助ける栄養素がビタミンDですから、積極的に陽の光を浴びて丈夫な体を維持しましょう。
そして、坂道を歩いたり階段を登るなど、足腰に軽い負荷をかけることは筋力低下の予防が期待されます。愛犬の様子を考慮しつつも、散歩は積極的に行きましょう。
定期的な健康診断のほか、狂犬病やワクチン接種、ノミ・ダニやフィラリア予防…これらはしっかり行ないましょう。シニア犬の健康診断は半年に一度行うことをおすすめします。愛犬の現在の体の状態を知るよう心がけてください。
肥満は万病の元。それは人も犬も同じです。犬種の標準体重を目安に、骨格などの体の造りによって個体差があります。一度かかりつけ医で愛犬の適性体重を聞き、その体重を維持するように努めましょう。
まとめ
犬も年を重ねるとともに今まで出来ていたことが難しくなり、寝たきりのような状態となってしまうこともあります。しかし、病気の種類によっては寝たきり予防ができないこともあります。
毎日の散歩と適量の食事、健康診断や予防医療といった飼い主さんができることを行い、大切な愛犬が日々を快適に過ごせるようサポートしてあげましょう。
(獣医師監修:寺脇寛子)