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東葉高速鉄道「海老川新駅(仮)」が着工。ふなばしメディカルタウン構想の一環でもある新駅の概要を解説

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東葉高速鉄道の10駅目となる新駅の計画が進行中

海老川新駅(仮)のイメージ図(出典:船橋市HP)

千葉県の東葉高速鉄道は、同県船橋市の西船橋駅と同じく八千代市の東葉勝田台駅を結ぶ路線だ。東京圏の人口集中が進む中、船橋市や八千代市に計画された大規模なニュータウン開発を促進し、これらの地域と都心を結ぶ新たな交通インフラとして1996年4月に開業した。路線距離は16.2㎞で9駅あり、都心を東西に貫く東京メトロ東西線と相互直通運転を行っている。また、JR西船橋駅、京成本線勝田台駅、京成松戸線北習志野駅と接続しているなど、かなり利便性が高い路線といえるだろう。

そのような東葉高速鉄道に現在、10駅目となる新駅の計画が進行している。「海老川新駅(仮)」だ。いったいどのような駅になるのか、この駅の誕生によって周辺住民の生活はどのように変化する見込みなのか、などを解説しよう。

開業は2029年3月末を予定

海老川新駅(仮)の場所は、東海神駅と飯山満駅のちょうど中間あたり(出典:船橋市HP)

海老川新駅(仮)は、上り方面の東海神駅と下り方面の飯山満駅のちょうど中間地点に整備される予定だ。両駅から約2㎞ずつ離れており、所在地は船橋市東町および米ヶ崎町地先となる。ホームは、飯山満駅と同じく高架相対式で、1階が改札、2階がホームとなる予定。1日あたりの乗降客数は、開業当初で約1万人を想定している。これは同路線の中でも中堅規模の駅に相当する見込みだ。工事費は約71億4,300万円、そのうち約16億円は国庫補助を見込んで船橋市が負担する。

周辺には、駅前ロータリーや駐輪場、バス停留所なども整備される予定で、地域移動のハブとしての機能も担う。また、バリアフリー対応のエレベーターや多機能トイレも設置され、あらゆる世代が使いやすい駅づくりが進められている。

開業の準備は、着々と進んでいる。基本設計は2020年度、詳細設計は2023年度に終了し、2025年5月23日には、東葉高速鉄道、船橋市、施工する大林組などの関係者が参列する本工事の起工式が執り行われた。開業は2029年3月末を予定している。

「ふなばしメディカルタウン構想」とは

新駅の周辺には、船橋市立医療センターだけでなく、複合施設や中高層住宅など多種多様な施設が整備される(出典:船橋市HP)

では、なぜ今海老川新駅の計画が進行しているのか。それは「ふなばしメディカルタウン構想」が大きく関係している。「ふなばしメディカルタウン構想」とは、船橋市が進める医療・福祉・子育て支援の複合拠点整備計画である。中心となるのは、老朽化した船橋市立医療センターの移転・新築だ。構想では、その周辺に高次医療機関や子育て支援施設、福祉施設などを集約する。

同センターは、1983年に開院した船橋市周辺の医療を支える中核病院である。ところが40年以上たった今は、建物や設備の老朽化が進んでいるうえに、外来・手術・救急・ICUなど主要部門のスペースが不足していることなどが課題となっていた。高齢化とともに急性期医療のニーズが高まる中、今の施設の規模・機能では将来的な医療提供体制を維持しきれない。そこで移転先として、公共交通の利便性に優れた海老川上流地区が選ばれた。

この構想は、単なる病院の移転ではない。周辺に高次医療機関や子育て支援施設、福祉施設などを集約するというもので、市全体の健康・福祉体制を強化する「まちづくり」の一環である。施面積約42.3ヘクタール、施工期間2022年から2033年、事業費約193億円という壮大な計画だ。

新たに整備される医療センターは、高度急性期医療や救命救急に対応する中核病院として、24時間365日体制の医療を提供する。さらにリハビリ病院の誘致や医療系大学・専門学校、研究機関の整備も計画されており、人材育成・研究・地域医療を融合させた先進的な医療拠点となる。その周辺には、ドラッグストアやスポーツクラブといった健康維持を支援する施設の整備も予定されている。つまり、専門医から薬局までを一体的に利用できるワンストップの医療サービスが提供されるのだ。

また、周辺の自然環境も活かされている。海老川から調節池、既存の水路・公園・歩道をつなぐウォーキングコースが整備され、誰もが楽しみながら身体を動かせる「歩きたくなるまち」として、生活に密着した市民の健康づくりを後押しする。

中核病院と周辺住民をつなぐ新駅に期待

これらの施設と周辺住民をつなぐのが、海老川新駅である。新駅は、医療・教育・健康・交流空間と直結する交通拠点として機能し、健康志向型都市の中核的な存在となることが期待されている。

東葉高速鉄道は、千葉県内でも都心アクセスに優れた鉄道であり、その沿線にふなばしメディカルタウンを整備するのは非常に合理的だ。そこに新駅をつくる、というのが計画の核心である。

筆者の自宅は、海老川上流地区から自動車で十数分の場所だ。その立場から見てこのエリアは「交通の便はいいが、目立たないエリア」というイメージ。千葉県屈指の繁華街である船橋駅や津田沼駅がすぐ近くにあるからかもしれない。だからこそ開発の余地があったともいえる。高齢化が進む日本において、今後高度な医療施設の必要性はますます増していく。筆者の知人で、90歳を超えた方がいる。その方は「船橋市立医療センターは、頼りになるけど、いつも混んでいる」と嘆いていた。新駅を核としたこの計画によって、ひとりでも多くの人がストレスなく医療を受けられるようになってほしい。

この記事では画像に一部PIXTA提供画像を使用しています。

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