小田原市在住芹澤さん 北条氏直の娘をたどる 関西で肖像画、位牌を確認
北条5代当主氏直と督姫(徳川家康の娘)の間に生まれた娘・縁了院と摩尼珠院。2人の足跡をたどろうと、歴史勉強会「小田原北条の会」の芹澤香代子さん(市内在住)が調査し、肖像画と位牌を関西地方で確認したことを報告した。成果は「小田原市郷土文化館研究報告」(3月14日発行)に収録している。
2人の娘は1590(天正18)年の小田原合戦後、氏直とともに大坂へ移ったとされる。その後若くして没した記録が残るものの「どのように葬られたかなどは知られていなかった」という。
縁了院の肖像画は鳥取市の妙要寺所蔵のものが確認されていたが、今回兵庫県宝塚市の妙玄寺で絵柄が酷似する肖像画を確認。由緒などから「妙要寺の肖像画は妙玄寺の模写では」とした。
また摩尼珠院について、京都市伏見区の本教寺で位牌があると報告。以前から督姫の位牌と並び安置されていたが、住職は「詳細までは知らなかった」という。
芹澤さんは今回の調査で、これら寺院は督姫が信仰する法華宗や日蓮宗の寺院であり、「姉妹は早くに没したため、督姫主体で葬儀が行われたのでは」と結論付けた。また妙要寺と本教寺では姉妹の供養が続き、妙要寺と妙玄寺では肖像画の模写などのつながりがあることを示した。
芹澤さんは「妙玄寺の肖像画は『池田輝政息女』として紹介されていた。姉妹は関西で督姫再嫁先の池田輝政の娘であり、北条の娘として知られてこなかったのも足跡が掴めなかった要因では」という。
歴史好きだった息子の影響で興味を持った芹澤さん。自身のルーツを探り、父の実家が督姫の外戚に仕えていたことを知ると、「ご先祖様が後押ししてくれたのかな」と縁を感じたという。調査結果が「姉妹の足跡を小田原の人が知るきっかけになれば」と話した。