住宅ローン減税の条件とは?新築や中古による違いや手続き方法も解説
住宅ローン減税にはどのような条件があるのかご存じでしょうか?
住宅ローン減税の適用条件は、新築住宅や中古住宅、リフォーム・増築などの種類によって異なります。
また、制度改正も繰り返し行われているため、最新の条件を押さえておくことが重要です。
この記事では、住宅ローン減税の住宅種類別の条件や手続きの方法について解説します。
最新の制度改正内容についても触れているため、ぜひ最後までご覧ください。
住宅ローン減税の概要
住宅ローン減税の条件を細かく見ていく前に、住宅ローン減税の概要や直近の改正内容について押さえておきましょう。
住宅ローン減税とは
住宅ローン減税とは、家の新築や建売・中古住宅の購入、リフォームや増築を行う際に、借り入れた住宅ローンについて減税が受けられる制度です。正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。
住宅ローン減税を使うと、住宅ローン借入額のうち年末残高の0.7%分が、所得税や住民税から減税されます。
住宅ローンは、ほかのローンと比べても借入金額が大きいのが特徴であるため、家庭への負担も大きくなります。
このような住宅ローンについて、返済の負担を軽減するために制度化されたのが住宅ローン減税です。
【条件変更】令和6年度税制改正のポイント
住宅ローン減税制度は、経済の状況や社会問題に対応する形で改正が行われています。
ここでは令和6年度税制改正のポイントについて押さえておきましょう。
ポイントは以下の2点です。
・子育て世帯・若者夫婦世帯への借入限度額の拡大
子育て世帯(19歳未満の子を有する世帯)・若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満の世帯)が2024年に入居する場合、2022、2023年入居の場合の基準(借入限度額が下がる前の基準)を維持する。
・新築住宅の床面積要件の緩和措置延長
新築住宅の床面積要件を40平方メートル以上に緩和する措置(合計所得金額:1000万円以下の年分に限る)について、建築確認の期限を2023年12月31日から2024年12月31日に延長する。
1点目は、2024年に500〜1000万円下げられた借入限度額について、子育て世帯や若者夫婦世帯に限っては2022、2023年の借入限度額基準(認定住宅:5000万円、ZEH水準省エネ住宅:4500万円、省エネ基準適合住宅:4000万円)を維持するものです。
借入限度額が高ければ、高い金額でローンを組んで住宅ローン減税も活用できます。
住宅の頭金にできるようなまとまったお金がない、急な出費に備えてある程度手元にお金を残しておきたい、という子育て世帯・若者夫婦世帯にとって大きなメリットといえるでしょう。
2点目は、合計所得金額が1000万円以下の人が新築住宅を取得する場合に関係する改正です。この場合、住宅ローン減税を受けるための床面積要件は40平方メートル以上に緩和される(通常は50平方メートル以上)措置が期限付きで行われていました。
この緩和措置の期限(建築確認の期限)について、2023年12月31日から2024年12月31日に延長するという改正です。
規模が小さい住宅も住宅ローン減税の対象になりうるため、少人数で暮らす住宅を取得するケースでも、住宅ローン減税を受けられる可能性があるでしょう。
このように、住宅ローン減税では世帯構成や対象住宅だけでなく、入居や建築確認を受けるタイミングも控除要件に関係するため注意が必要です。
【住宅ローン減税の適用条件】住宅の種類別に解説
住宅ローン減税の適用条件は、住宅の種類によって異なります。
新築住宅、中古住宅、買取再販住宅、リフォーム・増築した住宅の4つに分けて見ていきましょう。
新築住宅
新築住宅における住宅ローンの適用要件は主に以下のとおりです。
・減税を受ける本人が居住用とする家屋であること・床面積が50平方メートル以上あること・世帯の合計所得金額が2000万円以下であること※合計所得金額が1000万円以下の場合、40平方メートル以上であること(2024年末までに建築確認を受けることが条件)・住宅の引き渡しまたは工事が完了してから6ヶ月以内に住みはじめること・店舗等併用住宅の場合、床面積の半分以上が居住用スペースであること・住宅ローンの償還期間が10年以上であること
新築住宅を建築・購入する場合、上記の条件をいずれも満たすことで住宅ローン減税が受けられます。
中古住宅
中古住宅では、新築住宅の適用条件のほか、以下の条件を満たす必要があります。
・1982年1月1日以降に建てられた家屋であること・建築後に使用されたことがあり、地震に対する安全性にかかる基準に適合することを、以下のいずれかの書類で証明できること・耐震基準適合証明書※家屋を取得した日の直近2年以内に、その証明のための家屋調査が終了したものに限る・建築住宅性能評価書の写し※家屋を取得した日の直近2年以内に評価されたもので、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級1、等級2または等級3であるものに限る・既存住宅売買瑕疵保険付保証明書※家屋を取得した日の直近2年以内に締結されたものに限る
中古住宅や中古マンションでは、新築住宅の条件にプラスして、建築年の確認や耐震基準を満たすことの証明書が必要になることを押さえておきましょう。
買取再販住宅
買取再販住宅は、宅地建物取引業者によってリフォームされて販売される既存住宅のことです。
買取再販住宅で住宅ローン減税を活用する場合、新築住宅の条件に加えて以下の条件も満たす必要があります。
・宅地建物取引業者から家屋を取得すること・宅地建物取引業者が対象住宅を取得してから、リフォーム・販売するまでが2年以内であること・住宅を取得した時点で、新築の日から10年が経過した家屋であること・建物価格に対し、リフォーム工事の総額が20%(総額が300万円を超える場合は300万円)以上であること・大規模修繕や大規模の模様替えなど、指定された工事であること、かつ工事の総額が一定額を超えること
買取再販住宅では新築住宅の条件のほか、業者から家屋を取得することや工事の種類・総額に関する条件を満たさなければなりません。
リフォーム・増築した住宅
リフォーム・増築した住宅でも、新築住宅の条件と以下の条件を満たすことで、住宅ローン減税を活用できます。
・大規模修繕や大規模の模様替えなど、指定された工事であること・工事費用が100万円を超えること
リフォーム・増築の場合、対象になる工事の種類や条件が細かいため注意が必要です。
【いくら戻ってくる?】住宅ローン減税の計算方法
住宅ローン減税を活用した場合、いくら戻ってくるのかは気になるところです。
住宅ローン減税では基本的に、以下の計算式で所得税が控除されます。
【所得税控除の計算方法】
所得税控除額=住宅ローンの年末残高×0.7%
計算式をもとに、新築住宅の購入にともなう住宅ローン減税額についてシミュレーションしました。
【前提条件】・新築住宅の購入・住宅の種別:省エネ基準適合住宅・住宅ローン借入額:4000万円・住宅ローン返済期間:35年・住宅ローン返済方式:元利均等返済(ボーナス返済なし)・全期間固定金利、金利1%・子育て世帯・若者夫婦世帯に該当
上記の前提条件でシミュレーションすると、住宅ローン減税1年目の額はおよそ24万円となります。
その後、住宅ローン減税の最長適用期間である13年目まで、住宅ローンの年末残高の減少にともない毎年の減税額も減っていきますが、トータルで300万円近い減税が受けられる結果となりました。
住宅ローン減税を受けるための手続き条件
住宅ローン減税を受けるためには、適用条件を満たしたうえで適切な手続きを行う必要があります。
特に1年目と2年目以降では手続き方法が異なるため、注意しましょう。
【1年目】確定申告が必須
住宅ローン減税を受けようとする1年目には、確定申告が必須です。
確定申告は自営業者が年間所得を確定させて支払う税額を算出する手続きのため、年末調整を行う会社員や公務員などは基本的に行う必要はありません。
ただし、住宅ローン減税を受けようとする1年目には、会社員や公務員であっても年末調整を別に確定申告が必要になるため注意が必要です。
会社員や公務員にとっては慣れていない手続きのため、早めにとりかかると良いでしょう。
【2年目以降】会社員や公務員は年末調整で対応
住宅ローン減税を受けようとする1年目には確定申告が必須ですが、会社員や公務員なら2年目以降は年末調整で手続きを行います。
一方、自営業者などは1年目と同様に確定申告で漏れなく手続きを行いましょう。
申告を忘れた場合の対処法
万が一、確定申告や年末調整で住宅ローン減税の手続きを忘れた場合でも、5年以内であれば遡って手続きを行えるため減税を受けられます。
ただし、5年を経過してしまうと減税を受けられなくなるため、申告漏れに気づいた場合にはすぐに税務署に相談しましょう。
まとめ:住宅ローン減税の条件は住宅の種類ごとに異なる|手続きの方法にも注意して控除を受けよう
この記事では、住宅ローン減税の住宅種類別の適用条件や手続きの方法、減税額のシミュレーションについて取り上げました。
住宅の購入やリフォームなどを行う場合、住宅ローン減税は負担軽減につながるため活用したい制度です。一方で、条件が細かく定められていたり、制度の改正が行われたりするため、条件に該当するのか十分確認してください。
また、手続きの方法についても注意する必要があります。
記事の中でご紹介した内容を参考にしていただき、適用条件に該当する場合には正しい申告で住宅ローン減税を受けましょう。