奈良公園の鹿せんべい必勝法?現地で実践してみました!
奈良県民に「鹿(しか)しかいない」と言ったら顰(しか)めっ面で叱(しか)られた……とは誰が言ったか、奈良県と言えば鹿のイメージが強いことでしょう。
奈良公園や東大寺などにたくさんいる鹿たちは神の使いであり、彼らは春日大社の神鹿(しんろく)として大切に保護されてきました。そんな鹿たちの好物と言えば、皆さんご存知「鹿せんべい」。
奈良公園一帯の屋台や売店で売られていて、大抵1セット10枚で200円で販売されています。
今回は、そんな鹿せんべいについて紹介しましょう。皆さんが鹿たちと戯れる際のご参考にどうぞ!
鹿せんべいの買い方
……って、バカにしてんのかとツッコミが入りそうですが、鹿せんべいの買い方には注意があります。
ネット上に出ている情報に実体験をミックスした実用的なノウハウなので、きっと皆さんの役に立つことでしょう。
(1)買える時に買っておけ!
鹿せんべいは人気商品です。屋台なんかで売っているのを見かけたら、他に用事があってもすぐに買っておきましょう。
そうでないとお昼すぎには売り切れてしまうことも多く、後悔するかも知れません。
特に鹿さん大好きな方は、鹿せんべいをあげるのを楽しみにしていることでしょう。
必要になったらその場で買えばいい……なんてタカをくくっていると、後で涙を呑むことになります。
(2)鹿せんべいはここで買え!
鹿せんべい競争?に出遅れてしまい、屋台でも売店でも鹿せんべいが売り切れてしまった……そんな方も少なくないのではないでしょうか。
そんな時は、二月堂の付近にある売店が狙い目です。
多くの人は平坦部の屋台や売店で鹿せんべいが売り切れていたら、そこで諦めてor飽きてしまいます。
ですので、小高い二月堂付近まで鹿せんべいへの情熱を燃やし続ける人はほとんどいません。つまり、鹿せんべいが売れ残っている確率が高いです。
まさに「残り物には福がある」と言えるでしょう。
実際に筆者も平坦部で鹿せんべいが買えず、途方に暮れていましたが、幸運にも発見できたのでした。
(3)鹿せんべいの自販機
帰宅後に知りましたが、鹿せんべいは自販機でも販売されているそうです。
500円/10枚と通常価格に比べて割高ですが、24時間購入できるので、どうしても鹿せんべいを諦めきれない方には朗報でしょう。
ちなみに、鹿せんべいの自販機は、鹿苑(ろくえん)と春日大社駐車場の休憩所の2ヶ所です。
パッと見、普通の自販機にしか見えないので、注意しながら探してみましょう。
鹿せんべい 自動販売機で発売 設置場所もご紹介
https://foodlosspaper.com/shika-kami
(4)気分は密売人?
鹿せんべいを買う時、皆さんはどのように買っていますか?
まさか、鹿たちの目につくところで堂々と買ってはいませんよね?
鹿たちは鹿せんべいを買った人間が、それをくれることを学習済みです。
ですので、鹿せんべいの屋台や売店の周囲には、鹿せんべいを狙って鹿がたむろしています。
「ホラ、早く買って!」
「僕たち、お腹ペコペコなんだ!」
……と言わんばかりの表情と潤んだ瞳で、皆さんに懇願してくるでしょう。
そして皆さんが鹿せんべいを購入するや否や、態度を豹変させるのです。
「バカめ、まんまと術中にハマったな!」
「遠慮は要らねぇ、者どもかかれ!」
とばかり、鹿たちは一気呵成に群がってくるでしょう。
そういう事態を防ぐために、鹿せんべいの購入時は鹿たちが見ていないところで進めます。
もたついてはいけません。あらかじめ200円を用意して素早く渡し、鹿せんべいを素早く受け取り、しまい込みましょう。
まるで密売人のような気分ですね!
鹿せんべいのあげ方
さて、無事に鹿せんべいが買えた場合、それを鹿たちへ配ることになるでしょう。
鹿せんべいのあげ方についても、やはりコツがあるので、覚えておいて損はありません。
よってここでは、鹿せんべいを不快なくあげるコツについて解説しましょう。
(1)鹿に舐められないために
鹿に舐められると言っても、別に鹿たちが喧嘩を売ってくる訳ではありません。
鹿せんべいを差し出す時、鹿たちの長い舌でベッタリと指先を舐められてしまうのです。
あまり強く鹿せんべいをホールドしているとすぐに割れてしまい、手に残った方の部分も食べようと舌をのばして舐められました。
また、横から口を突っ込んで指先ごと鹿せんべいの横取りを図る鹿もいるので、これまた舐められてしまいます。
これらを防ぐためには、鹿せんべいを鹿たちに差し出し、舐められる前に指を引っ込めるコツを覚えるといいでしょう。
意識してやってみると、そんなに難しいものではありません。
筆者の肌感覚では、最初の3回くらいで指先を舐められなくなりました。
慣れてくると楽しいので、皆さんも鹿たちに鹿せんべいをあげる時は、指先を舐められないように意識すると、すぐに覚えられるのでおすすめです。
(2)鹿せんべいの恨みは恐ろしい?
せっかく買った鹿せんべいをすぐに食い尽くされてしまって、悔しい思いをされた方は一人二人ではないでしょう。
そこで観光客の中には、少しでも鹿たちのとの時間帯を引き延ばしたい一心で、鹿せんべいがないのに鹿たちと駆け引きを試みる出会いが現れます。
いかにも鹿せんべいを持っていそうなフリで鹿の気を引き、焦らし続ける作戦です。
鹿たちの性格には個人差がありますが、特に発情期のオス鹿(牡)は気が立っています。
そのため、イタズラ?が過ぎると角で突かれたり噛みつかれたりしてしまうでしょう。
(3)鹿せんべいをあげる意味は?
とは言え、手当り次第に鹿せんべいをやっていたら、お金がいくらあっても足りません。
鹿とふれ合うつもりが鹿に嫌われてしまっては元も子もないので、鹿せんべいは一枚ずつあげていきましょう。
鹿せんべいは時に鹿たちの生命線ともなりうる糧であり、ゲーセンで遊ぶメダルとは違うのです。
※基本的には公園や境内の芝などを主食としていますが、それだけでは千数百頭いると言われる鹿たちを養いきれず、餓死してしまう鹿もいます。
鹿せんべいは鹿たちの飢えを癒し、また鹿たちを保護する活動資金となるのです。
なので財布と時間の許す限り、なるべく鹿せんべいを買って、鹿たちとふれあうようにして下さい。
(4)鹿せんべいを、どの鹿にあげる?
余裕をもって鹿せんべいをあげたいなら、少しコツが必要です。
鹿が群がっているとテンションが上がる気持ちは分かります。しかしそんな場所でおもむろに鹿せんべいを出したら、たちまち揉みくちゃにされてしまうでしょう。
おすすめなのは、一頭で群れからポツンと離れた小さな子です。
そういう子は荒々しさがないため、あげる側としても余裕をもってあげられるでしょう。
また、一頭ではぐれている鹿は(鹿同士から)いじめられていることも少なくないため、何となく他人のような気がしません。
周囲に鹿が目を光らせていないかチェックしてから、陰キャでぼっちな鹿に鹿せんべいをあげるといいでしょう。
鹿せんべいの注意点
ここまで鹿せんべいの買い方やあげ方について解説してきましたが、続いて注意点と紹介します。
(1)代替品をあげちゃダメ!
鹿せんべいが買えなかった場合、もしくはもっと鹿せんべいをあげたい場合。
何でもいいから鹿たちにご飯をあげたい。そう思うかも知れません。
しかし、食べかけのお菓子や弁当の残り物などを鹿にあげるのはやめて下さい。
なぜなら人間の好む味つけは鹿たちにとって有害であり、病気になってしまうからです。
では、鹿せんべいならいいのかと聞かれれば、鹿せんべいは小麦粉と米糠(こめぬか)で出来ています。
そのため鹿が食べても害がありません。と聞くと、今度はこう聞く方もいるでしょう。
「小麦粉と米糠を焼いたものなら与えていいの?」
確かに理論上はそうなりますが、そういう例外を認めると、いつか誰かが変なモノを作って鹿に与えるのがお約束。
だから「ちゃんと売られている鹿せんべいだけしかあげちゃダメ!」とした方が安全でしょう。
(2)人間が鹿せんべいを食べたらどうなる?
小麦粉と米糠から出来ている鹿せんべい。だから人間が食べても、特に問題はないはずです。
ですが、これも理論上の話。鹿せんべいは鹿に合わせて作ってあるため、人間にとっては何の味もありません。
※小麦粉を焼いた甘い香りはするものの、一口食べたらそのギャップに驚くでしょう。
また、鹿せんべいは人間が食べることを想定していないため、衛生管理が非常に悪いです。
直射日光や外気にさらされるのは当たり前。食べても美味しくない上に、食中毒のリスクを抱えてはたまりませんね。
(3)ごみは絶対食べさせないで!
鹿は、地面に落ちているティッシュペーパーやビニール袋などを、間違えて食べてしまうことがあります。
こうした異物は消化されずに胃腸を圧迫し、病気になったり栄養失調で餓死してしまうケースも少なくありません。
中には4.3㎏ものプラごみが胃袋から検出された子もおり、非常に痛ましい限りです。
もちろん多くの方は、わざとごみを食べさせるようなことはしないでしょうが、手に持っている買物袋などが食いちぎられてしまうケースも少なくありません。
落ちているごみを食べようとしている鹿がいたら、可能な限り止めてあげて欲しいと思います。
終わりに
他にも細かなことが色々ありますが、今回はこの辺にしておきましょう。
もし皆さんが奈良を訪ねることがあったら、ぜひ鹿せんべいをあげてみてくださいね!
文 : 撮影 / 角田晶生(つのだ あきお) 校正 / 草の実堂編集部