地元で人気の大福やイベント情報も…注目WEBマガジンを作るのは「公務員」そのワケ
札幌で創刊された雑誌「まいど。」。
誌面を見ると…おいしそうな大福や、スノーキャンドルのイベントが紹介されていますが、これまでのグルメやイベントの情報誌とは大きく違っているんです。
その編集会議にお邪魔すると、原稿チェックの真っ最中。
でも、みなさん出版社のスタッフではありません。
その本業は、札幌市の職員!
札幌市経済観光局の林未来商業振興係長は「ふだんは商店街の活性化を目指していろいろな商店街に支援をさせていただく仕事をしています」と話します。
雑誌作りとは無縁の、札幌市の職員が、自ら取材・撮影・編集までを担う、この『まいど。』とは、どんな雑誌なのでしょうか。
2024年9月に札幌市が創刊した「まいど。」は、ネット上で見る雑誌=ウェブマガジンです。
毎月第2・第4金曜日の発行で、商店街による地域のイベントやおすすめのグルメ情報などを紹介。
札幌市のホームページの、『まいど。』のコーナーから誰でも無料で見られます。
でも、どうしていま、このようなウェブマガジンを創刊したのでしょうか?
商店街はピークの半数以下
「まいど。」の編集長でもある林さんは「商店街の数自体もだいぶ減ってきて、それに加えて商店街に加盟する店舗が減少し、担い手が高齢化している」とその背景を教えてくれました。
札幌市内の商店街は、1994年の138をピークに減少し続け、2024年は67と、半分以下にまで減ってしまいました。
さらに、ここ数年はコロナ禍で、商店街を盛り上げるイベントなどの活動もできませんでした。
ピンチを迎えている商店街を応援しようと札幌市が創刊したのが、この「まいど。」でした。
林編集長は「商店街が地域のためにいろいろな活動をしていることをあまり皆さんが知らないので、一般の人にも商店街のことをたくさん知ってほしい」と話します。
商店街の負担で冬の快適ができていた!
数日後、林編集長たちがお揃いのコートで訪れたのは西区にある琴似商店街です。
まずは、振興組合の事務所でのインタビュー取材から行います。
この商店街の特集を担当する林大地記者が注目したのが、琴似商店街のメインストリート、琴似・栄町通の「ロードヒーティング事業」。
琴似商店街振興組合の若本高史事務局長はそのいきさつについて「高齢化」をあげました。
「ツルツル路面を高齢の人が歩くのは、やっぱり難しい。この路面を解消するためにロードヒーティング事業になった」
2002年に商店街が独自に始めた取り組みですが、道行く人に聞いてみると、「市がやっているのかと思っていた」なんて答えも。
琴似・栄町通の1丁目から5丁目までのロードヒーティングは、電気代だけでひと冬2,000万円以上かかります。
それを商店街の店など、77店で負担しているのです。
琴似商店街振興組合の広部具之常任理事は「昔を知っている人間からすれば、ものすごいありがたいと実感できるけど、最近琴似に住んだ人とかは、当たり前になっている」と話します。
「まいど。」編集部は、こうした地道な地域貢献にスポットをあてようと、通りに出てさかんにシャッターを切っていました。
そして、こんな取材も…。
若い世代からみた商店街の魅力を盛り込みたい!
「はーい!私たちは、琴似のご当地アイドル!Teamくれれっ娘!です!」
同じ号では、商店街のイベントにも登場している、ご当地アイドルを紹介します。
若い世代から見た琴似商店街の魅力も盛り込む予定です。
「Teamくれれっ娘!」の信野樹奈さんは「琴似にいれば困ることがない」と笑顔!
「何でも買えるっていうか、街中に出なくてもいいと思えるところが好きですね」
熱い思いをもって活動を続ける商店街。
取材を終え、今回の特集を担当する林大地記者はその熱意が伝わるように、頭を悩ませます。
「やっぱり読んでほしいのでキャッチーなタイトルをつけたり…」
林未来編集長は「右肩上がりに発展するのも理想だけど、つながりがたくさんある商店街が、なくならずにずっと地域に根づいてほしい」と展望を語りました。
こんなことも商店街でやってくれている!
新たな取り組みで応援されている商店街の活動。
ただ買い物をする場所ではなく、実はこんなこともやっているって知っていましたか?
・祭りなどのイベント企画
・地域の美化活動
・防災訓練・防災用品の備蓄
・街路灯・防犯カメラの設置・管理
今回紹介した商店街応援マガジン「まいど。」は、札幌市のホームページに入り、サイト内で「まいど。」と検索することで読むことができます。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年2月7日)の情報に基づきます。