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集団登校はムリ!?小1発達グレー息子、マイペースでブーイングにも気づかず…母の付き添い登校はいつまで?

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集団登校はムリ!?小1発達グレー息子、マイペースでブーイングにも気づかず…母の付き添い登校はいつまで?

監修:井上雅彦

鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー

不安だらけの小学校生活。発達グレー息子は集団登校できる?

しのくんは発達障害グレーゾーン 、6歳の男の子です。現在小学1年生で、通常学級に籍を置いています。

しのくんは2歳まで発語がなく、身辺自立や運動面の発達もゆっくり。保育園での集団生活も苦手で、教室から脱走したり、行事に参加できなかったりすることもありました。

しかし、 年長の頃には加配の先生が付かなくても過ごせるようになり、 成長を感じることも増えてきました。

それでも、保育園とはがらりと変わる小学校生活。心配事は数えきれないほどたくさんありましたが、そのうちの一つは「しのくんが一人で歩いて登校できるのか?」ということでした。

しのくんは小さい頃から多動傾向があり、道路への飛び出しなどの心配が絶えませんでした。そのため6歳になっても、道を歩く時には必ず手をつなぐようにしていました。

しのくんが通う小学校は、集団登校をする決まりです。一応しのくんには、集団登校というものを説明して、みんなと一緒に行けるかどうか聞いてみましたが……。
「えー?しのくん無理よ。ママついてきてよー」という自信なさげな答えが返ってきました。でも正直なところ、しのくんと同じかそれ以上に、親の私も集団登校に緊張していたのです……!

そのため私は、1年生のはじめから登下校に付き添うと決めていました。もしかすると仕事に間に合わないことがあるかも?と、しのくんが小学校へ通い出す前に、 職場にも息子の現状を報告して相談。幸い上司に理解があったので、もし遅刻しても気にしなくて大丈夫と言ってもらえました。一緒に働いているスタッフにも理解を示してもらって、ホッとしたのを覚えています。

いよいよ始まった集団登校。「みんなと一緒に歩いている!」と喜んだけれど……!?

そして小学校が始まり、初めての集団登校。私はドキドキしながらしのくん達の列の後ろについて歩きました。

しのくんはちゃんとみんなと一緒に歩いていて、すごい!と思ったのも束の間……。しのくんは歩くのが遅く、ほかの班に追いつかれてしまい、「もー遅いなぁ」と言われてしまいました。

そんなことには全く気づいていない様子のしのくん。なので、私がしのくんに「早く歩こうね」と声掛けが必要な状況になりました。

集団登校が始まったばかりの頃は、ほかにもついていっている保護者も見かけましたが、1週間もすると一緒に登校する保護者はほとんどいなくなって、 私をいれて3名ほどになりました。

ほかの子たちに「何でしのくんのママだけいるの?いつ一人で行くようになるの?」と言われてどう返せばいいか悩む時もあります……。

一度、旗当番で私が一緒に登校できず、夫が付き添っていった日があったのですが、その時しのくんはシクシク泣きながら集合場所に行き、学校へ行ったと夫から聞きました。

入学から半年たった現在の様子は?

しのくんと登校しはじめて半年以上経ちますが、現在も一緒に登校しています。相変わらず歩くのが遅くマイペースなので、ほかの子たちに遅れないように、今は私と手を繋いで歩いています。

ゆくゆくはしのくん一人で登校できるようになってほしいなと思っていますが、まだ先は長そうです……。

それでも、楽しく学校へ通えているならよし!と考えて、無理のないようしのくんに合わせていきたいと思います。

執筆/keiko

(監修:井上先生より)
大きな荷物を持ち、上級生の子どもたちとペースを合わせながら交通ルールを守って集団登校するのは、子どもにとって大変な作業です。また保護者にとっても心配なところです。keikoさんのように、最初はスムーズに登校できるように、親御さんと一緒に登校する期間を長めに取られるのは、安全の上でも、ほかの児童とのトラブルを防ぐ上でも、よいことではないかなと思います。一般的には、親御さんが大丈夫と思った時点から少しずつスモールステップで離れていくのが基本になりますが、場合によっては、下校時から同様にして少しずつ一人下校のアプローチをしていくのもよいかと思います。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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