中深海カサゴ釣りで50cm超えウッカリカサゴに良型オニカサゴ【三重・なぎさ丸】
今回は3月1日に三重県・南伊勢町相賀浦のなぎさ丸へ釣行した際の様子と合わせて、中深海のカサゴ釣りについて解説していく。
なぎさ丸でカサゴ釣り
長く居座った寒波も遠ざかり、徐々に春らしさが感じられるようになってきた。春は中深海の巨大カサゴ(ウッカリカサゴ、オニカサゴなど)釣りが面白い。カサゴは岸からや陸に近いポイントでも狙えるがサイズは20cm前後が中心となる。だが船から狙うカサゴは50cmを超えるようなサイズも交じり、強くて重量感のある引きが魅力の釣りだ。
当日は午前7時に出船し、沖の漁礁周りのポイントを中心にウッカリカサゴをメインターゲットとして狙った。現地に到着すると天気予報の通り風はほぼなく、絶好のコンディション。好釣果を期待して、相賀浦の港を出船した。
タックルについて
中深海のカサゴ釣りでは、タックル選びが重要となる。ロッドはアタリをしっかり捉えられる穂先と、100号前後のオモリに対応できる強度を備えたロッドが必須となる。誘いの操作が行いやすい7対3調子のロッドと、船の揺れを吸収し仕掛けを安定させやすい6対4調子のロッドがある。私は手持ちでの誘いメインで狙う場合は7対3調子、ロッドキーパーに掛けて狙う場合は6対4調子を使用することが多い。
カサゴは大きい口でエサを丸のみしてしまうイメージがあるが、繊細な一面もあり違和感があるとエサを離してしまう。穂先が硬いロッドはヒット率が下がり、結果的に釣果が下がってしまうことから、ソリッド穂先などの柔軟な穂先を搭載したロッドがお勧めだ。
当日は私は、LIGHTからこの春に発売予定のフルソリッドで柔軟な穂先と、強じんなバットを兼ね備えたロッドであるオールラウンダー190を使用した。
リールはPEライン3〜4号を300m巻ける電動リールが必須。ダイワであれば300番クラス、シマノであれば1000番クラスのリールが最適だ。水深100〜150m付近を狙うことが多いので、ラインは最低でも300mは巻いておきたい。
仕掛けについて
漁礁周りのウッカリカサゴ狙いであれば、1〜2本バリの胴つき仕掛け、オニカサゴ狙いであればテンビンを使用した全長2m前後、2〜3本バリの吹き流し仕掛けを使用する。
胴つきについてだが、市販されているカサゴ仕掛けは、主に小型のカサゴを狙うためのものが多く、中深海の大型カサゴ用のものはあまり販売されていない。そこでヒラメ用の仕掛けを流用するか、自作した方が良い。
いずれの場合もミキイトは10〜12号、ハリスは8号前後を使用し、ハリはムツバリなどを使う。漁礁や岩礁帯を狙う大型のカサゴ釣りでは、仕掛けを細くすると根ズレによるラインブレイクのリスクが大きくなる。ハリスの太い細いで食いが大きく変わることも少ないので、しっかりとした強度のある仕掛けを使用した方が良い。
エサについて
カツオの切り身、サバの切り身が基本。全長10〜15cmと長めにカットしたものを使用する。あまり小さいエサはアピール力に乏しいことから、大きめ(長め)のエサの方が反応が良い場合が多い。切り身の他には、イカの短冊やホタルイカなどでもよくヒットする。
当日はカツオとサバに加えて、サンマの切り身やワームも使用した。切り身エサは身の部分を薄くカットし、水中でヒラヒラとアピールするようにした方が良い。エサの付け方は端から5mmから1cmの所にチョン掛けする。
ハリを刺す位置がずれると、エサが回転してしまいアタリが減ることから、なるべく中心に刺すようにする。
実釣開始
出船後、約30分程度沖へ走り、比較的水深の浅い70m付近のポイントで止まった。胴つき1本バリ仕掛けをセットして、早速釣りを開始した。
まずは船長の指示でオモリ80号からスタート。当日のファーストヒットはグ原さん。カサゴは比較的同じ場所に集まっていることが多く、同船者のヒットは連続ヒットのチャンスとなる。
底を取り直して穂先に集中していると、穂先にゴツゴツと強いアタリが出た。アワセを入れるとヒット。狙い通り幸先よく35cmほどのウッカリカサゴが上がってきた。
次のポイントでは天野さん、森嶋さんにヒット。上がってきたのは、40cmを超える良型のウッカリカサゴ。このサイズになると迫力満点だ。
潮が流れず苦戦
この調子でどんどん数を伸ばしていきたいところだったが、当日は潮が流れずここから我慢の釣りとなる。船長は次々とポイントを回ってくれるが、なかなか連続ヒットとはいかない。私もアタリをなかなか引き出せずに大苦戦。
この日は潮があまり流れていないので、ここでハリスの長さを思い切って80cmから40cmに変更。カサゴ釣りでは、仕掛けの長さによってアタリの出方が大きく変わることがよくある。
一般的に潮が速い場合はハリスを長めにして、遅い場合は短くすることが多いが、これはエサを潮に乗せてなびかせるより、ハリスを短くして積極的に誘いをかける釣り方だ。また表層の潮が速くても底付近の潮は遅いこともあるため、私は反応がない場合は短ハリスの仕掛けに替えて、様子を見るようにしている。
するとここで久々に明確なアタリが出た。大きくアワセを入れた瞬間に強い引きがロッドから伝わってくる。これは良型のようだ。人工漁礁でのカサゴ狙いでは、ヒットしてからが本当の意味での勝負となる。
ここの人工漁礁は高さが20mほどあり、ヒットした魚はこの漁礁に潜り込もうとする。そこで魚がヒットしたら、一気に巻き上げて漁礁を回避する必要がある。巻き上げが遅れるとバラシにつながるので、一気に巻き上げにかかる。しかし10mほど巻き上げたところで漁礁に入られてしまい、痛恨のバラシとなってしまった。
50cm超え頭に良型浮上
気を取り直して再び仕掛けを入れる。すると先ほどの再来か、穂先に明確なアタリが出た。
今度はより早めに巻き上げて漁礁を回避する。この魚は中層まできても強い引きを見せる。無事にタモに収まったのは、40cmオーバーの良型オニカサゴだった。
次の漁礁に移動してしばらくすると、木野さんにヒット。ロッドがひん曲がる。これはかなりの大型のようだ。船長も確信してタモを持ってスタンバイ。全員が見守るなか水面に浮いてきたのは、ひと目で当日最大と分かるサイズのウッカリカサゴ。50cmを優に超える、まさにゴジラ級のウッカリカサゴだった。
その後、いくつかのポイントを周り、数匹のウッカリカサゴを追加したところで当日の釣りは終了となった。大爆釣とはいかなかったものの、船中では良型が多く登場し、厳しい状況のなかまずまずの釣果となった。
釣り方のポイント
胴つき仕掛けを使用したウッカリカサゴ釣りは、仕掛けを落としてアタリを待つだけなのだが、やはり好釣果を上げるにはいくつかのポイントがある。
投入は直下へ
仕掛けを投入し、イトをフリーの状態でどんどん出していくと、潮や船の流れによって仕掛けに角度がついてくる(まっすぐに仕掛けが落ちずにラインが斜めになる)。この状態で仕掛けを引きずってしまうと、根掛かりの確率が大幅に上がってしまう。当日も何匹かやられてしまったが、ヒットした魚が漁礁に潜ってしまい、バラしてしまう確率も高くなる。
これを防止するためには、重めのオモリを使用して仕掛けの投入時にはリールのスプールを親指でやや強めに押さえ(サミング)、なるべく自分の直下へ仕掛けを落とすようにすると良い。船が動いて仕掛けに角度がついてきたら、面倒だがいったん仕掛けを回収して再度仕掛けを投入する。
水深があるポイントでは巻き上げに時間がかかり面倒な作業だが、仕掛けのトラブル確認やエサの状態の確認にもなる。可能であれば高性能な電動リールを使用すると、巻き上げ速度が速く手返しアップにつながるだろう。
このポイントを実行するだけで、根掛かりとバラシのリスクはかなり回避でき好釣果につながるので、ぜひ実行してほしい。
底を取り直す
また仕掛けを底から離しすぎないこともポイント。ウッカリにしろオニにしろ、自分からエサを追い回して捕食するのではなく、目の前にきたエサに飛びつく待ち伏せタイプ。そのため、エサが底から離れると、極端にアタリが少なくなる。
オモリが底に着いたら30cmほど上げて待つのだが、起伏が激しい漁礁ポイントではこまめに底を取り直すことが大事。
今回の五ケ所湾沖の漁礁では徐々に浅くなっていくことが多いので、オモリを上げていてもすぐにまた底に当たってしまう。オモリが底に当たる感覚を逃してしまうと、底を引きずってアッと言う間に根掛かりしてしまうので、神経を集中してサオに伝わる感覚を逃さないようにしよう。
釣った後の楽しみ
カサゴ全般に言えることであるが、オニカサゴもウッカリカサゴもとてもおいしい魚だ。良型のカサゴは刺し身、鍋、煮つけなどさまざまな調理方法があり、なかなか市場には出回らない高級魚でもある。釣った後の楽しみも大きいのだ。
調理の際に気をつけてほしいのは、ウッカリカサゴには毒はないものの鋭いトゲがあり、オニカサゴは顔やヒレに毒バリがある。死んでからも毒は消えないので注意が必要だ。またオニカサゴはとても生命力の強い魚で、クーラーの中で生きていることも多い。まな板の上に乗せたところで大暴れすることもあるので、調理の際は十分に気をつけてほしい。
船長によれば、ウッカリカサゴは3月いっぱいまで良型が狙え、オニカサゴは通年狙えるとのこと。釣り方のポイントさえマスターすれば比較的容易な釣りだ。皆さんもなぎさ丸で中深海の良型カサゴに挑戦してみてはいかがだろうか。
<週刊つりニュース中部版 桑原一幸/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2025年3月14日号に掲載された記事を再編集したものになります。