【宿題・自由研究もおまかせ⁉】夏休みに本当に使えるChatGPTへの質問例5選[専門家監修]
時間がある夏休みこそ、親子で生成AIを活用してみませんか? 昨今は学校教育でも、AIの存在を踏まえて、子どもの「情報活用能力」を育てることが重視されつつあります。何よりAIは、適切に使えば、子どもの学習活動の質を上げたり、学びをもたらしてくれたりすることもあります。
IT分野の専門家である安達恵利子さんによると、数ある生成AIの中でも、日常使いに適しているのがChatGPTだそう。宿題をはじめとする夏休みの活動を、ChatGPTにサポートしてもらうための伝え方や、具体的な質問例をお聞きしました。
生成AIは「プロンプト(問い方・伝え方)」次第で「答え」が変わる
ChatGPTなどの生成AIは、「プロンプト」とも呼ばれる「問い方・伝え方」(質問の表現や文脈)次第で、出てくる回答が異なってきます。なぜならAIは、人間のように言葉の「意味」や、その背景にある「意図」を理解しているわけではなく、言葉のつながり方や文脈のパターンから、「その状況にあった言葉」や「適切と判断できる回答パターン」を導き出しているからです。
つまり、ユーザー(人間)が曖昧な質問をしてしまうと、AIもぼんやりとした回答しか出せません。そこで、そんな状況を避け、より適切な答えを受け取るためには、前提や条件をきちんと示し、具体的な質問をすることが大切です。
親子で使う前に知っておきたい注意点
まずは、ChatGPTを立ち上げ、さわってみましょう。基本的には、チャット履歴が残る、ログインしての使用がおすすめです。ただしChatGPTの規定として、13歳未満はアカウントをつくることができません。小学生の使用は、保護者と行うことが原則です。
また、基本的な注意事項は、以下の記事も参照してください。
「音声入力」なら、子どもも気軽に使える
スマホやPCの文字入力が、まだ上手にできないお子さんにおすすめなのが、音声入力。チャット画面のマイク形のアイコンをクリックすると、音声入力モードになり、話したことがテキスト化されます。お子さん自身で、チャット形式でのやり取りを楽しむことができるのです。
また、生成AIのメリットは、1つの質問をどんどん深掘りできること。「●●について教えて」と聞いて出てきた答えに対して、「もっとわかりやすく」「それじゃあ、××の場合はどうなるの?」など、お子さん自身が積極的に問いを重ねていくことで、さらに知識や考えを深めることができます。
夏休みに本当に使える質問(プロンプト)例5選
夏休みに親子で使いたい質問(プロンプト)例を5つご紹介します。夏休みの宿題がなかなか終わらないお子さんにおすすめなのが、「夏休みの宿題の計画表」。休みのはじめに計画を立てることで、全体の見通しをつけることもできます。また、頭を悩ませることが多い「自由研究」「読書感想文」についても、ChatGPTの力を借りることができます。
では、やってしまいがちな「よくない質問例」と、より具体的で役立つ「おすすめの質問例」も、合わせてご紹介しましょう。
質問例① 「夏休みの宿題の計画を立ててほしい」
× よくない質問例
「夏休みの宿題のスケジュールを立てて」
〇 おすすめの質問例
「7月19日から8月26日までに、夏休みの宿題をバランスよく終わらせたいです。
7月25〜28日は家族旅行に行くので、宿題はできません。最後の3日間は予備日として空けておいてください。
宿題は、計算ドリル(30ページ)、漢字ドリル(30ページ)、読書感想文1本、自由研究1つです。
1日に1時間以内で終わるように、スケジュールをつくってください」
⇒「よくない質問例」の場合、ChatGPTは、全体的なざっくりとした予定しか立てられません。「おすすめの質問例」のように期間・自分や家族の予定・宿題の内容を具体的に伝えることで、格段に実用的になります。
「宿題の内容」については、もし学校から配布される宿題一覧のプリントがあれば、写真を撮ってアップロードすれば、画像認識されるので入力の手間が省けます。また、「小学生でも見やすいように、日ごとの予定がわかる表形式にまとめて」と頼めば、日付ごとの一覧形式での出力もできます。
伝えるポイント
・期間:「7月19日~8月26日」「最後の3日間は予備日にしたい」など
・できない日:「7月25日~28日の旅行の日は避けて」など
・宿題の内容:「ドリル●ページ」「読書感想文1本」「自由研究1つ」など、具体的に伝える
・1日あたりのボリューム感:「1日1時間以内」など、子どもの集中力に配慮する
質問例② 「自由研究のアイデア出しをお願い!」
× よくない質問例
「自由研究のアイデアを教えて」
〇 おすすめの質問例
「小学生の自由研究のアイデアを教えてください。家の中でできて、材料は100均などでそろえられるものが希望。予算は1000円以内です。理科系のテーマでお願いします」
「自由研究のテーマを探しています。生き物や自然が好きな小4の子ども向けで、1~2日でできる簡単なものを10個教えてください」
「小5の子が自由研究で『調べもの系』をやりたいと言っています。インタビューやアンケートを使ったテーマをいくつか提案してください。」
⇒「よくない質問例」の場合、ChatGPTは、「植物を育てる」「水のろ過実験」などの自由研究のテーマとして定番を並べるだけで終わることが多く、本人の状況や好みに合わない提案になることもあります。そのため、学年・子どもの興味・予算や期間などの条件を、具体的に伝えることが大切です。
加えて、「やる順番と、必要な材料を教えて」と伝えれば、実施の手順も提案してもらえます。
伝えるポイント
・学年
・子どもの興味があること:「自然が好き」「調べもの系が好き」など
・自由研究のタイプ:「工作系」「実験系」「調べ学習系」など
・条件:「家の中でできる」「お金をあまりかけない」「1~2日で終わる」など
質問例③ 「読書感想文づくりを手伝って!」
まずお伝えしたいのは、ChatGPTに「この本の読書感想文を書いて」と丸ごとお願いするのはNGだということ。子ども自身の学びにならないうえ、宿題として提出するにも不適切です。
ChatGPTを、「感想を引き出し、深めてくれる相手」「自分の感じたことを言葉にするきっかけを与えてくれる存在」として活用しましょう。そうすれば、やりとりの中で、子ども自身が「自分はこう思っていたんだ」と気づき、自分の考えや感情を、具体的な言葉にしてまとめていく力を育てることができます。
× よくない質問例
「この本の読書感想文を書いて」
〇 おすすめの質問例
「●●という本を読んだのだけど、どんなふうに感想文を書けばいいかわからない。
いっしょに考えてくれる?」
⇒ChatGPTは、「どこが心に残った?」「登場人物に共感したところは?」など、子ども自身の考えを引き出す質問を投げかけてくれる
「“ドキドキした”って感じたんだけど、他にはどんな言い方がある?」
⇒ 「わくわくした」「心がはやった」など、語彙を広げるヒントがもらえる
「はじめ・中・おわりの構成で考えたいんだけど、どんな順番がいいかな?」
⇒ 感想文の組み立てをいっしょに考えてくれる
伝えるポイント
・代わりに書かせるのではなく、「考える材料」「表現・構成のヒント」をもらう
質問例④ 「○○○の意味を、小学生でもわかるように教えて!」
〇 おすすめの質問例
「『持続可能』って、なに? 小学生でもわかるように教えて」
「『民主主義』の意味を、博士と小学生との対話で教えて」
「『多様性』って、どうして大事なの? 小学校4年生でもわかるように、例を出して説明して」
学校の宿題や読書、調べ学習などで、少し難しい言葉や文章に出合ったときに活用できる質問です。ChatGPTが、やさしい言葉で言いかえたり、例と共に説明してくれたりするので、子どもでも理解しやすくなります。
おすすめは、「博士(または学校の先生)と小学生との対話で教えて」という質問。子どもと博士との対話形式で、よりわかりやすく教えてくれます。
伝えるポイント
・「小学生にもわかるように」「例を入れて」などと伝えると、わかりやすくなる
イラスト化してもらえば、もっとわかりやすい!
ChatGPTには画像生成機能があり、言葉や考えを、グラフィックレコーディング(グラレコ)風の図やイラストにもしてもらえます。(無料プランでは1日3枚まで)
例えば、「●●●(意味を知りたい言葉)を、小学生でもわかるようにイラストにして」と頼めば、下記のようにイラスト化してくれます。
質問例⑤ 「小学生向けのクイズを出して!」
〇 おすすめの質問例
「小学生向けの、動物に関する知識クイズを10問出して。
ひらがなだけでお願いします」
「小学3年生が楽しめる、科学系の〇×クイズを5つ出して。
1問ずつ順番に出して、答えは後で教えてください」
「小学生向けの簡単な英語クイズを5つ出して」
「2人以上でできる、言葉遊びゲームのアイデアを教えて。親子で遊びたいです」
帰省や旅行での長時間の移動中など、お子さんが退屈しがちな時間に使いたい質問です。学年(年齢)・ジャンル・ゲームの形式を、具体的に伝えることが大切です。また、「ひらがなだけ」と伝えれば、まだ漢字が読めない年齢のお子さんでも、主体的に遊べます。
加えて、「もう少し難しくして!」「家族でできるゲームを提案して」など、自由にリクエストすることで、さまざまなバリエーションのクイズを出してもらえます。
ちなみに、今のところ、ChatGPTが秀でているのは、とんちや言葉遊びを楽しむ問題よりも、知識や雑学を問う問題のようです。すき間時間に、楽しく知識や語彙力を増やしましょう。
伝えるポイント
・学年(年齢):「小学生」「小学●年生」「●歳」など
・ジャンル:「動物」「植物」「食べ物」「英語」など、興味に合わせて
・ゲームの形式:「知識クイズ」「○×クイズ」「しりとり」など
・条件:「ひらがなだけ」「1問ずつ順番に出して」「答えは後で教えて」などと指定するとさらに◎
ChatGPTを「思考の道しるべ」として活用しよう
ChatGPTの活用法というと、つい「問題の答えを教えてくれる」と考えがちです。けれども、子どもの力を本当に伸ばすためには、「思考の道しるべ」としての機能にこそ注目したいものです。例えば、「答えを導き出すまでの“過程”を教えてもらう」「自分の考えを言語化する(深める)ための手助けをしてもらう」などの使い方こそ、生成AIの正しい活用法といえるのではないでしょうか。
これからの時代の子どもは、みんながAIを使ったり見たりしながら成長していくはずです。まずは、親も子どもといっしょに学びながら、親子で適切な使い方を模索してみてはいかがでしょうか。