藤沢市教委 教科書、育鵬社は不採択 歴史・公民ともに東京書籍
藤沢市立中学校で来年度から4年間使用する教科書を決める市教育委員会臨時会が2日に開かれ、歴史・公民ともに東京書籍版が採択された。保守色が強く、歴史認識を巡る記述などで賛否が分かれる出版社(育鵬社、自由社)は不採択となった。
採択は岩本將宏教育長と4人の教育委員による合議制。市民会館で行われ、傍聴には100人弱が訪れ、市民団体関係者の姿も目立った。
歴史では、育鵬社を含む9社の教科書を審議。全員が東京書籍を支持した。推薦理由として、岩本教育長は「レイアウトが見やすく、本文の説明が簡潔。各単元ごとの目標もはっきりと示され、見通しを立てて課題追及ができるよう工夫されている」と説明。他の委員からも評価は高かった。
公民では6社が採択候補となり、4人が東京書籍、1人が東京書籍と帝国書院を推した。
市では2012年度から「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社の歴史と公民の教科書を使ってきたが、21年度からいずれも東京書籍に切り替えていた。
採択に先立つ7月4日には小中学校の校長と保護者らでつくる「市教科用図書採択審議委員会」が行われ、教育現場の声を参考に答申。調査書では「つくる会」系の出版社は低評価だった。
市民団体「ほっとした」
これらの結果を受け、育鵬社版が採用された2011年に発足し、署名活動などを実施してきた「藤沢の教科書・採択問題にとりくむ会」の樋浦敬子さんは「現場の先生にお便りを出したり、学習会を重ねたりしてきた甲斐があった」と安堵の表情を浮かべた。
「とりくむ会」と連携して活動してきた「みんなの教育・ふじさわネット」の持田早苗さんは「ほっとした。未来ある子どもたちへの影響を考え、現場の声を尊重してくれた教育長に対して、今はありがたい気持ち」と感謝の意を述べた。