劇団☆新感線、45周年興行・初夏公演は鬼が棲む平安の世が舞台 いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』の詳細が発表
先般上演が発表された、2025年劇団☆新感線45周年興行・初夏公演。この度、公演タイトルを、いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』、そして公演日程が2025年5月13日(火)~6月1日(日)大阪・SkyシアターMBS、6月24日(火)~7月17日(木)東京・シアターHにて上演することが決定した。
今年で45周年を迎える劇団☆新感線。これまでケレン味を利かせた時代活劇“いのうえ歌舞伎シリーズ”や笑いに特化した“ネタものシリーズ”、生バンドの演奏をふんだんに取り入れた音モノ“Rシリーズ”など、常に緩急のある飽きさせない表現で観客を楽しませ、古参ファンから若年層まで幅広い世代から支持を獲得してきた。そんな新感線の記念イヤーを飾る第1弾公演は、“【譚】Retrospective”と銘打ち、これまでにない新たないのうえ歌舞伎、新感線流お伽噺を上演する。
「昔々あるところに……から始まるような、伝承で語られるような物語をやりたい」という演出のいのうえひでのりの発案から始まった今作。その要望に『ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~』(2023年)以来の登場となる青木 豪が応える。そしてモチーフとなるのは、古来より多くの村や町で伝承が残る“鬼”。人の善悪を捻じ曲げ喜怒哀楽に鋭く切り込み、心を揺らすセリフを書き下ろすことに定評のある青木豪が、“鬼”という材料を手に入れてどのように料理するのか。人と人ならざる者が生きる世界で繰り出される重厚なストーリー、そして新感線らしい歌って・踊って・観て楽しい。存分にショーアップされたエンターテインメントをおくる。
そして、今回の出演者はさまざまな出自のキャストがジャンルを飛び越え大集合した。
主演を務めるのは、2024年5月に宝塚歌劇団を退団し、演劇としては今作が退団後初の舞台となる元花組トップスター柚香 光。10代の頃から数々の新感線作品に触れてきたという柚香が、男役の衣を脱ぎ捨てて新境地に挑む。
そして、新感線ではお馴染みの早乙女兄弟と公私ともに親交があり、新感線作品への参加をかねてより望んでいたゴールデンボンバーの喜矢武 豊、19年にスーパー戦隊シリーズの主演でデビューしアクション・殺陣にも心得がある。今作で初舞台を踏む若手俳優の一ノ瀬 颯、乃木坂46の元メンバーでグループ卒業後は主演ドラマからミュージカル、ストレートプレイまで実力を発揮している樋口日奈。主演の柚香をはじめとする4名のキャストが新感線に初参加する。
さらに、23年の『天號星』以来、新感線6度目の登場となる準劇団員早乙女友貴、21年の『狐晴明九尾狩』以来4年振り6度目の登場となる大ベテラン千葉哲也、17~18年の『髑髏城の七人~Season月《下弦の月》』以来なんと7年振りの凱旋となる。舞台『刀剣乱舞』では長く三日月宗近役を務め、洗練された美しい身のこなしと殺陣が評判の鈴木拡樹らお久しぶりの俳優陣も集結し、毛色の異なるさまざまな出自のキャストが一つどころに集まった。
そんな何が飛び出すかわからない、ビックリ箱のようなゲスト俳優たちを、粟根まことをはじめとする平均年齢50代の劇団員が迎え撃つ。
キャストの息遣いがリアルに聞こえ、観客が息を飲む瞬間を感じられる密度の高い劇場空間で、熱気立ち込める没入感を肌で感じよう。
【ものがたり】
ともに生きるか、ともに死ぬか——。
惹かれ合いながら、血の宿命に引き裂かれる二人。
古(いにしえ)の悲恋物語に材を得た、新感線流お伽噺
これは、遠い平安の頃のお話。
ある日突然に、鬼と思しき者に妻子をさらわれた男。
10年の時を経て手がかりを得た男は、今も想い慕う妻、そして娘の行方を探さんと思い立ち、
従臣たちとともに鬼の棲家へ向かう。
だが、10年前の別離には哀しき因果があった……。
スタッフ コメント
■作:青木 豪
学生時代から新感線のファンなので、2008年の『IZO』からずっと「兄貴、俺でいいんですか?」と恐縮しつつ、毎度ご期待に応えられるよう頑張っております。いのうえさんのオーダーはいつも「それをまさに今書いてみたかった」という感じなので、プレッシャーよりやる気が上回るところに、ただただ感謝しております。
4、5年前に『あのよこのよ』という作品の着想を始めた頃、『酒呑童子』をベースにした鬼退治の話を書きたかったのですが、その頃『鬼滅の刃』がヒットしていて、ちょっと鬼退治を書くのに気が引けてしまい…。なので今回いのうえさんから「『雨月物語』みたいな、お伽噺みたいのをやりたい」というオーダーを頂戴して、「鬼退治でどうですか?」とお答えしたら、「いいねぇ」とご返答いただけて、大変に嬉しかったです。ようやくチャレンジできて感無量であります。
陰惨な中にも美しさと愛のある作品になると思います。多くのお客様に気に入っていただけたら嬉しいです。ご期待ください。
■主宰・演出:いのうえひでのり
“いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective”と銘打った狙いとしては昔話、またはお伽噺という切り口のいのうえ歌舞伎はこれまでやっていないから新しいと思ったんです。これまでもいろいろな形で“鬼”を扱ってはきましたが、今回は特に幻想怪奇的なラインを強調しつつ、昔からある日本の鬼伝説や伝承をモチーフにしていきます。
青木豪さんの脚本は、ちょっとマニアックな視点、ニュアンスがあるところが面白い。そんな彼ならではの魅力をいかに出していくかをいつも一番に考えています。また東京公演では劇場のサイズが小さめなので、「だからこそ良かった」と思われるような長所にしたいとも思っているんです。柚香光さんはせっかく初めて新感線に出ていただくんですから、歌も踊りも期待していてください! 喜矢武豊くんは身体が利く人ですし、一ノ瀬颯くんは僕のワークショップに参加してくれた時にとても素直でいい感じでした。樋口日奈さんは、舞台の出演作がとても評判でしたからね。鈴木拡樹くんは『髑髏城の七人~Season月《下弦の月》』(2017~18年)以来なので、さらに成長した姿をぜひ見たいです。早乙女友貴くんは今回“番頭”みたいなポジションで劇団員とゲスト、特に初参加の方々との良いつなぎをやってくれるのではないかと思います。千葉哲也さんは俳優であり演出家でもあるから、いてくださるだけでみんな相当ホッとするんじゃないかな。粟根まことさんには「この舞台は劇団☆新感線だよ!」ということを知ってもらうためにも劇団員を代表して頑張ってもらいましょう(笑)。
今回は、歌も踊りも入る“いのうえ歌舞伎”ではありますが、ここ最近の作品のなかでもより物語性を重視した舞台にするつもりです。新感線版お伽噺、劇場でお待ちしております!
キャスト コメント
■柚香 光
実は私、新感線さんの舞台は以前から何度も拝見しているんです。初めて観たのは『髑髏城の七人』(2011)で「なんだ、この世界は!?」とものすごく衝撃を受けて、次の日まで感動が残っていて。ですから、その劇団☆新感線さんの舞台に自分が主演として立てるなんて!と、とても興奮しています。今回は“いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective”と銘打って、昔話、お伽噺が切り口になるとのことですが、“鬼”という存在には私も俳優として心惹かれる部分が強くあります。私たち人間とは違う生きものかというと、そうでもないかもしれなくて。ただ私たちが目を向けていないだけで、現代を生きる私たちの中にもある普遍的なものが“鬼”に繋がるのかもしれませんからね。とにかく歌劇を卒業し、男役というものを脱ぎ捨てての初めての作品になりますので、たぶん自分が今まで出会ったことのない何かが産声を上げるような、新しいものに出会えそうだとも思っています。そういう、まだ自分が知らない自分と一体化しつつ、今回演じる役柄をどうやって作っていくかが、まずは一番のテーマです。皆さんに大切に思っていただける作品や役になるようにお届けしたいと思っていますので、是非ご期待くださいまして、劇場でお待ちしています!
■早乙女友貴
今回は僕にとって初めての青木豪さんの脚本作品で、いつかご一緒したいと思っていたものの、まさか新感線で叶うとは! 僕はこれまで、新感線では(中島)かずきさん脚本の舞台にしか出ていなかったので、いつもとは違う感じになるんだろうし、それをいのうえさんがどういう舞台に演出されるのか、とても楽しみです。しかも今回は共演者の中に日ごろから仲良くさせてもらっている喜矢武さんがいて、僕には違和感しかないんですけども(笑)。喜矢武さんはアクロバットができるくらい身体も動きますから、へばるまでとことん動かしてもらいたいです。それにしても新感線で僕はホント、バカな役しかやったことがない気がするんで、そろそろもう少し違う感じもやりたいなと思いながら、でもまだまだバカやってる時が一番楽しいのかもしれません。ともかく、僕の勝手な予想ではきっとダークな珍しい色の新感線になるのでは?と思っています。しかもそういったダークめな新感線が僕は大好きなので、お客様にもぜひ楽しみにしていただきたいです!
■喜矢武 豊
今回、劇団☆新感線に出演できるなんて「マジか!」って感じでした。しかし初新感線で共演者の中に早乙女友貴がいるというのは良かった……のかなあ?(笑) もちろん、いてくれてありがたいんですけど、武者修行的な感覚では誰も知らない中に飛び込むほうが気持ちは引き締まるかも、と思えて。とはいえ、もしかしたら友貴と戦ったりするのかな?と考えると不安になってきたので、ちょっと稽古前に山ごもりでもしてきますわ。滝にでも打たれながら刀を振っておきます。目標としては、できれば早乙女友貴をボコボコにしてみたいですからね。あと、いのうえさんの演出を受けるのが初めてなので、せっかく出るからにはしごいてもらいたくて。そこが一番の楽しみかもしれません。奇跡的に今回、僕が好きな劇団☆新感線に呼んでいただけました。もしかしたら新感線に参加している喜矢武豊の勇姿が見られるのはこれが最初で最後かもしれませんからね(笑)、ぜひとも劇場でご覧いただきたいです!!
■一ノ瀬 颯
初めての舞台で、これだけ多くの人に愛される劇団☆新感線の作品に出演させていただけることは大変光栄です。いつか舞台をやりたいという気持ちは抱いていたので、その初めてが新感線で叶うなんて本当にありがたく思っています。今回、鬼が出てくる物語になるということで、鬼って、誰もが小さい頃に触れるものでもあるからか、意外と馴染みがあるように思えるんですよね。そういう意味では、多くの人が世界観に入っていきやすい題材になるのかなと思いました。アクションや殺陣についても、身体を動かすことは好きですし、本格的に殺陣に挑戦したいと思っているので、稽古が始まるのが今から待ち遠しいです。今回、舞台にしっかりと根を張って活動されていらっしゃる大先輩方ばかりなので、皆さんから多くのことを学べる予感しかありません。どうかよろしくお願いします!という気持ちでいっぱいです。
■樋口日奈
私、叶えたい夢をリストにしているんですが、その中の一つが「劇団☆新感線さんの舞台に立ちたい!」だったんです。まだグループにいた現役の頃からずっと書いてあったもので、それが今回叶うことになって。すぐにお母さんに報告したらすごく喜んでくれました。新感線の舞台はもちろん何度も拝見していますし、DVDも持っています。初めて観た時は衝撃を受けました。ものすごく豪華絢爛で、幕が開いた瞬間から圧倒されてあっという間に観終わってしまう感覚で。それで「いつか私もあの舞台に立ちたい! そのためには自分はもっともっと頑張らなきゃ!」と思うようになって、この夢を糧にしてずっと活動を頑張ってきました。今回は共演者の方々も経験豊富な方ばかりですからいっぱい教わりたいですし、たくさん吸収しなければ! と思っています。観てくださる方に「観て良かった。今日はいい1日になったぞ!」と思っていただけるよう、私も精一杯頑張りますので、ぜひ楽しみにしていてください!
■粟根まこと
今回は“いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective”ということで、中島かずきさんではなく青木豪さんの脚本なのに“鬼”の話なんだ! とちょっと意外でした。でもやはり“鬼”の描き方、アプローチの仕方は全然違って、青木さんの作品ならではの人間のおかしみや哀れさ、優しさを含んだ、より昔話的な御伽草子のイメージになっていると思います。共演陣の顔ぶれは初参加の方も多く、非常に新鮮ですね。しかも各自のフィールドが見事にバラバラで、まるで異種格闘技戦のよう。だって、宝塚を退団したばかりのトップに、大衆演劇のスターに、ヴィジュアル系エアーバンドのギタリストでしょ。初舞台の二枚目俳優、元乃木坂の演技派、演出もできる個性派俳優に、2.5次元のプリンス。今回はそういう、異なった個性を持つ大人気の方たちが一堂に会し、いのうえ歌舞伎の新作をやるわけです。それぞれのファンの方たちも推しのこれまでとは違った一面を見つけられるかもしれません。その点もぜひ楽しみに、劇場にお越しいただきたいと思います。
■千葉哲也
劇団☆新感線に前回出演したのは『狐晴明九尾狩』(2021)ですから、4年ぶりですよね。そう、僕ここのところ4年に1回のペースなので、オリンピック選手と言われています。こうやって4年経つたびに何が起こっているかといえば、我が身が年をとっているということ。つまり、もうあまり動けませんよってことです(笑)。
振り返ると、新感線出演第1作が『IZO』(2008)でした。その後のパルコプロデュース公演『鉈切り丸』(2013)にも出演していて、あれも青木さんといのうえさんのタッグだったので、お二人のタッグ作品にはこれで3度目の出演になります。お客様にはまず『いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective』と銘打たれた今回の舞台が一体どういう作品になるんだろう、というところを楽しみにしていただきたいですし、初参加の方々は初めましての人が多いので自分が彼らの足を引っ張らないようにしなければ!と考えています。そして最年長の出演者としては、とにかく穏やかで楽しいカンパニーになったらいいなと願っています!
■鈴木拡樹
劇団☆新感線には『髑髏城の七人~Season月《下弦の月》』(2017~18年)以来の参加です。あの時はスタッフさん含め劇団員やカンパニーの皆さんに家族的な温かさを感じて「劇団って素敵だな!」と思い、「またいつかここに帰ってきたい」と願っていたので、今回出演させていただけて本当に嬉しいです。新感線の殺陣って、めちゃくちゃカッコイイんですよ。刃と刃を合わせた瞬間、そこにライトがスパン! と当たるという演出を『月髑髏』の時はしていたんですけれども、あの精密さが今回も問われると思うので、バシッと決められるようなんとか頑張ります。また今回は何よりも劇団の45周年記念の興行で呼んでいただいているので、ぜひ盛大にお客さんと一緒に祝いたいと思っています。ずっと観続け、愛してくれている方も、この機会に初めて来てくださるお客様も、この長い歴史ある劇団のカラーを共に楽しんでいただきたい…って、なんだか勝手に劇団員の目線で喋ってしまいましたね、スミマセン!(笑)