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トランプ大統領が和平を仲介。ロシア・ウクライナの領土線引きに高い壁

文化放送

8月20日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、トランプ大統領が18日に、恒久的な停戦を目指してロシアとウクライナが直接協議する調整を始めたと明らかにしたニュースについて意見を交わした。

寺島尚正アナ「アメリカのトランプ大統領は18日、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談しました。和平合意による恒久的な停戦を目指し、ゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領が直接協議する調整を始めたと明らかにしました。トランプ大統領はまずゼレンスキー大統領と会談し、その後、別の部屋に移ってヨーロッパの首脳も交えた協議を行いました。欧州からはイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、フィンランドの首脳のほか、NATO・北大西洋条約機構とEUのトップが参加しました。トランプ大統領はその後、プーチン大統領と電話で話し合い、自身のSNSに『ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談の開催地を決めるための調整を始めた』と記しました。最大の課題となるウクライナ領の扱いについては、両国間で交渉するよう促すとしています。そしてその会談の後、両大統領とトランプ大統領による3者会談を開く予定だと書き込んでいます。プーチン大統領とゼレンスキー大統領の二国間協議が行われるかどうかが、まず注目されますね」

森永康平「そうですね、やっぱり何事も話をしないことには進まないわけですから、その場がセットされるのは大事なことだと思います。ただこの話は、普通に考えたら、両者ともに譲るポイントがないという話ですよね。プーチン大統領からすれば、クリミア半島もそうですし、勝手に併合宣言した東部ドンバス地方もそうですが、『ここまでは俺たちのものね』と主張するでしょう。ただ、今、どんどん攻め込んでいる前線の部分に関しては『じゃあ一旦やめますよ』とする可能性があります。それが条件として出されるんじゃないかと、普通に考えたらそうなると思います。一方、ゼレンスキー大統領からすれば『ふざけるな!』という話で、クリミア半島を含めて侵略してきてるんだから『そこから出ていけ!』という話だと思いますから、これを譲歩しなさいっていっても、どっちも飲まないだろうという状況なので、そこをトランプ大統領がどう折り合いをつけるかだと思うんですね。おそらくプーチン大統領の要望を基本線にしつつ、それを飲めば代わりに『徹底的な安全保障を提供する』と言って、結局は武器を購入させたりするような仕組みを考えている気がします」

寺島「ロシアとウクライナは、5月以降に3回直接協議を行いましたが、3年半に及ぶ紛争の和平条件を話し合ったものの、決裂を繰り返しました。首脳同士の直接交渉が実現したとしても、溝が埋まるかどうかは見通せません。プーチン大統領は停戦の見返りに、制圧していない地域を含めて東部ドンバス地方の割譲を要求。一方、ゼレンスキー大統領は、現在の両軍が接触する前線を交渉の起点とすべきだと唱えています。トランプ大統領は、ゼレンスキー大統領との会談の冒頭で、アメリカがウクライナの長期的な安全保障に関与する考えを明確にし、『ヨーロッパを含めた全員が関与するが、安全保障では多くの支援があるだろう』と話しています。領土の線引きが最大の壁と言われていますが、これは両者にとって極めて難しい問題ですね」

森永「そうですね。結果的にプーチン大統領が具体的な要望を出しているので、それを軸に何とかパワープレイで押し込むのが、トランプ大統領の算段であり、基本的には『そんなの認めるわけない』という話ではありますが、ただヨーロッパ勢は、地理的に近いにもかかわらず、具体的な話が進まないままここまで来ています。『そんなの飲めるわけない』『停戦してからじゃないと交渉できない』と、それらしいことを言っていますが、数年見てるとどうにもならない状況です。なんだかんだで動いてくれるトランプ大統領に少し期待しているんじゃないかというのが、会見などを見ていると感じ取れますね」

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