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“VSシリーズ”だからこそ出来るスーパー戦隊らしい演出――『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』加藤弘之監督インタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

スーパー戦隊“VSシリーズ”第31作目となるVシネクスト『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』が、2025年5月1日(木)より期間限定上映されます。

届け屋達によるバクアゲな活躍を描いた『爆上戦隊ブンブンジャー』と、独自の世界観と重厚なストーリー展開で話題を呼んだ『王様戦隊キングオージャー』の2大ヒーローが夢の共演! 惑星トリクルと惑星チキュー、そして地球を舞台に、届け屋と王様のバクアゲな物語が展開されます。

アニメイトタイムズでは、今作の上映開始を記念して、加藤弘之監督にインタビューを実施! 両作品のTVシリーズも手掛けた加藤監督に、今作の注目ポイントはもちろん、TVシリーズ撮影時のエピソードやスーパー戦隊への思い入れを語っていただきました。

【写真】『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』加藤弘之監督インタビュー

ブンブンジャーの世界に、キングオージャーが入ったら?

ーー今作では、世界観が異なる2つのスーパー戦隊が共演します。全体的なストーリー構成はどのように進めていきましたか?

加藤弘之監督(以下、加藤):ストーリー構成については、基本的には「ブンブンジャーの世界に、キングオージャーが入ってきたら…」を軸に考えました。

2つの戦隊の出会いのきっかけを作るために、『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』で登場した「ニコーラ姫」を再登場させたんです。“違う星のお姫様”を介在させることで、「キングオージャーとも実は接点があったんじゃないか?」と考えられるようになる。両者が出会うシーンは、渡辺淳アクション監督がうまく組み立てていたと思います。

ーーTVシリーズの『キングオージャー』はセット撮影が中心でしたが、『ブンブンジャー』はロケ撮影が多かった印象です。

加藤:基本的に『キングオージャー』の撮影は屋内だったので、炎天下に出る機会が少なかったんです。ただ、今回は残暑が厳しい時期に撮影が行われまして、王様たちにも苦労をかけました。映像的には面白いものが撮れたと思っています。ロケ地も今まで『キングオージャー』のメンバーが訪れたことのない、明らかに『キングオージャー』の世界観ではない場所を意識的に選びました。

ーー作品の垣根を超えたキャラクター同士のやり取りも印象的でした。

加藤:志布戸未来に関しては、テレビシリーズで「女性キャラクターと集まって何かする」というシチュエーションが少なかったですよね。ヒメノ・ランやリタ・カニスカと絡ませれば、面白くなりそうだなと思っていました。

加藤:あとは「振騎玄蕃とジェラミー・ブラシエリを絡ませたい」「阿久瀬錠とカグラギ・ディボウスキでブラックの組み合わせができる」とか。「更に商店街のマッチョA・Bが入ると…」という感じで画としての面白さや“新しい何か”が生まれそうな組み合わせを考えていきました。

ーー 商店街のシーンでは、『ブンブンジャー』のTVシリーズに登場していた街の人たちも姿を見せていましたね。

加藤:そういった本編からの流れは意識しています。商店街は錠が慕われていることを描ける最適な場所ですし、『キングオージャー』の世界には存在しなかった背景なので、「是非あの商店街でやりたい」という気持ちがありました。天ぷら屋役で橋本恵子さん、肉屋役で寺本翔悟さんにも出演していただいて。高田将司さんの出演は台本にはなかったのですが、「いないとダメでしょ!」と(笑)。

ーー(笑)。今作でも高田将司さんは「朝田刑輔」と「兵士マサシ」など複数の役で大活躍されています。

加藤:ファンにとっても楽しみなポイントになったのではないでしょうか。前回の『王様戦隊キングオージャーVSドンブラザーズ』にも出ていただいて、こちらとしてはありがたい限りです。

ーー サンシーター達の活躍も楽しみなポイントです。最終回後の行方が気になっているファンも多そうですが……?

加藤:今作は『ブンブンジャー』のTVシリーズ最終回よりも前に撮影しましたが、「ブンブンジャー5人はビッグバングランプリのために宇宙に行って、始末屋(焔先斗)は地球に残る」という展開の方向性が既に決まっていたんです。その流れで「サンシーターはどこへ行ったのか?」という話になり、「ヤンマ・ガストのところに流れ着いたら面白いのでは?」と。加えて、テレビシリーズでは常に一緒だった3人を敢えてバラバラにすることで、それぞれの個性が際立つのではないかと考えました。TVシリーズも含めて逆算しつつ、脚本の冨岡淳広さんが見事にまとめ上げてくれたと思っています。

ーー終盤の爆発カットなど、2大スーパー戦隊が並び立つ“VSシリーズ”作品らしい演出も盛り込まれていました。予告に登場しているロボのクロスオーバーも今作ならではだなと。

加藤:おっしゃる通り、「これぞスーパー戦隊」という演出を意識しました。

「ブンブンジャーロボナイト」は、ロボの「キングオージャー」とシルエットが似ているんです。そこで「キングオージャー」の顔に変えて、武器も「昆虫剣シュゴッドソード」にしました。ただ変えるだけでなく、瞳を加えて「ブンブンジャー」らしさを残すようにしています。「ビュンビュンマッハーロボ」にも両腕にシュゴッドを付けました。

ーー両戦隊が踊るエンディングダンスも素晴らしかったです。

加藤:『ブンブンジャー』のキャストは慣れていますが、『キングオージャー』のキャストにとっては初めてなので、事前に予習していただきました。現場では何の問題もなく踊れていましたし、「使うカットはこの辺りです」と説明するとすぐに対応してくれて。楽しい撮影でしたね。

シリアスとコメディ。TVシリーズの担当回は対照的!?

ーー 加藤監督は、両戦隊のTVシリーズでも監督を務められています。『キングオージャー』はストーリー全体に関わるシリアスな回が多かったですよね。

加藤:『キングオージャー』はクライマックス感のある回が多かったように思います。実際の最終回はやってないのに(笑)。印象に残っているのは、25話・26話辺りです。「ゴッドキングオージャー」のコクピットをスケルトニクス(外骨格ロボット)で撮影するのは大変でしたが、やっている側としてもシビれました。

ーー加藤監督の担当回である41話「宇宙を救う時」も感動的なエピソードです。今作では、「オージャカリバーZERO」もキーアイテムになっています。

加藤:今作の終盤でラクレスに関する台詞が出てくるのですが、それに対してのギラの台詞はかなりこだわりました。明確に「こうしたいです」とお願いしたんです。

ーー 一方の『ブンブンジャー』では、楽しいコメディ回が多かった印象です。

加藤:『ブンブンジャー』自体がそういうノリだったのもあると思います。野球やサッカーの回は、自分なりに勉強して好きなことをやらせてもらいました。少しはみ出しすぎたかもしれませんが……(笑)。とても楽しかったです。

ーー 変身した状態で野球やサッカーをしていましたが、大変な撮影だったのではないでしょうか?

加藤:そうですね。面をつけている状態での動きは思うようにいかないこともあります。実際、カット割りや演出の仕方を考える必要がありました。

ただ、僕らの世代は野球漫画やアニメの影響を受けているので、自然と見せ方のイメージが浮かぶんですよね。「野球ならこう」「サッカーならこう」みたいなパターンが染みついているので、それを活かして印象的なシーンを作れたと思います。

『秘密戦隊ゴレンジャー』から始まるスーパー戦隊の思い出

ーー長くスーパー戦隊シリーズに携わっていますが、最初に参加したTVシリーズと“VSシリーズ”はどの作品ですか?

加藤:TVシリーズは『未来戦隊タイムレンジャー』から助監督として関わるようになりました。その前は、『ブルースワット』から『燃えろ!!ロボコン』までメタルヒーローシリーズをやっていたんです。最初に関わったVSシリーズ作品は『魔法戦隊マジレンジャーVSデカレンジャー』ですね。次の『轟轟戦隊ボウケンジャーVSスーパー戦隊』にも参加しています。

ーー いち視聴者としてご覧になっていた頃も含めて、特に思い出に残っている戦隊や撮影時の印象的なエピソードを教えてください。

加藤:僕が小学生の頃に『秘密戦隊ゴレンジャー』が始まって、純粋な視聴者として大好きでした。思い返すと、それぞれの作品にそれぞれの思い出が詰まっています。

印象的な戦隊をいくつか挙げるなら、まずは『侍戦隊シンケンジャー』です。初めてローテーション監督に入った作品だったので、がむしゃらに取り組みました。物語の内容もシリアスで、特に第四十五幕で丈瑠の正体が明かされるシーンは、どのように演出するか悩んだことを覚えています。

『烈車戦隊トッキュウジャー』も楽しかったですね。関根勤さんが好きなので、毎回小ネタを挟んでもらっていたんです。『機界戦隊ゼンカイジャー』も榊原郁恵さんの大ファンだったので、緊張しつつも楽しい撮影でした。

ーー最後に、『爆上戦隊ブンブンジャーVSキングオージャー』を楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

加藤:『ブンブンジャー』と 『キングオージャー』の良いところを損なうことなく混ぜたつもりです。『キングオージャー』のファンが『ブンブンジャー』を好きになって、『ブンブンジャー』のファンが『キングオージャー』を知って、どちらの戦隊も愛してくれる人が増えたら嬉しいなと。2戦隊の共演を楽しんでいただきたいです。

[インタビュー/田畑勇樹 撮影・編集/小川いなり]

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