日本一人口が少ない村 東京・青ヶ島で離島留学生募集
日本一人口が少ない村の話題です。
日本一人口が少ない村で「離島留学生」募集
東京都青ヶ島村、都心からおよそ360キロ、八丈島からおよそ70キロ離れた場所にある島です。青ヶ島の先月時点の人口は162人。全国で人口が最も少ない村なんです。この青ヶ島村で、4月から始まったのが、小中学生の「離島留学生」の募集。どういったものなのか、東京都青ヶ島村教育委員会 教育長 田中孝明さんのお話です。
東京都青ヶ島村教育委員会 教育長 田中孝明さん
「しま親留学」と「親子留学」の2つを考えていて、しま親留学は里親の家に寝泊まりして生活するタイプで、小学4年生から中学3年生まで。親子型は、小学校1年生から中学校3年生までとなっています。小学校と中学校1校ずつありますが、令和4年(2022年)に中学校に入学する生徒が0名、学校が休校になっちゃうというときに、島民が「よろしくない」と里親になって、生徒の受け入れを始めました。(島民)個人で初めは始めたんですね。村でも支援していったらどうだ?という声が上がりましたので「離島留学推進協議会」を立ち上げました。将来ここで学んだ子たちが関係人口となって、青ヶ島を宣伝してくれたり、青ヶ島に戻ってきて、自治体の力になってもらったり、考えているところです。
中学校が休校になるのを防ごうと、最初は島民の有志が受け入れを始めて、今年で3年目。これまでに、合わせて7人の子どもが留学に来ています。今回から、村も一体となって受け入れをしようということで、4月から来年度分の離島留学生の募集が始まりました。
里親のところに寝泊まりする「しま親留学」は、食費などを含めた委託料として保護者負担が月に3万円、村が5万円を負担。親子で来る「親子留学」は、村営住宅で生活してもらうことを想定しているそうです。
今まさに!離島留学に来ている生徒は
留学は「1年単位」なんですが、今、青ヶ島中学校の全校生徒は3名、この3名は全員、島の外からやってきた今年度の離島留学生です。留学に来ている2年生2人、3年生1人に話を聞きました。
「中学2年生です。神奈川県の逗子市から来ました。ウジウジしているところがあったので、こっちで新しい趣味とか、自分でも気付けないような一面を見つけられたらいいなと思って。人数が少ないから必ず発言できるので授業中、いいかなと思います。」
「中2です。東京の江東区から来ました。魚を捌けたらいいなと思って、ここ魚がたくさんとれるって聞いて、来ようかなと思いました。地域の人との距離が近いので、親しみやすいっていうのはあります。」
「中学3年生です。東京の小金井市から来ました。超楽しいです!私は鳥が大好きなんですけど、鳥を観に行ったりして、楽しいです。授業が中3は1対1なので今までより勉強するようになったな。受験生なので、あまり遊んでもられないとは思うんですけど、勉強も遊びも両立してできたらいいなと思ってます。」
この3人は同じ里親のところで生活も共にしていて、中には一人っ子なので、兄弟ができたみたいで嬉しいという声もありました。週に1度、30分程度、保護者とオンラインでコミュニケーションをとる時間もあるようです。「授業で必ず発言できるので、いい」という声は、意識が高いなあと感じました。また「鳥を観に行く」という発言もありましたが、青ヶ島に生息する、体が黒い鳩「黒鳩」を専門家と一緒に観察する、青ヶ島ならではの授業もあるそうです。
「離島留学」島生まれの子どもにもメリットが
島には小学生が6人いて、小中学生9人で一緒に行動することも多いようです。この離島留学生の受け入れは、もともと島にいる子どもたちにとっても魅力があるのか青ヶ島小中学校校長 鉢呂哲也さんに伺いました。
青ヶ島小中学校校長 鉢呂哲也さん
島にたくさん子どもがいないので、どうしても幼馴染だとずっと同じになってしまいます。島で育ってない子どもが来ますから、遊んだり交流することによって、自分らが教えてあげることが増えたりして。あとは、住んでるところが近いので、しょっちゅう土曜日、日曜日、遊んだりとかそういった交流が深くなってる感じですかね。
人間関係の広がりという面でも、島生まれの子どもたちにも大きなメリットがあるようでした。
「離島留学生」、すでに数件問い合わせは来ているとのことでしたが募集は、7月19日までで、青ヶ島村のHPなどから詳細を確認できます。
人口がどんどん減る中で、人口が一番少ない村でのアイデア。子どもの学校生活の選択肢の1つになるといいですね。