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yonige、バンド初の47都道府県ツアー『yonige ~Homing tour~』初日のオフィシャルレポートが到着「始まってしまった……」

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yonige

yonigeが5月29日(木)に、千葉LOOKにて全国ツアー『yonige ~Homing tour~』をスタートさせた。

今回のツアーは、バンド初の試みとなる全国47都道府県を回るツアーで、12月5日(金)の沖縄・那覇Output公演まで全国を回っていく。ソールドアウトした初日のライブレポートが、曲名掲載は最小限に抑えて到着したので紹介する。

開演時刻になり、大きな拍手で迎えられた牛丸ありさ(Vo.Gt)、ごっきん(Ba.Cho)、サポートメンバーの土器大洋(Gt)とホリエマム(Dr)の4人がステージに登場すると、牛丸の「yonigeです、宜しくお願いします」との挨拶と共に、伸びやかなボーカルとメロディーを紡いでいく。心地良いリズムとなだらかな音の流れに身を任せるように、時に笑顔を溢しながらじっくりとプレイしていく。全員が一丸となって熱気を生み出すのではなく、オーディエンスひとりひとりが、それぞれの思い入れや想い出を託した曲たちに、それぞれが共鳴して噛み締めて、全体の空気が高揚していく。yonigeらしいライブの空気感だ。

牛丸ありさ(Vo.Gt)

牛丸は、最初のMCで何を話すのかと思っていたら、「(ツアーが)始まってしまった……」「私のテンションを上げてほしい……」とオーディエンスに求めていて、思わず笑ってしまった。ツアー初日にそんな弱音をステージ上からぼやくアーティストはなかなかいないが、その飾らない人間性が良い。「人生で一番忙しくて嫌になった時に作った曲です」というネガティブな思い出が宿った曲を赤裸々に披露しつつ、ごっきんが「なんかみんないつもより元気じゃない?最近、昔の曲もやるからやろ?」とコミュニケーションを取りながら、その言葉通り、新旧楽曲を織り交ぜたセットリストでライブが進んでいく。今回のツアーはリリースが絡んでいないということもあり、かなり自由度が高い印象だ。

ごっきん(Ba.Cho)

そして、先述したように、これがきっとフェスだったら、大歓声が上がってフロア一面にハンズアップが広がるであろう場面でも、じっと聴き入るオーディエンスがたくさんいて、その光景にグッときた。yonigeのライブの楽しみ方として、みんなで一緒に、ではなく、自分がどう思うかが最優先だという意識がオーディエンスの根底にあるからなのだろう。そんなの当たり前だと思われるかもしれないが、それが難しい場面もある。周りを気にせず、”自分”対”yonige”の音楽世界に没頭できるのは、疾走感のあるキャッチーなメロディの中でも、心地よく身体を揺らすミディアムチューンでも、生活の範疇からは飛び出さない、手の届く範囲の出来事や、主観/客観のどちらからも捉えた人との関わり合いが歌われ続けているからに他ならない。ドラマティックで胸焦がれるような夢を見せてくれるのではなく、誰かといても頭の片隅にこびりついている孤独感やあの日にポツンと置いてきた後悔、正解と間違いの違いも分からないまま誰かと迎えた別れといった、人間の情景描写/心理描写が聴き手の心中にリンクする。

土器大洋(Gt)

最初は恋愛についてを綴った歌詞を主軸としてリスナーを獲得しつつ、そこから人と人の交わりの中で生まれる関係性や感情を紐解き、最新アルバム『Empire』ではパーソナルな部分と真正面から向き合った。現在公開されているyonigeの公式YouTubeでは、牛丸が実父に会いに28年振りに故郷・オーストラリアを訪れるドキュメンタリー映像を公開しており、その中で彼女は「自分って一生自分なんだな、みたいなことにも気付いたし、悪いところは直したいけど、譲れない部分もあるんだなってことにだんだん気付いた」「(月日を経て)ありのままの自分を受け入れて愛すっていうことができました」と語っていた。その上で聴く、今年2月にリリースされた最新曲「Without you」は特にグッと来た。<わたしはここからは/弱いままで強くあるよ>と真っ直ぐ歌う姿には、牛丸が、そしてyonigeが到達したひとつの答えが垣間見える。忘れてしまうことや、在ったのに無くなってしまったもの、自分の力ではどうしようもない/なかったこと──そういった一種の不可抗力を追う大切さももちろんあるが、今のyonigeはそれらを肯定しながら受け入れるという器が出来上がったと思わせてくれる歌詞であり、メロディとしてもyonigeが新たなフェーズに入ったことが分かる。グルーヴの高いバンドサウンドが推進力となり、曲が進むに連れて光力が増していくような、彼女たち自身を、そしてそれを聴く私たちの未来を照らしてくれる楽曲だ。この曲があるからこそ、昔の曲もさらに深い意味を持って聴こえてきたのだから面白いし、ライブ全体を通して、yonigeが培ってきたバンドストーリーを辿っていくことができた。

ホリエマム(Dr)

彼女たちはライブの最後に「飽き性だから毎回セトリも変わると思うので、また遊びに来てください」と話していた。「みんなのおかげでツアーが楽しくなりそうです」と笑顔を見せたツアー初日、たくさんのオーディエンスから「いってらっしゃい」と見送られ、彼女たちは長い旅へと踏み出していった。今回のツアーへの挑戦もそうだが、無理なく開放状態に至った今のyonigeの良さを存分に堪能できたライブだった。

カメラマン:稲垣ルリコ、ライター:峯岸 利恵、スタリスト:Jun Takahashi・Shintaro hara

yonige

ツアー『yonige ~Homing tour~』のチケットは、イープラスにて販売中。

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