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日本橋・問屋街「TOIビル」から問う、これからの器のカタチ。“ものづくり”の未来を守り育むために

さんたつ

【散歩の達人】TOIビル_7

楕円(だえん)形の大きな窓が目を引くレトロビルが「器」を掲げて蘇(よみがえ)った。今、なぜ「器」?地場産業と伝統工芸に着目した仕掛け人・堀田卓哉さんに、問うてみた。

リノルテ

お話を伺ったのは……

Culture Generation Japan 代表取締役 堀田卓哉さん

「誇らしい日本の文化を次の世代へつなげたい」。
「TOIビル」。

TOIビル(トイビル)
住所:東京都中央区日本橋横山町5-18/アクセス:地下鉄新宿線馬喰横山駅から徒歩1分

【1F】週末昼間は人気菓子店、平日は夜開く酒場

『sankaku』

2025年1月、浅草橋のミニマムな工房から移転して開業。店主の岡田有加さんが、シンプルながら心ときめくお菓子を作る。「なるべく国産の材料で」と、米粉は九州熊本県、平飼い卵は飛騨高山から届く。ざくっとした食感のキャロットケーキ600円と和紅茶500円。

sankaku(サンカク)
住所:東京都中央区日本橋横山町5-18/営業時間:金・土の12:00~17:00(売り切れ次第閉店)/アクセス:地下鉄新宿線馬喰横山駅から徒歩1分

『リノルテ』

近くで卸売店を営む河野芳輝さんと、コンサルタント業の渡邉典史さんが共同で経営。「地域の人がふらりと立ち寄れる出会いの場を作りたい」という思いが実現した。おつまみ3品盛り1280円、生ビール550円。ウイスキーやジンなど酒種は豊富に揃う。

リノルテ
住所:東京都中央区日本橋横山町5-18/営業時間:18:00~23:30(土は~22:30)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄新宿線馬喰横山駅から徒歩1分

【2F】まだ見ぬ工芸と出合える常設&企画展フロア

地方で活動するプロデューサーと連携するユニークな企画展は、その土地の知られざる工芸や食文化も紹介。銘酒も届く。常設の「旅皿」の販売と合わせて、日本の文化に触れて学び、産地を旅した心地に。2025年7月は沖縄展。冷蔵庫には沖縄産の青いビールが並ぶ予定。

11:00~17:00、日・月休。

【3F】料理人にじわじわ広がる器のサブスクって!?

「四季折々の料理に合わせて器も替えたい」。そんな料理人の願いを、予算を大幅に抑えてかなえる和食器のサブスク「CRAFTAL(クラフタル)」のショールーム。堀田さんやキュレーターが作家や窯元を訪ねて選りすぐる器を、作り手の思いと共に紹介する。来店は要予約。

【5F】スナック風情と酒の力がつながりを密に

最上階は、会員制の貸しスナック。年会費5万円で月2回、ママになれる。器が揃うキッチンがあり、飲んで食べて交流できるアジトだ。開催情報は公式サイト(toi-bldg.jp)参照。

大切なテーマだった「器」

「ビルを一棟借りして人が交流できる拠点を作りたい!」。熱いビジョンを描いていた堀田卓哉さんに、絶好のチャンスが訪れた。

「問屋街の空きビルをUR都市機構が引き受けて活用、新事業を始める人を募集していたんです」

靴の卸問屋だったビルに、ひと目ぼれ。すぐに「器」をテーマにした事業計画を編み上げた。でも今、なぜ器なのだろう。

「私はバブル崩壊の頃が思春期。日本に明るい未来を見いだせなくて、大学から海外で過ごしました。外にいるとやっぱり日本が素晴らしいと、アイデンティティーに目覚めたんです」

帰国後に住んだ浅草で、若い職人たちと仲良くなったのをきっかけに地場産業や伝統工芸に興味を抱き始めた堀田さん。会社を辞めて起業し、海外進出したい彼らを支援する事業を展開していった。以来、器は親しみやすい工芸品として大切なテーマだったのだ。

そんなビルの1階のテーマは、「器で食べる」。『sankaku』と『リノルテ』がシェアしながら展開し、今後は、堀田さんが扱う器を活用し体験できる場にしたいと考えている。2階は開かれたショップとして、「器を買う」。3階は和食器のサブスクリプションの拠点、「器を借りる」だ。

4階は堀田さんチームのオフィス、「器と仕事」。そして5階は、なんとスナック風の空間。酒を交わしながら「器を語る」場となっている。各フロアに設えた器をめぐるストーリーが、実に有機的!

サブスクから「旅皿」へ思いをのせて手渡す

本記事冒頭で堀田さんが手にするのは、美濃焼の原料を固めたオブジェ。「このような原料がどんどん枯渇していて、いずれ土着のもので作れなくなる」一方で、飲食店やホテルでは買って捨てるが繰り返されている。そこで考案したのが和食器を循環するサブスク事業だった。4年目にして軌道に乗り「これからは、サブスクを利用した料理人の物語を器の付加価値にして次の人に手渡していきたい」。これが「旅皿」のコンセプトだ。

新しい「器」と、どこかで誰かとかけがえのない時を過ごしたリユースの「器」がビル1棟に同居して、日本の文化の未来をどう考えるのかと、私たちに問いかける。

取材・文=松井一恵 撮影=丸毛 透
『散歩の達人』2025年6月号より

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