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【Iターン移住で夢をかなえる】大自然に囲まれた宿を開業! 移住後8年かけてかなえた夢【熊本県南阿蘇村】

田舎暮らしの本

【Iターン移住で夢をかなえる】大自然に囲まれた宿を開業! 移住後8年かけてかなえた夢【熊本県南阿蘇村】

2023年に夢だった宿を開業した坂井さん夫妻。雄大な阿蘇五岳の景色を望む宿は、家族みんなでつくりあげた場所だ。熊本地震などを経て、移住後8年越しでかなえた夢の軌跡を追った。

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掲載:2025年3月号

熊本県南阿蘇村(みなみあそむら)
熊本県北東部、阿蘇五岳と外輪山に囲まれた南郷谷(なんごうだに)に位置する、人口約1万人の村。白川水源や竹崎水源など南阿蘇村湧水群があり、「水の生まれる里」として有名。農業が盛んで新規就農者への支援が充実している。阿蘇くまもと空港から車で約30分。熊本駅から立野駅まで豊肥本線で約50分。

ゆっくりお客さんと話がしたくて宿を開業

坂井さん夫妻と碧仁(あおと)くん(15歳、左)、珀飛(はくと)くん(12歳)。宿の名前「青い空と白い龍」は子どもたちの名前からつけた。

坂井浩二(こうじ)さん(45歳)、章加(ふみか)さん(47歳)
ともに大手外資系製薬会社に勤務していた。免疫、糖尿病、高血圧、肥満などの病気や最先端の治療方法を学びながら、人の根本となる生き方や、食事の大切さに気づく。田舎暮らしに憧れ、2015年に奈良県から南阿蘇村へ移住。2023年に宿「青い空と白い龍」をオープン。

窓から阿蘇山が一望できる絶景リビング。無垢材と珪藻土が心地いい空間をつくりだしている。大きな薪ストーブも設置した。

 世界有数の規模を誇る「阿蘇カルデラ」。阿蘇五岳を望む広い敷地に立つのが、1日1組限定のお宿「青い空と白い龍」だ。奈良県から移住した坂井浩二さんと章加さん夫妻が2023年にオープンした。

「もともと2人とも田舎暮らしへの憧れがあり、自然が豊かな場所で宿を始めたいと思っていたんです」と浩二さんは話す。

 浩二さんは広島県出身で、章加さんは福岡県出身。ともに住宅地で育ったこともあり、田舎への憧れが強かった。結婚後、章加さんの実家がある大分県に里帰りした際に、章加さんのお母さんが案内してくれたのが南阿蘇との出会いだった。

 阿蘇の雄大な景色にひかれ、「宿をやるならここ」と物件探しを始める。条件は、広い土地と阿蘇山が見えること。阿蘇の民宿に1週間ほど宿泊して物件探しをしたこともあるという。

「阿蘇五岳が見える場所は物件が限られるうえ、人気があってすぐに決まってしまいます。ここは、不動産業者さんからいち早く情報をいただいたんです」

 約450坪の土地に、3Kの家があり、周囲は雑木林。敷地からは阿蘇五岳がよく見える。すぐに購入して2015年に移住。浩二さんは久留米市内の会社に勤めながら開業の準備をしようと思っていた矢先の2016年に熊本地震が発生。地域の人たちとともに復興への活動に力を入れた。

 2021年に、浩二さんは会社を辞め、宿づくりに専念する。基礎や柱、梁などの重要な部分はプロに任せたが、初心者ながらも大工仕事を勉強し、浩二さんが中心となって家族みんなでつくりあげた。

 完成した宿は、地元のスギを使った一軒家。ドアなどの建具も手づくりで、壁も日本の珪藻土や漆喰、麻炭を使用するなど、宿泊客のからだにも環境にも配慮した。そして、リビングの大きな窓からは阿蘇五岳が一望。1日1組限定で、薪ストーブや薪風呂が楽しめ、夕食は発酵料理人でもある章加さんの発酵料理が味わえる(要予約)

浩二さんを中心に家族でDIYした宿。壁には地元産のスギ板を使用。

最も手間がかかった玄関ドア。建具などの木工は近くの工房で習った。

自然農の自家製野菜や、農薬や添加物不使用の南阿蘇産や熊本県産の食材を使った、章加さんの発酵料理。

移住者が多い地域で、温かく迎えてくれた

「この地域は移住者も多く、皆さん温かく迎えてくれました。『どんどや』や『お月見泥棒』などの行事に参加することでいろいろな方と親しくなれます。熊本地震は大変でしたが、地域の結束はより強くなったと思いますし、私たちも、改めて夢をじっくりと考える機会となりました」と浩二さん。

 子どもたちの様子を聞くと、「じつは、うちの子たちはインドア派で」と章加さんは笑う。それでも、年に2〜3回雪が降ったときは大喜びで雪遊びをしているという。

「今年は、敷地内にツリーハウスをつくる予定です。また、うちで加工している発酵万能調味料『阿蘇薬念(あそやむ)』を売り出していきたい」と浩二さん。さらに、2棟目はハワイ島と夢が膨らむ。

章加さんと子どもたちは、復興を兼ねて立ち上がった和太鼓チームに参加。夕食時には子どもが作曲した和太鼓演奏を披露している。

阿蘇とヤンニョム(薬念)を掛け合わせて生まれた「あそやむ」。2024年の「くまもとグッドプロダクト賞」に選ばれた。

移住して変わったこと

雄大な阿蘇の景色は一見の価値あり!

「サラリーマンだったころと比べて、家にいるということが大きな変化です。以前は朝早く出て夜遅く帰ってくるから、平日は子どもの顔を見ることが少ない。でも、今は家が職場なので、働いていても家族と一緒なのがいいですね」(浩二さん)

「阿蘇に来てびっくりしたのが、水道の蛇口からの水がおいしく飲めることです。南阿蘇村は水がきれいでおいしく空気もきれいなので、こちらに来てから呼吸が楽に思いきりできるようになりました」(章加さん)

南阿蘇村移住支援情報 人と自然が共存する、みんなのふるさと

 世界最大級のカルデラの内側に約1万人が暮らす、南阿蘇村。自然に恵まれた環境でありながら、熊本市まで車で約60分、空港まで約30分とアクセス良好。村では先輩移住者を「田舎ともだち相談員」に選任していて、リアルな暮らしについて気軽に相談することができる。

南阿蘇村では、昔ながらの地域行事を大切に守りつないでいる。

「冬は雪が降って道路が凍結するよ! 不便さもふまえて移住を検討してね」
(南阿蘇村空き家・空き地バンク公式キャラクター「あきやん」)

文/水野昌美 写真提供/青い空と白い龍、南阿蘇村

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