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保存版! 知れば知るほどおもしろい「カバーオールの基礎知識」〜押さえておきたいワークウエアのキーワード〜

Dig-it[ディグ・イット]

カバーオールについて掘り下げると、そのディテールや、デザインに影響を与えた歴史的事象など様々な用語が登場する。ここでは、カバーオールやアメリカのワークウエアに関する押さえておきたいキーワードを解説。カバーオールを着るときに様々なうんちくといっしょに楽しむことができる。ヴィンテージ愛好家も必見の保存版。

チェンジボタン

ボタンの種類のひとつで、洗濯の際に生地を痛めないようにボタンを取り外すことができる仕組みになっている。1930年代までのワークウエアやミリタリーウエアなどによくみられるディテール。各ブランドでオリジナルのデザインのモノが多く、ブランドの個性をアピールする部分でもある。

台襟

シャツやジャケットの襟の土台となる首周りを覆う帯状の部分。台襟があることで、首周りを立体的に見せることができる。襟腰や襟足と呼ばれることもあり、カバーオールでは戦前のモデルまでに採用されていることが多く、戦後は省略されていったディテール。

チンストラップ

首部分を留める、台襟と一体化したストラップのこと。襟元のバタつきを抑えたり、襟を立ててストラップを留めることで首元からの風の侵入を防ぐことができ、戦前のシャンブレーシャツやフランネルシャツ、カバーオールなどにデザインされていた。やがて省略されたワークウエアの旧きよきディテールのひとつ。

ウォッチポケット

カバーオールの主に左胸につく懐中時計を入れるためのポケット。横にはペンを入れるためのペンシルポケットがつくことも。まだ懐中時計が主流だった時代独特のディテール。それに合わせて前立てに懐中時計のチェーンを留めるためのボタンホールが存在することもある。

アタリ

着用と洗濯を重ねることで、生地が縮んだり、クセが付くことでさらに着用することで擦れて色落ちした部分の呼び方。

イエローステッチ

ジーンズやワークウエアなどデニムアイテムに見られる代表的な黄色の綿糸によるステッチの呼称。カバーオールにはホワイトのステッチが多く、主に5ポケットパンツの縫製に使われることが多かった。リーバイスは後年にはオレンジのスパン糸によるステッチが主流になり、綿糸によるイエローステッチはヴィンテージらしさを感じるディテールにもなっている。

シングルステッチ

日本語では「本縫い」。縫い目の表面や裏側に現れる糸が1本だけの縫い方。チェーンステッチよりも強度が高く、解けにくいのが特徴。

チェーンステッチ

縫い目の裏側がチェーンのように繋がっていることでこの名前がついた環縫いのこと。ヴィンテージのジーンズなどによく見られるステッチ。

デッドストック

「DEAD STOCK」と表記される通り、不良在庫を意味する。倉庫などで残っていた不良在庫が長い年月を経て発見された際に、こう呼ばれる。ヴィンテージ界では価値が非常に高くなり、高価格で売買されるため肯定的な意味合いで使用される。

ニューオールドストック

デッドストックと同じように新品状態を指すが、こちらは不良在庫として残っていたものではなく、あえて未使用で保管していたものを指す。「N.O.S」と略す場合もある。

ドーナツボタン

金属製でボタンの中央が窪んでいる様子がドーナツに似ていることから命名された。およそ1940年代中頃までしか見られないパーツ。

月桂樹ボタン

1940〜’50年代頃に一般的に流通していた月桂樹の柄が施された2本爪のドーナツボタン。第二次世界大戦時、物資統制によって自社ボタンの使用を制限されたあらゆるメーカーが、自社のアイテムにこのボタンを使っていたため、大戦モデルを象徴するディテールとして知られている。

大戦モデル

第二次世界大戦中の物資統制のなかで、ワークウエアも糸や生地、それに金属パーツの使用を制限されたことで、この時期特有のディテールが生まれた。そのディテールを持つヴィンテージを大戦モデルと呼び、戦時下だけに存在したデザインやディテールのため、現在では付加価値が高い。5ポケットジーンズが有名だが、カバーオールなどのワークウエアにも存在する。

ウォバッシュ

インディゴ染めの生地に、ドットなどの柄でストライプ状に抜染プリントした生地。織りではなくプリントによって柄を表現している生地で、戦前のワークウエアに使われていた。

綿糸

100%コットン製の糸のこと。縮んだり、色褪せたりするため、味わい深い経年変化が起こる。1960年代後半からは切れにくいが色落ちしないナイロン混紡糸(スパン糸)が使われるようになるが、それ以前は基本的にすべて綿糸で縫製されているため、ヴィンテージが独特の雰囲気を感じるひとつの理由になっている。

レジスターマーク

ブランドロゴなどの横に表記されたⓇのこと。商標登録されていることを示す。アメリカで1946年からこのマークが導入されている。

ガチャポケ

カバーオールやワークシャツなどに見られる、左右非対称の胸ポケットのこと。戦前には各ブランドが様々なアイデアで機能に特化したデザインのポケットが存在し、それがブランドの特徴になっていたことも。

山ポケ

文字通り、ポケットの上部が山型にデザインされ、上部がボタン留めになったポケットのこと。労働者がタバコを出しやすくするために生まれたデザインで、「シガレットポケット」とも呼ばれる。かつては多くの労働者にとってタバコが必需品だったことを教えてくれる。

ユニオンチケット

1900年代初頭〜’70年代くらいまでのアメリカのワークウエアに見ることができる布製のラベル。これはワークウエアを製造するメーカーが労働組合(ユニオン)に加盟していることを表すラベルで、多くの組合員がユニオンチケットの付いたワークウエアを優先的に着用していた背景がある。その多くがジャケットなら身頃サイドの内側、パンツならバックポケットの中や裏側など、普段は見えないところに縫製されていることが多い。いわゆるユニオンメイドの証明。

ストアブランド

〈J.C.ペニー〉や〈モンゴメリーワード〉、〈ヘラクレス〉などに代表される、アメリカの大手小売業者が独自に作ったブランドのこと。今でいうプライベートブランドと同意義。当時はカタログ販売による通販が主流で、多くの小売業者が消耗品であり、需要のあったワークウエアを独自のブランドで製造していた歴史があった。

世界恐慌

1929年にアメリカで株価が暴落したことをきっかけに起きた世界的な不景気のこと。当時のアメリカは世界経済の中心であったため、貿易などの経済的な関係があった世界中の資本主義国にも大きな影響を与えることとなり、世界的な不景気となり、多くの失業者を生んだ。これが後のワークウエアの発展の契機になった。

ニューディール政策

1930年代にアメリカのルーズベルト大統領が世界恐慌を克服するために行った一連の経済政策のこと。政策のひとつとして、積極的に公共事業を行うことで雇用を創造した。それによって失業者が減少し、景気が回復へと向かう。この期間、労働者が増加したことで、ワークウエアを生産する各ブランドは売り上げや事業拡大のために独自性や機能性を追求。競争が生まれたことでバラエティー豊かなデザインが生まれ、ワークウエアが発展する側面があった。

レイルローダー

鉄道会社に勤務する従業員(鉄道作業員)のこと。1900年代初頭、広大なアメリカ大陸を繋ぐ鉄道網が敷かれ始めた頃に、多くのレイルローダーが活躍。そのユニフォームには機能性が高く丈夫なシャンブレーシャツ、オーバーオール、カバーオールなどが好んで着用されていた。

(出典/「Lightning 2024年11月号 Vol.367」)

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