パリオリンピック男子サッカー決勝カード決定 スペインがめざす「史上2度目の偉業」と「40年前のリベンジ」
2大会連続決勝進出のスペインvs.開催国フランス
パリオリンピックの男子サッカーもいよいよ佳境。日本時間6日に準決勝の2試合が行われ、開催国のフランスが延長戦の末にエジプト代表を3-1で撃破。地元開催でのメダル獲得を確定させ、1984年ロサンゼルスオリンピック以来となる金メダル獲得に王手をかけた。
続いて行われた準決勝のもう1試合は、スペインが後半の2得点でモロッコに逆転勝利。こちらは東京オリンピックに続く2大会連続の決勝進出となり、金メダル獲得なら1992年バルセロナオリンピック以来のことになる。
W杯は2010年の南アフリカ大会を制覇、EURO(欧州選手権)は2008年・2012年に連覇を成し遂げただけでなく今年も3大会ぶりの優勝を果たすなど、2000年以降の主要大会でその実力をいかんなく発揮してきた“無敵艦隊”。ただし、五輪に関しては2000年のシドニー大会決勝でカメルーンに敗れ、前回の東京大会はブラジルに1-2で敗れて連覇を許したように悔しい結末が続いている。
今回はまさに“3度目の正直”。相手のホームで欧州決戦を制し、32年ぶりの金メダル獲得なるか。また、今年スペインがオリンピック決勝の呪縛を解くことができれば、もうひとつの偉業もついてくる。それが「EUROとオリンピックの二冠」だ。
“二冠”は過去に1例だけ、達成した唯一の国は……
前述の通り、スペインは先月までドイツで開催されていた『EURO2024』(UEFA欧州選手権)で優勝。史上最多4度目の戴冠を果たしている。
このEUROは1960年に第1回大会が行われ、そこからオリンピックと同じ4年周期で開催。2020年はオリンピックと同様に新型コロナウイルスのパンデミックにより2021年へ延期となり、今年から従来のスケジュールに戻るというのもオリンピックと同じ歩みとなっている。
ところが、EUROとオリンピックは開催時期もさほど遠くなく、欧州勢としてはEUROにフルメンバーで臨み、オリンピックは「EUROに参戦した選手を除く23歳以下の選手」でメンバーを構成することがほとんど。特にオリンピックは欧州各国リーグの開幕直前の時期に実施されるため、立ち位置のちがいから近年は南米やアフリカ勢に押されるシーンも目立っていた。
そもそもEUROもオリンピックも厳しい予選を勝ち抜かなければ本戦に出場することができず、両方に出場できるというだけでも快挙といえる。そんな中で2つの大会を同年に制覇、二冠を達成したチームを探してみると、過去に1例だけ見つかった。それが1984年のフランスである。
当時のフランスは“将軍”ミシェル・プラティニが不動の大黒柱で、脇を固めるタレントもアラン・ジレスやジャン・ティガナといった強力な面々。母国開催だったEUROではプラティニが5試合で9ゴールを挙げる獅子奮迅の活躍を見せ、決勝のスペイン戦でも1ゴール。大会初優勝に大きく貢献し、地元に歓喜をもたらした。
その約1カ月後、余韻も冷めやらぬ中、アメリカ・ロサンゼルスでオリンピックが開幕する。この大会からプロ選手の参加が解禁されたことでも大きな注目を集めた男子サッカー競技だったが、実は「(※ワールドカップに出場したことがない)プロ選手」という注釈付で、フランス代表の面々も直前のEUROとはまるで別のメンバー構成だった。
それでも、混戦のグループAを首位で通過すると、一発勝負の決勝トーナメントもエジプトに2-0で快勝。準決勝はユーゴスラビアを延長戦の末に4-2で振り切り、決勝戦は“闘将”ドゥンガを擁するブラジルに2-0で快勝。初の金メダル獲得とともに、史上初のEUROとオリンピックの二冠という偉業を成し遂げた。
それから40年が経ち、スペインがその偉業への挑戦権を手にした。相手は現時点で史上唯一の二冠経験者であるフランス。思えば40年前はEUROの決勝戦がこの顔合わせであり、もしその時スペインが勝利していれば、今回はスペインが史上初の偉業に挑むという構図だった。“40年前のリベンジ”を果たすためにも負けられない一戦となる。
スペインが新たに歴史に名を刻むのか、はたまたフランスが母国で金メダルを獲得するとともに「史上唯一」を防衛するのか。注目のパリオリンピック男子サッカー決勝戦は日本時間8月9日(金)25時キックオフ予定となっている。
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記事:SPAIA編集部